高2 / 現代文 / jn-04
記述・要約と複数資料の読み取り(実用的文章・グラフ)
この単元でできるようになること
- 記述問題の答案の作り方(問いの型に合わせた文末・本文の言葉の言い換え・字数の配分)を使える
- 要約の手順(主張 → 根拠 → 対比の相手、の順に骨組みを作り、具体例を削る)で、指定字数にまとめられる
- 共通テストの実用的文章(案内文・規約・報告書・会話文・生徒のノート)から必要な情報だけを取り出せる
- グラフ・表の読み取り(割合と実数の区別・増減の幅・比較の軸)で、文章の主張と資料の対応を確かめられる
- 複数の文章の共通点・相違点を一言でまとめ、「A の立場から B を見るとどうか」に答えられる
入試での位置づけ
共通テスト国語は 2025 年度から第 3 問に実用的な文章(配点 20 点)が加わり、文章+図表+会話文・ノートの組み合わせで出ます。国公立の二次試験では記述(「〜を 80 字以内で説明せよ」)が中心で、本文の言葉を使って、問いに正面から答える力が問われます。この単元の例文・資料はすべて自作です。
1. 記述問題の答案の作り方
まずここだけ
手順:
- 問いの型を確認し、文末を決める
問い 文末 「どういうことか」 「〜ということ。」 「なぜか」 「〜から。」「〜ため。」 「どのような気持ちか」 「〜気持ち。」「〜という思い。」 「どのような人物か」 「〜人物。」 「筆者の考えを説明せよ」 「〜という考え。」または「〜である。」 - 傍線部を分解する(主語・述語・指示語・比喩・キーワードごとに)→ それぞれを本文の言葉で言い換える
- 本文から根拠を集める(傍線部の前後・「つまり」の後・対比の相手)
- 骨組みを作る:「(誰が/何が)(どうする・どうなる)(なぜ・どのように)」
- 字数に合わせて要素を足す・削る(字数の 8 割以上を埋める。80 字なら 64 字以上)
- 読み返す:問いに答えているか・主語と述語が合うか・比喩や指示語がそのまま残っていないか
採点のされ方:要素ごとの加点(「A の要素 3 点・B の要素 3 点・文末 1 点」)。だから要素を落とさないことが最優先。美しい文より要素がそろった文。
自作例:本文「便利さの代償は、時間ではなく経験なのである」に対し「傍線部はどういうことか、40 字以内で説明せよ」 → 分解:便利さ/代償/時間ではなく/経験。言い換え:便利になると、待ったり手間をかけたりする経験そのものが失われるということ。(39 字)
2. 要約の手順
まずここだけ
- 主張(筆者が最も言いたいこと。最終段落・「つまり」の後)を一文に
- 根拠・理由(なぜそう言えるか)を一文に
- 対比の相手(何に対してそう言うのか:「〜ではなく〜」)を入れる
- 具体例・引用・繰り返しは削る(例は「〜など」で一語にするか消す)
- 接続語でつなぐ(「〜。しかし〜。したがって〜。」)
- 字数に合わせる。100 字なら 2〜3 文、200 字なら 4〜5 文
要約の型(100 字):「一般には A と考えられている。しかし筆者は、(根拠)から、B だと主張する。」
削るもの・残すもの:
| 削る | 残す |
|---|---|
| 具体例・体験談・固有名詞 | 主張(抽象)・キーワード |
| 引用・他人の意見の詳細 | 対比の軸(A ではなく B) |
| 同じ内容の言い換え(2 回目以降) | 理由(〜から) |
| 比喩(普通の言葉に直す) | 筆者の評価(〜すべき・〜が重要) |
3. 実用的文章の読み取り
まずここだけ
出る形式:案内文・募集要項・規約・報告書・新聞記事・会話文(生徒と先生)・生徒のメモやノート・ポスター。
読み方:
- 設問を先に読み、何を探すかを決める(「申込期限は」「対象者は」「A さんが引用した根拠は」)
- 資料の見出し・項目名でどこに何が書いてあるかを把握(全部読まない)
- 条件(「ただし」「〜を除く」「〜の場合は」「〜以上」)に印。例外が設問になる
- 数字(日付・期限・人数・金額・%)はそのまま照合
- 会話文・ノート:空欄は本文・資料の語をそのまま入れる。生徒の発言に「資料 2 によれば」とあれば資料 2 のどの部分かを特定
- 選択肢の吟味:資料に書いてあるか(推測・常識は不可)、数字・条件が一致するか、言い過ぎ(「すべて」「必ず」)でないか
自作例(募集要項):「対象:市内在住または在学の高校生。定員 20 名(先着順)。申込:9 月 1 日〜9 月 20 日(必着)。ただし 9 月 15 日までに申し込んだ場合は交通費を支給。」 → 設問「交通費が支給される条件」= 9 月 15 日までの申込(「ただし」の後)。「市外在住でも市内の高校に在学なら対象」(「または」)。
4. グラフ・表の読み取り
まずここだけ
| 見るところ | 注意 |
|---|---|
| 題・軸・単位 | 何の何についてのグラフか。%(割合)か人・円(実数)か |
| 割合と実数 | 割合が増えても実数は減ることがある(全体が減れば)。「20 % → 25 %」は5 ポイント増(5 % 増ではない)。25 ÷ 20 = 1.25 倍 |
| 増減の幅 | 「大きく増えた」は数字で確認(何から何へ・何倍) |
| 比較の軸 | 年ごとの変化(折れ線)/項目ごとの比較(棒)/全体に占める割合(円・帯) |
| 「A が増えると B も増える」(相関)は「A が B の原因」(因果)とは限らない | |
| 最大・最小・逆転 | 順位が入れ替わる年、一番大きい項目は設問になりやすい |
| 注・出典・調査方法 | 「複数回答」(合計が 100 % を超える)、「n = 200」(回答者数)、調査年 |
文章と資料の対応:本文の主張「若者の読書離れが進んでいる」に対し、グラフが「1 か月に本を読まない人の割合」なら対応、「書店の数」なら直接の根拠にならない(別の要因があり得る)。設問「本文の主張の根拠として適切な資料」は主張の語とグラフの題が対応するものを選ぶ。
計算の基本:
- 割合 = 部分 ÷ 全体 × 100(%)
- = 後の % − 前の %
- 倍率 = 後 ÷ 前
- 実数 = 全体 × 割合
5. 複数の文章の比較
まずここだけ
- それぞれの主張を一文に(文章 I:「〜」、文章 II:「〜」)
- 共通点(同じ問題を扱う・同じ前提)と相違点(結論・立場・重視するもの)を一言で
- 設問の型:
- 「I と II に共通する考え」→ 両方に書いてあることだけ(片方にしかないものは外す)
- 「I の立場から II を批判・評価するとどうなるか」→ I の主張・基準を II に当てはめる(I にない基準を持ち込まない)
- 「II は I のどの点を補っているか」→ I で触れていないことを II が述べている部分
- 生徒の話し合いの形式:各生徒の発言がどの文章のどこを根拠にしているか。「それは違う」と否定される発言の誤りの理由が設問になる
自作例:文章 I「便利さは経験を奪う」/文章 II「便利な道具は、空いた時間で新しい経験を可能にする」 → 共通点:便利さと経験の関係を論じる。相違点:I は経験の喪失、II は経験の創出。「I の立場から II を見ると」→ 「空いた時間」も別の便利な道具で埋まり、待つ・手間をかける経験は戻らない、と批判できる。
6. よくある間違い
- 「なぜか」に「〜ということ。」で答える(文末を問いに合わせる)
- 比喩・指示語をそのまま答案に書く(普通の言葉に直す)
- 本文の一文をそのまま抜き出して字数を埋める(要素をそろえて言い換える)
- 字数の半分しか書かない(8 割以上)
- 要約に具体例を入れて主張を落とす(主張・根拠・対比を優先)
- 「20 % → 25 %」を「5 % 増」と言う(5 ポイント増・1.25 倍)
- 割合の増加を実数の増加と思う(全体が減れば実数は減り得る)
- 「A が増えると B も増える」を「A が B の原因」と読む(相関 ≠ 因果)
- 複数回答の円グラフで合計 100 % を前提に計算する
- 実用的文章の「ただし」「除く」を読み飛ばす(例外が設問)
- 複数資料の「共通する考え」で片方にしかないことを選ぶ
- 「I の立場から II を評価」で、I にない基準を持ち込む
7. 自己チェック
- 問いの型 5 つと対応する文末を言えるか
- 記述の手順(分解 → 言い換え → 根拠 → 骨組み → 字数 → 読み返し)を言えるか
- 要約で削るもの・残すものを言えるか
- 実用的文章の読み方(設問先読み・見出し・条件・数字・空欄は資料の語)を言えるか
- 割合と実数・ポイント差・倍率・相関と因果 を説明できるか
- 複数文章の設問 3 型の解き方を言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(jn-04)
関連する単元
- 前提:jn-01 評論の読み方(主張・対比・具体と抽象)、k-13 作文と表現の決まり(中学)
- 次に進む:jn-02 小説・随筆の読み方(心情の記述)
- ここで使う考え方が出てくる:m1-18 データの活用(相対度数・割合)、h1-13 データの分析(相関)、gt-01 地図と GIS(統計資料の読み取り)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「現代の国語」の「書くこと」「読むこと」(実用的な文章)
- 大学入試センター「令和 7 年度 大学入学共通テスト 問題作成方針」(国語:近代以降の文章 3 題・第 3 問は実用的な文章)
- 例文・資料はすべて本サイトのための自作
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/japanese/jn-04/ / 更新 2026-09-13