中3 数学 / 図形 / m3-17
三平方の定理の利用 ── 平面・空間
この単元でできるようになること
- 座標平面上の 2 点間の距離を求められる
- 円の弦・接線の長さを、直角三角形を作って求められる
- 直方体の対角線、円錐・角錐の高さと体積、展開図上の最短距離を求められる
- 「どこに直角三角形を作るか」を自分で見つけられる
入試での位置づけ
三平方の定理の利用は、図形の大問の最後の小問として出題されやすく、配点も高い分野です。平面(座標・円)と空間(直方体・錐)の両方に出ますが、やることは常に 「直角三角形を見つけて(作って)、2 辺から 3 辺目を出す」 だけです。空間図形は「切って平面にする」が鍵で、頭の中でなく紙に直角三角形を描き出せるかが得点を分けます。
1. 座標平面 ── 2 点間の距離
まずここだけ
2 点 A(x₁, y₁)、B(x₂, y₂) の距離は、x 方向の差と y 方向の差を 2 辺とする直角三角形の斜辺なので
AB = √((x₂ − x₁)² + (y₂ − y₁)²)
- A(1, 2)、B(4, 6):√(3² + 4²) = 5
- A(−2, 1)、B(3, −1):√(5² + (−2)²) = √29
- 原点 O と P(3, 4):5
差の 2 乗なので、負になっても構いません((−2)² = 4)。
使いどころ
- 「△OAB が直角三角形かどうか」→ 3 辺の長さを求めて逆を使う
- 「AB = AC の二等辺三角形になる点」→ 距離の式を等しいとおく
- 放物線上の点と原点の距離(m3-10 との融合)
よくある間違い
- 差でなく「和」を 2 乗する → (x₂ − x₁)²
- √ の中を簡単にし忘れる(√50 → 5√2)
2. 円と直角三角形
まずここだけ
円の問題で直角三角形を作る方法は 2 つです。
① 中心から弦への垂線:弦の中点で垂直に交わる(m3-15)。半径・弦の半分・中心からの距離で直角三角形。
半径 5 の円で、中心からの距離が 3 の弦の長さは? 弦の半分 = √(5² − 3²) = 4 → 弦 8
② 接線と半径:接点で垂直(m1-15)。中心・接点・外の点で直角三角形。
半径 3 の円 O の外の点 P(OP = 5)から引いた接線の長さ PT は? PT = √(5² − 3²) = 4
例:2 つの円の共通接線(発展)
半径 r₁、r₂ の 2 円の中心間距離が d のとき、共通外接線の接点間の長さは √(d² − (r₁ − r₂)²)。一方の中心から他方の半径に平行線を引いて直角三角形を作ります。
ここまでできれば十分
座標の 2 点間距離と、円の「弦の垂線」「接線と半径」で直角三角形が作れれば、平面の利用は合格です。
3. 空間図形
まずここだけ:直方体の対角線
縦 a、横 b、高さ c の直方体の対角線の長さは
√(a² + b² + c²)
理由:底面の対角線 √(a² + b²) と高さ c で直角三角形を作り、もう 1 回三平方の定理。2 回使うのが空間の基本です。
- 3 × 4 × 12 の直方体:√(9 + 16 + 144) = √169 = 13
- 1 辺 a の立方体:√(3a²) = a√3
円錐の高さ・体積
底面の半径 r、母線 R の円錐の高さ h は、母線・半径・高さの直角三角形から
h = √(R² − r²)
半径 3、母線 5 の円錐:h = 4、体積 (1/3)π × 9 × 4 = 12π
「母線」は表面積で、「高さ」は体積で使う(m1-17)。母線から高さを出す橋渡しが三平方の定理です。
正四角錐の高さ・体積
底面が 1 辺 a の正方形、側面の辺(頂点から底面の頂点まで)が ℓ の正四角錐: 頂点から底面に下ろした垂線の足は底面の中心(対角線の交点)。中心から底面の頂点までは対角線の半分 a√2/2。
h = √(ℓ² − (a√2/2)²) = √(ℓ² − a²/2)
1 辺 6、側面の辺 6 の正四角錐(全部の辺が 6):h = √(36 − 18) = √18 = 3√2。体積 (1/3) × 36 × 3√2 = 36√2
空間で直角三角形を作る手順
- 求めたい長さを斜辺か 1 辺とする直角三角形を図の中に描く(頂点 3 つを選ぶ)
- その三角形の残り 2 辺を、先に別の直角三角形で求める(2 段階)
- 三平方の定理
「切り口を平面に描き出す」のがコツです。頭の中でやらず、必ず直角三角形だけを取り出して別に描いてください。
よくある間違い
- 直方体の対角線を √(a² + b²) で止める → 高さ c も入れて 3 つの 2 乗の和
- 円錐の体積に母線を使う → 高さに直す
- 正四角錐の高さを、側面の三角形の高さ(頂点から底辺の中点)と混同する → 立体の高さは底面の中心へ下ろす
4. 最短距離(展開図)
ここまでできれば十分(の次)
立体の表面を通る 2 点間の最短の道のりは、展開図で 2 点を直線で結んだ長さです。
縦 3、横 4、高さ 12 の直方体で、頂点 A から表面を通って反対の頂点 G へ行く最短距離。 展開の仕方が 3 通り(どの面を通るか)あり、それぞれ長方形の対角線:√((3 + 4)² + 12²) = √193、√((4 + 12)² + 3²) = √265、√((3 + 12)² + 4²) = √241。最短は √193
円錐の側面を 1 周する糸の最短:展開したおうぎ形(m1-16)で、糸の両端を直線で結ぶ。おうぎ形の中心角が 90° なら、直角三角形の斜辺 = 母線 × √2。
**「表面を通る」「糸をかける」「ひもの長さ」**と書いてあったら展開図です。立体のままでは最短がわかりません。
もう一歩(発展):空間の 2 点間距離
座標空間の 2 点 (x₁, y₁, z₁)、(x₂, y₂, z₂) の距離は √((差)² + (差)² + (差)²)。直方体の対角線と同じで、高校の内容ですが、直方体の頂点の座標で考えれば中学の範囲で扱えます。
球の切り口:半径 R の球を、中心からの距離 d の平面で切った切り口の円の半径は √(R² − d²)。「弦の垂線」と同じ図です。
5. 自己チェック
- どの 3 点で直角三角形を作ったか、図に描き出したか
- 空間では三平方の定理を2 回使ったか(底面の対角線 → 高さ)
- 円錐・角錐の体積は高さで、表面積は母線で計算したか
- 最短距離は展開図で直線にしたか。展開の仕方が複数あるとき比べたか
- 答えの √ の中を簡単にし、長さとして妥当な大きさか確かめたか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m3-17)
関連する単元
- 前提:m1-16 空間図形、m1-17 表面積と体積、m3-15 円と相似、m3-16 三平方の定理
- 次に進む:m3-18 標本調査
- ここで使う考え方が出てくる:高校入試の図形大問全般
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第3学年 B 図形 (3) 三平方の定理 ── 「三平方の定理を具体的な場面で活用すること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m3-17/ / 更新 2026-09-12