高1 / 現代文 / jn-02

更新 2026-09-13

小説・随筆の読み方(心情・情景・語り手・表現技法)

この単元でできるようになること

入試での位置づけ

共通テスト国語の第 2 問(文学的文章)は、小説または随筆・詩など。約 3,000〜4,000 字に 5〜6 問、配点 45〜50 点。「傍線部の心情」「行動の理由」「表現の効果」「本文と批評文や別資料の比較」が出ます。本文の描写に根拠がある選択肢だけが正解で、「こう感じるのが普通」という常識的な心情を選ぶと外れます。この単元の例文はすべてこのサイトのための自作です。


1. 心情の読み取り ── 直接書かれないものを読む

まずここだけ

小説は「悲しかった」と書かずに、悲しさが表れる行動や情景を書く。心情の手がかりは 5 つ。

手がかり例(自作)読み取れる心情
行動返事をせず、靴の紐を結び直した答えたくない・ためらい・動揺を隠す
会話(言い方)「別に」と言って、窓の外を見た本心を隠す・強がり
身体の反応喉が鳴った/指先が冷たくなった/頬が熱くなった緊張・恐れ・恥ずかしさ
情景夕方の光が、教室の床に長く伸びていた終わりの予感・寂しさ(文脈で決まる)
直接の心情語うれしかった・腹が立ったそのまま(ただしそれだけで終わらない:その後の行動と矛盾しないか)

読み方

  1. 傍線部の直前の出来事(何が起きたか・誰が何を言ったか)を確認 → 心情の原因
  2. 傍線部の行動・身体反応を確認 → 心情の表れ
  3. 傍線部のの行動・会話で確かめる(矛盾しないか)
  4. 心情は複数が混じることが多い(「うれしいが、素直に喜べない」「怒りと、それを恥じる気持ち」)。選択肢では両方が書かれているものが正解になりやすい

自作例:「『合格、おめでとう』と母は言った。言ってから、台所に戻って水を出した。水はしばらく流れ続けた。」 → 行動(台所に戻る・水を流し続ける)から、祝う気持ちと、娘が家を出ることへの寂しさ(素直に喜べない複雑な気持ち)を読む。「水」は涙の象徴にもなっている。


2. 情景描写 ── 景色は心の鏡

まずここだけ

自作例:「駅のホームには、もう誰もいなかった。電車の去った線路の上で、蛾が一匹、灯りに当たり続けていた。」 → 誰もいないホーム・去った電車・同じ所をぶつかり続ける蛾 = 取り残された感じ・行き場のなさ


3. 語り手・視点・時間

まずここだけ

項目種類読むときの注意
語り手一人称(私・僕)/三人称(彼・彼女・名前)一人称は語り手の知らないこと・気づかないことがある(読者には見えて語り手には見えない)
視点誰の内面が描かれるか(視点人物)。三人称でも一人の内側に寄る(「彼は〜と思った」)ことが多い視点人物以外の心情は行動・会話からしか読めない。視点が移る場面に注意
語り手と作者語り手 ≠ 作者。「私」は作中の人物随筆では語り手 = 筆者に近い
時間現在の場面回想(「〜たものだった」「あの頃」)/場面転換(行空き・時間の飛び)回想の始まりと終わりを見つける。過去の出来事が現在の心情の原因になる
語りの距離人物に近い(内面を細かく)/遠い(外から淡々と)淡々と語られる場面ほど感情が抑えられている(強い感情の裏返し)ことがある

人物像の読み方行動・発言・他の人物の反応・外見の描写を集めて一言でまとめる(「不器用だが誠実」)。変化(最初と最後でどう変わったか)を問われることが多い。


4. 表現技法とその効果

まずここだけ

技法例(自作)効果(設問で使う言い方)
比喩(直喩)声は、氷の上を転がる小石のようだった感覚的に具体化する・印象を強める
比喩(隠喩)彼の言葉は、いつも私の胸に刺さる棘だった「ようだ」を使わず直接重ねる。強い一体感
擬人法古い時計が、ためらうように鳴ったものに感情を与え、人物の心情を重ねる
象徴流れ続ける水(涙)/閉じた窓(心を閉ざす)具体物抽象的な意味を背負う
倒置見えなかった、何も。語順を変えてその語を強調・余韻
反復待った。待った。それでも来なかった。時間の長さ・感情の高まりリズム
体言止め窓の外、ただ雪。余韻印象を残す・簡潔
短文・言い切り扉が閉まった。終わった。緊張断絶・感情の抑制
対比騒がしい教室と、静かな保健室二つを並べて違いを際立たせる
色彩・光白い病室に、赤い林檎が一つ視覚的な印象・象徴(赤 = 生命)
オノマトペぽつり、ぽつりと話した臨場感・感覚の具体化
会話の省略・沈黙「……」「うん」言葉にならない感情・距離
視点の転換・場面の飛躍行空きで十年後時間の経過対比
反語・問いかけあれは本当に春だったのか疑い心の揺れを読者に伝える

「表現の効果」設問の答え方:①技法の名前(比喩・反復…)、②何を表しているか(人物の心情・場面の空気)、③読者にどう伝わるか(印象を強める・余韻・臨場感)。本文の内容と合わない効果(明るい場面で「不安を強める」)は外す。


5. 随筆(エッセイ)の読み方

まずここだけ

自作例:「祖父の書斎を片づけていると、辞書の間から、私が小学生のときに描いた絵が出てきた。祖父は一度もその絵のことを話さなかった。人は、大切なものほど口にしないのかもしれない。」 → 体験:絵が出てきた・祖父は話さなかった。気づき:最後の文(「のかもしれない」)。


6. 設問の型と解き方

まずここだけ

問い方解き方
心情説明「このときの〜の気持ちとして適切なもの」直前の出来事(原因)+行動・身体反応(表れ)+後の行動(確認)。複数の感情が混じるものが正解になりやすい
行動の理由「〜したのはなぜか」直前の会話・出来事人物の性格・立場。「〜から」で傍線部とつながるか
表現の効果「この表現の効果として適切なもの」技法 + 表す心情・空気 + 読者への伝わり方。場面の雰囲気と合うか
人物像「〜はどのような人物か」行動・発言・他人の反応を集める。一つの場面だけで決めない
情景の意味「この描写は何を表しているか」人物の心情との対応。場面の前後の情景の変化
本文と資料「批評文・作者の言葉・別の場面との比較」資料の主張を一言でまとめ、本文のどの描写が対応するか

選択肢の外し方

  1. 本文に描写の根拠がない心情(常識ではそう感じそうでも)
  2. 言い過ぎ(「絶望」「憎悪」「完全に」── 本文は「ためらい」程度)
  3. 原因のすり替え(心情の原因が別の出来事になっている)
  4. 人物のすり替え(A の心情を B のものとする・視点人物以外の内面を断定)
  5. 時間のずれ(後でわかることを、その時点の心情としている)
  6. 一部だけ正しい(前半は合うが後半が本文にない)

7. 読む手順

まずここだけ

  1. 登場人物関係(誰と誰・年齢・立場)をメモ。語り手・視点人物を確認
  2. 場面の区切り(時間・場所が変わる所、回想の出入り)に線
  3. 人物の行動・身体反応に印、情景に波線 → 心情の手がかり
  4. 心情の変化(最初 → きっかけ → 最後)を一言ずつメモ
  5. 設問は傍線部の前後に戻り、原因 → 表れ → 確認の順で本文の言葉で答えを作ってから選択肢へ
  6. 随筆は体験と気づきを線で結ぶ

8. よくある間違い


9. 自己チェック

  1. 心情の手がかり 5 つと、読み取りの順(原因 → 表れ → 確認)を言えるか
  2. 情景描写の読み方(決まった意味ではなく文脈・変化)を説明できるか
  3. 語り手・視点人物・回想の見つけ方を言えるか
  4. 表現技法 10 と、その効果の言い方を言えるか
  5. 随筆の「体験 → 気づき」の構造と文末の特徴を言えるか
  6. 選択肢の外し方 6 つを言えるか

10. 小テストへ

→ 小テスト(jn-02

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
基礎から標準から発展から

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