高1 / 地理総合 / gt-01
地図と GIS(図法・時差・地形図・地理情報システム)
この単元でできるようになること
- 緯度・経度と対蹠点、時差(経度 15° で 1 時間、日付変更線、サマータイム)を計算できる
- 主な地図の図法(メルカトル・正距方位・モルワイデなど)の特徴と、用途・ゆがみを説明できる
- 地形図の読み方(縮尺・等高線・地図記号・断面図)と、距離・面積・傾斜の計算ができる
- (地理情報システム)・GNSS(GPS)・リモートセンシングの意味と使い方を説明できる
- 統計地図(階級区分図・図形表現図・ドットマップ・流線図)の使い分けを説明できる
入試での位置づけ
地理総合の最初の単元で、共通テストでは「図法の特徴を選ぶ」「2 地点の時差を求める」「地形図から距離や傾斜を読む」「階級区分図に向く統計はどれか」が毎年のように出ます。計算は中学(g-01・g-11)と同じですが、サマータイムや日付変更線をまたぐ問題、主題図の選択まで問われるのが高校の範囲です。
1. 緯度・経度と時差
まずここだけ
- 緯度:赤道 0°、北極・南極 90°。経度:ロンドン(旧グリニッジ天文台)を通る本初子午線が 0°、東西 180°
- 地球は 24 時間で 360° 自転 → 経度 15° で 1 時間の時差。東にある地点ほど時刻が進んでいる
- 日本の標準時子午線は東経 135°(兵庫県明石市)→ 日本は UTC(協定世界時)+9 時間
- 日付変更線(ほぼ経度 180°):西から東へ越えると日付を 1 日戻す、東から西へ越えると 1 日進める
- 対蹠点(地球の裏側):緯度は北緯・南緯を入れ替え、経度は 180° − もとの経度で東西を入れ替える。東京(北緯 36°・東経 140°)の対蹠点は南緯 36°・西経 40°(アルゼンチン沖)
計算の型:
- 2 地点の経度差を出す(東経と西経なら足す、同じ側なら引く。180° を超えたら 360° から引く)
- 15 で割って時差(時間)
- 東側の地点が先に進んでいるので、東の地点 = 西の地点 + 時差
東京(東経 135°)が 1 月 10 日 午前 9 時のとき、ニューヨーク(西経 75°)は? 経度差 135 + 75 = 210° → 14 時間。ニューヨークは西なので 14 時間戻す → 1 月 9 日 午後 7 時
- サマータイム(夏時間):欧米の多くで夏に時計を 1 時間進める。問題文に「夏時間実施中」とあれば、その地点の時刻をさらに 1 時間進める
- 飛行時間:到着地の時刻 − 出発地の時刻を、同じ標準時にそろえてから引く
2. 地図の図法
まずここだけ
球面を平面にするので、距離・方位・面積・角度のすべてを正しくは表せない。何を正しくするかで図法が変わる。
| 図法 | 正しいもの | 特徴・用途 | ゆがみ |
|---|---|---|---|
| メルカトル図法(正角円筒図法) | 角度(2 地点を結ぶ直線が等角航路) | 経線と緯線が直交。海図・ウェブ地図(Google マップなど)の基本 | 高緯度ほど面積が拡大(グリーンランドがアフリカ並みに見える。実際は 1/14)。極は表せない。直線は最短ではない |
| 正距方位図法 | 中心からの距離と方位 | 中心から任意の点への直線が大圏航路(最短経路)。航空図、国連の旗 | 外周(中心の対蹠点)が大きくゆがむ。中心以外の 2 点間は正しくない |
| モルワイデ図法(正積) | 面積 | 楕円形。分布図(人口・作物など)に向く | 形(角度)がゆがむ。周辺が斜めに |
| サンソン図法(正積) | 面積 | 緯線は平行で等間隔、経線は正弦曲線。低緯度の形がよい | 高緯度の形が悪い |
| グード(ホモロサイン)図法(正積) | 面積 | 低緯度をサンソン、高緯度をモルワイデでつなぎ、海洋で断裂させた | 海が切れる |
| 正距円錐図法など | 中緯度の国の地図 |
大圏航路と等角航路:地球上の 2 点を結ぶ最短距離は大圏(大円)航路。メルカトル図法では高緯度側にふくらむ曲線に見える。等角航路(常に同じ方位に進む)はメルカトル図法で直線だが、最短ではない。
3. 地形図の読み方
ここまでできれば十分
国土地理院の地形図:2 万 5 千分の 1(主曲線 10 m ごと、計曲線 50 m ごと)と 5 万分の 1(主曲線 20 m、計曲線 100 m)。
- 実際の距離 = 地図上の長さ × 縮尺の分母
2 万 5 千分の 1 で 4 cm → 4 × 25,000 = 100,000 cm = 1 km
- 面積は縮尺の分母の2 乗倍(2 万 5 千分の 1 で 1 cm² → 250 m × 250 m = 62,500 m² = 6.25 ha)
- 等高線:間隔が狭いほど急、広いほど緩やか。尾根は高い側から張り出し、谷は低い側へ食いこむ。閉じた曲線の内側が高い(凹地は矢印つき)
- 傾斜(勾配):標高差 ÷ 水平距離。100 m 進んで 5 m 上がれば 5%
- 地図記号:地形と土地利用(田・畑・果樹園・広葉樹林・針葉樹林・荒地)、建物(学校 文・病院・神社・寺院・郵便局・官公署・警察署・消防署)、新しい記号:自然災害伝承碑(2019〜)、老人ホーム、風車
- 河川のそばの扇状地(果樹園・水無川)、三角州(水田・低湿地)、台地(畑・住宅)、河岸段丘を等高線と土地利用から読む(gt-02)
4. GIS・GNSS・リモートセンシング
ここまでできれば十分
| 技術 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| GIS(地理情報システム) | 位置情報をもつデータを地図上に重ねて分析・表示するしくみ | ハザードマップ、店舗の出店計画、地理院地図、RESAS(地域経済分析システム) |
| GNSS(全球測位衛星システム。米の GPS、日本のみちびきなど) | 複数の人工衛星からの電波で現在位置を測る | カーナビ、スマートフォン、農機の自動運転 |
| リモートセンシング(遠隔探査) | 人工衛星や航空機から地表を観測 | 気象衛星ひまわり、森林・作物・海面水温の監視、災害状況の把握 |
レイヤ(層):GIS では地形・道路・人口・浸水想定などを層として重ね、「浸水想定区域に住む高齢者の数」のような重ね合わせ分析ができる。
5. 統計地図(主題図)の使い分け
ここまでできれば十分
| 種類 | 向くデータ | 例 |
|---|---|---|
| 階級区分図(コロプレスマップ) | 割合・密度(人口密度、高齢化率、1 人あたり GDP)。絶対数には向かない(面積の大きい地域が目立つ) | 都道府県別の高齢化率 |
| 図形表現図 | 絶対数(人口、生産量)。円や棒の大きさで表す | 国別の GDP |
| ドットマップ | 分布・密集(1 点 = 1 万人 など) | 人口分布、家畜の頭数 |
| 流線図 | 移動の向きと量(矢印の太さ) | 貿易、人の移動 |
| 等値線図 | 連続的に変わる値 | 等高線、等温線、等降水量線 |
| メッシュマップ | 地域を格子に切って塗る | 人口メッシュ |
| カルトグラム(変形地図) | 面積を統計値に比例させた地図 | GDP で国の大きさを変えた地図 |
一般図(地形図など、いろいろな情報をのせた地図)と主題図(特定のテーマだけ)の区別も問われる。
6. よくある間違い
- 時差で「西の地点が進んでいる」とする(東が進む)
- 東経と西経の経度差を引き算する(足す)
- メルカトル図法の直線を最短経路と思う(最短は大圏航路。高緯度側にふくらむ)
- 正距方位図法で「どの 2 点間の距離も正しい」とする(中心からだけ)
- モルワイデ図法を「形が正しい」とする(面積が正しい。形はゆがむ)
- 地形図の面積を縮尺の分母倍にする(2 乗倍)
- 階級区分図で「人口(絶対数)」を塗る(割合・密度に使う。絶対数は図形表現図)
- GIS と GPS(GNSS)を混同する(GIS は分析・表示のしくみ、GNSS は位置を測る)
7. 自己チェック
- 経度差 → 15 で割る → 東が進む、の手順で時差を求められるか(日付変更線・サマータイムも)
- メルカトル・正距方位・モルワイデの「正しいもの」と用途を言えるか
- 大圏航路と等角航路の違いを言えるか
- 2 万 5 千分の 1 の距離・面積・傾斜の計算ができるか
- GIS・GNSS・リモートセンシングを区別できるか
- 階級区分図と図形表現図の使い分けを言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(gt-01)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 地理歴史編』── 「地理総合」A 地図や地理情報システムで捉える現代世界
- 国土地理院「地理院地図」「地図記号一覧」(https://www.gsi.go.jp/)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/social/gt-01/ / 更新 2026-09-13