小説・随筆の読み方(心情・情景・語り手・表現技法) ── 問題
基礎
- 次の自作の一文に使われている表現技法はどれですか。「見えなかった、何も。」 (ア 直喩(「ようだ」を使ったたとえ) イ 擬人法(ものに人の動作・感情を与える) ウ 倒置(語順を変えて強調・余韻) エ 隠喩(「ようだ」を使わず直接重ねるたとえ))
- 小説の情景描写について正しいものはどれですか。 (ア 情景描写は飾りで、心情とは無関係 イ 雨は必ず悲しみ、晴れは必ず喜びを表す ウ 情景描写は作者の趣味を示す エ 天候や光は人物の心情や場面の空気を映すが、「雨=悲しみ」のような決まった対応はなく、文脈で読む)
- 「水はしばらく流れ続けた」(合格を告げられた母が台所で水を出し続ける場面)の「水」の働きはどれですか。 (ア 直喩。水を涙にたとえると明言している イ 単なる事実の報告で、心情とは無関係 ウ 擬人法。水に意志を与えている エ 象徴。涙や、言葉にできない感情を具体物に重ねている)
標準
- 次の自作の場面で、傍線部の行動から読み取れる人物の心情として最も適切なものはどれですか。 「父の葬式の夜、兄は淡々と弔問客の名前を帳面に書き続けた。ペンを置いたのは、全員が帰ったあとだった。(傍線部:淡々と名前を書き続けた)」 (ア 悲しみを表に出さないように、作業に没頭することで気持ちを抑えている イ 弔問客の名前を帳面に書く作業が楽しく、一人ひとりの名前を覚えることに夢中になっている ウ 帳面を書く仕事を押しつけられたことを迷惑に思い、不満を隠しながら仕方なく続けている エ 父の死をまったく悲しんでおらず、事務的な作業を淡々とこなすことで葬式を早く終わらせたい)
- 次の自作の情景描写が表している場面の空気・人物の心情として最も適切なものはどれですか。 「炬燵の上に、みかんの皮が三つ、きれいに並べて置かれていた。テレビは消えていて、時計の音だけがしていた。」 (ア これから始まる旅への期待と高揚 イ 事件の直前の張りつめた緊張 ウ 誰かがさっきまでいた気配と、一人になったあとの静けさや寂しさ エ 大勢で過ごすにぎやかな団らんの楽しさ)
- 次の自作の一文の表現の効果として最も適切なものはどれですか。「白い病室に、赤い林檎が一つ置かれていた。」 (ア 白と赤の色彩の対比で、生命感のある林檎を際立たせ、病室の静けさを印象づける イ 病室の広さと林檎の数を数字で正確に伝え、場面を客観的に報告する ウ 擬人法で林檎に感情を与え、林檎が病室で寂しがっている様子を描いて同情を誘う エ 「一つ」の反復で林檎の数を強調し、見舞いの品が少ないことへの不満を表す)
- 次の自作の随筆で、筆者の「気づき(抽象)」にあたる文はどれですか。 「①記録することと、その場にいることは、同じではない。②子どもの運動会で、私はカメラの画面越しにずっと娘を追っていた。③家に帰って写真を見返すと、娘の走る姿を一度も直接見ていなかったことに気づいた。」 (ア ① イ ② ウ ③)
- 小説の読み方について、回想の場面を見つける手がかりはどれですか。 (ア 情景描写が長く続く所で、風景の描写は現在ではなく過去の場面を表すと本文から判断できる イ 「〜たものだった」「あの頃」などの表現や、時間・場所の飛躍。回想の始まりと終わりを確認する ウ 会話文が多く続く所で、会話の中で過去の出来事が語られると回想になるという考え方が一般的である エ 人物の名前がフルネームで出る所で、名前が改めて紹介されると場面が過去に戻るというのが読解の基本である)
- 心情説明の選択肢を外す基準として適切でないものはどれですか。 (ア 本文の言葉がそのまま入っていない選択肢は外す イ 「絶望」「憎悪」など本文の描写より強すぎる言い方は外す ウ 視点人物以外の内面を断定しているものは外す エ 本文に描写の根拠がない心情は外す)
- 随筆と評論の違いとして適切なものはどれですか。 (ア 評論は「〜である」と論証し、随筆は体験から「〜と思えた」と感じ方を語る。随筆で「筆者は断定している」という選択肢は外れやすい イ 随筆には筆者の考えが書かれない ウ 随筆は事実だけを書き、評論は感想を書く エ 評論は必ず一人称で書かれる)
発展
- 「転校の朝、机の中を空にしてから、私はもう一度引き出しを開けて、閉めた。何も入っていないのはわかっていた。」この描写の読み方として最も適切なものはどれですか。 (ア 転校を楽しみにする気持ちを表す イ 「わかっていた」のに開けるという無意味な行動が、頭では受け入れている別れを心ではまだ受け入れきれていない名残惜しさを表す ウ 忘れ物を心配する几帳面な性格を表す エ 引き出しの構造を説明している)
- 共通テストの文学的文章で、本文のあとに「批評文」や「作者のエッセイ」が付いて比較させる設問が出たときの解き方はどれですか。 (ア 資料の筆者の経歴から判断する イ 資料は読まず本文だけで答える ウ 資料の主張を一言でまとめ、本文のどの描写・表現がその主張に対応するかを具体的に結びつける。資料にない解釈を本文に当てはめない エ 資料の言葉が多く入った選択肢を選ぶ)
小説・随筆の読み方(心情・情景・語り手・表現技法) ── 解答
基礎
- ウ 倒置(語順を変えて強調・余韻) 技法の名前は入口。設問では「何を表し、読者にどう伝わるか」まで答える。答え:倒置(語順を変えて強調・余韻)。
- エ 天候や光は人物の心情や場面の空気を映すが、「雨=悲しみ」のような決まった対応はなく、文脈で読む 雨は「沈む」にも「洗い流す・再生」にもなる。場面の前後の情景の変化を見る。
- エ 象徴。涙や、言葉にできない感情を具体物に重ねている 「ようだ」を使わず、具体物が抽象的な意味を背負うのが象徴。
標準
- ア 悲しみを表に出さないように、作業に没頭することで気持ちを抑えている 心情は、直前の出来事(原因)→ 行動・身体反応(表れ)→ 後の行動(確認)の順で読む。複数の感情が混じる選択肢が正解になりやすく、常識だけで選んだ単純な心情や、本文に根拠のないものは外す。答え:悲しみを表に出さないように、作業に没頭することで気持ちを抑えている。
- ウ 誰かがさっきまでいた気配と、一人になったあとの静けさや寂しさ 情景は決まった意味ではなく、その場面の文脈(誰もいない・光が差す・目をそらす など)で読む。情景の変化は心情の変化。答え:誰かがさっきまでいた気配と、一人になったあとの静けさや寂しさ。
- ア 白と赤の色彩の対比で、生命感のある林檎を際立たせ、病室の静けさを印象づける 表現の効果は、技法の名前+表している心情・空気+読者への伝わり方の 3 点。場面の雰囲気と合わない効果(暗い場面で「明るい」)は外す。答え:白と赤の色彩の対比で、生命感のある林檎を際立たせ、病室の静けさを印象づける。
- ア ① 随筆は「体験(具体)→ 気づき(抽象)」。気づきの文末は「〜のかもしれない」「〜だろう」「〜と思う」など柔らかい断定。気づきを先に置く型もある。気づきを先に置く型。①が抽象、②③が体験。答え:①。
- イ 「〜たものだった」「あの頃」などの表現や、時間・場所の飛躍。回想の始まりと終わりを確認する 答え:「〜たものだった」「あの頃」などの表現や、時間・場所の飛躍。回想の始まりと終わりを確認する。
- ア 本文の言葉がそのまま入っていない選択肢は外す 正解の選択肢は本文を言い換えていることが多い。本文の言葉をそのまま多く含む選択肢が罠であることもある。
- ア 評論は「〜である」と論証し、随筆は体験から「〜と思えた」と感じ方を語る。随筆で「筆者は断定している」という選択肢は外れやすい 随筆の構造は「体験(具体)→ 気づき(抽象)」。文末の「〜かもしれない」「〜気がする」が気づきの目印。
発展
- イ 「わかっていた」のに開けるという無意味な行動が、頭では受け入れている別れを心ではまだ受け入れきれていない名残惜しさを表す 意味のない行動・繰り返しの動作は、言葉にならない感情の表れとして読む。
- ウ 資料の主張を一言でまとめ、本文のどの描写・表現がその主張に対応するかを具体的に結びつける。資料にない解釈を本文に当てはめない 複数資料の型。共通点・相違点を一言で言えるようにし、本文の根拠に戻る。
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