高1 / 地理総合 / gt-03
気候(気候要素・ケッペンの区分・雨温図)
この単元でできるようになること
- 気候要素(気温・降水量・風)と気候因子(緯度・海抜高度・隔海度・海流・地形)の違いを説明できる
- 大気大循環(赤道低圧帯・亜熱帯高圧帯・偏西風・貿易風)と季節風から、雨の多い地域と乾く地域を説明できる
- (A・B・C・D・E と小文字の意味)を、判定の手順にしたがって雨温図・ハイサーグラフから決められる
- 各気候区の植生・土壌・農業・生活を結びつけて説明できる
- 日本の気候(6 区分)と、都市気候・気候変動の基本を説明できる
入試での位置づけ
地理総合で最も配点の重い分野のひとつ。「雨温図から気候区と都市を選ぶ」が毎年出ます。手順は ①最寒月・最暖月の気温で A/C/D/E ②降水量で B か ③小文字(f・w・s)。南半球は気温の山が逆、Cs は冬雨、Cw・Aw は夏雨がポイント。植生(サバナ・ステップ・タイガ)と土壌(ラトソル・ポドゾル・チェルノーゼム)も組で問われます。
1. 気候要素と気候因子
まずここだけ
- 気候要素:気候を表すもの = 気温・降水量・風(+湿度・日照)
- 気候因子:気候要素を変えるもの = 緯度(高いと寒い)、海抜高度(100 m で約 0.6 ℃下がる)、隔海度(海から遠いと大陸性:気温差が大きく乾燥。近いと海洋性:温和で湿潤)、海流(暖流で温暖・寒流で低温・沿岸砂漠)、地形(山の風上で雨、風下で乾く)、大気大循環
大気大循環と降水(eb-06 と同じ)
| 緯度 | 気圧帯・風 | 降水 | 気候 |
|---|---|---|---|
| 0° 付近 | 赤道低圧帯(熱帯収束帯)・上昇気流 | 多雨 | Af 熱帯雨林 |
| 10〜20° | 低圧帯が季節で南北移動 → 夏に雨・冬に乾燥 | 雨季と乾季 | Aw サバナ |
| 20〜30° | 亜熱帯(中緯度)高圧帯・下降気流 | 乾燥 | BW 砂漠(サハラ・アラビア・オーストラリア) |
| 30〜40° の大陸西岸 | 夏は高圧帯、冬は偏西風(雨) | 冬雨・夏乾燥 | Cs 地中海性 |
| 40〜60° | 偏西風と前線 | 年中適度 | Cfb 西岸海洋性、Df |
| 60° 付近 | 亜寒帯低圧帯 | ||
| 極 | 極高圧帯 | 少ない | E |
季節風(モンスーン):大陸と海の温度差で、夏は海 → 陸(湿った風・多雨)、冬は陸 → 海(乾いた風)。南アジア・東アジアの雨季・乾季。 貿易風(低緯度の東風)・偏西風(中緯度の西風)。
2. ケッペンの気候区分 ── 判定の手順
まずここだけ
ケッペンは植生に注目し、気温と降水量で区分した。
手順:
- 最寒月の平均気温を見る
- 18 ℃以上 → A(熱帯)
- −3 ℃以上 18 ℃未満 → C(温帯)
- −3 ℃未満 → D(亜寒帯・冷帯)(ただし最暖月 10 ℃以上)
- 最暖月が 10 ℃未満 → E(寒帯)(0〜10 ℃:ET ツンドラ、0 ℃未満:EF 氷雪)
- 降水量が少なすぎれば B(乾燥帯)(乾燥限界は気温で変わる。目安:年 500 mm 未満なら疑う)。BS ステップ(少し雨・短草)、BW 砂漠(ほとんど雨なし)
- 小文字:
- f:年中湿潤(Af・Cf・Df)
- w:冬に乾燥(夏雨)(Aw・Cw・Dw)
- s:夏に乾燥(冬雨)(Cs)
- m:弱い乾季(Am 熱帯モンスーン)
- 温帯の 3 文字目:a 最暖月 22 ℃以上(Cfa 温暖湿潤)、b 22 ℃未満(Cfb 西岸海洋性)
| 区 | 名前 | 特徴 | 植生・土壌 | 都市の例 |
|---|---|---|---|---|
| Af | 熱帯雨林 | 年中高温多雨、気温差小、午後にスコール | 常緑広葉樹の密林、ラトソル(赤くやせた土) | シンガポール、マナオス、クアラルンプール |
| Am | 熱帯モンスーン | 弱い乾季 | コルカタ、マイアミ | |
| Aw | サバナ | 雨季と乾季がはっきり | サバナ(疎林と長草)、ラトソル | バンコク、ダーウィン、ブラジリア、ナイロビ(高地) |
| BS | ステップ | 年 250〜500 mm 程度 | ステップ(短草草原)、チェルノーゼム(黒土・肥沃) | ウランバートル、ラホール |
| BW | 砂漠 | 極端に少雨、日較差大 | 砂漠土、オアシス | リヤド、カイロ、ラスベガス |
| Cs | 地中海性 | 夏乾燥・冬雨、夏は晴天 | 硬葉樹(オリーブ・コルクがし) | ローマ、アテネ、サンフランシスコ、ケープタウン、パース |
| Cw | 温暖冬季少雨 | 夏雨・冬乾燥(季節風) | 照葉樹 | ホンコン、クンミン、プレトリア |
| Cfa | 温暖湿潤 | 夏高温多湿、冬寒い、年中降水 | 常緑・落葉広葉樹 | 東京、ニューヨーク、上海、ブエノスアイレス、シドニー |
| Cfb | 西岸海洋性 | 偏西風で夏涼しく冬温和、気温差小 | 落葉広葉樹、褐色森林土 | ロンドン、パリ、ウェリントン、メルボルン |
| Df | 亜寒帯湿潤 | 冬は厳寒、年中降水 | タイガ(針葉樹林)、ポドゾル(灰白色・酸性・やせた) | モスクワ、シカゴ、札幌 |
| Dw | 亜寒帯冬季少雨 | 冬乾燥・極寒(世界の寒極) | タイガ | イルクーツク、ヤクーツク、ハバロフスク |
| ET | ツンドラ | 最暖月 0〜10 ℃、永久凍土 | 苔・地衣類 | バロー(ウトキアグヴィク)、ヌーク |
| EF | 氷雪 | 最暖月 0 ℃未満 | 氷 | 南極、グリーンランド内陸 |
| H | 高山 | 高度で低温(ケッペンの原区分にはない) | ラパス、クスコ |
雨温図の読み方のコツ:
- 気温の山が7 月なら北半球、1 月なら南半球(シドニー・ケープタウン・ブエノスアイレス)
- 気温の線がほぼ平らで高い → A(赤道付近)。平らで低い → H(高山:ナイロビ・ラパス・クスコ)
- 気温の山と雨の山が逆 → Cs(冬雨)。同じ → Cw・Aw・Cfa
- 降水の棒がほぼない → B
- 最寒月が −3 ℃を下回る → D
ハイサーグラフ:横軸に降水量、縦軸に気温をとり 12 か月を線で結んだ図。縦長 = 気温差大(大陸性)、横長 = 降水の季節差大、左に寄る = 乾燥。
3. 気候と生活・農業
ここまでできれば十分
| 気候 | 住居・衣服・食 | 農業 |
|---|---|---|
| 熱帯 | 高床式(湿気・害虫)、風通し、薄着。タロいも・キャッサバ | 焼畑、プランテーション(天然ゴム・油やし・カカオ・バナナ・コーヒー)、稲作 |
| 乾燥帯 | 日干しれんが、厚い壁、白い服で全身を覆う。なつめやし | オアシス農業、遊牧(羊・ヤギ・ラクダ)、灌漑、センターピボット |
| 温帯 | 地中海沿岸は石造り・白壁・小さな窓 | 地中海式農業(オリーブ・ぶどう・柑橘+冬の小麦)、混合農業(穀物+家畜)、酪農、稲作(アジア) |
| 亜寒帯 | 木造・高床(永久凍土で建物が傾くのを防ぐ)、ペチカ | 春小麦、じゃがいも、ライ麦、林業(タイガ) |
| 寒帯 | イグルー(かつて)、毛皮 | トナカイの遊牧、狩猟・漁 |
| 高山 | 石造り、ポンチョ、リャマ・アルパカ | じゃがいも・とうもろこし(標高で作物を変える) |
4. 日本の気候
ここまでできれば十分
日本はほぼ Cfa(北海道は Df)。6 区分:
| 区分 | 特徴 | 都市 |
|---|---|---|
| 北海道 | 冷帯。梅雨なし、冬は長く寒い、降水少なめ | 札幌・釧路 |
| 日本海側 | 冬に多雪(北西季節風+日本海の水蒸気) | 金沢・新潟・秋田 |
| 太平洋側 | 夏に多雨(南東季節風・台風)、冬は晴れて乾燥 | 東京・高知・宮崎 |
| 中央高地(内陸) | 降水少、気温差大、冬寒い | 松本・長野 |
| 瀬戸内 | 山にはさまれ年中少雨、温暖 | 高松・岡山 |
| 南西諸島 | 亜熱帯。年中温暖・多雨、台風 | 那覇 |
都市気候:ヒートアイランド(アスファルト・排熱で都心が高温)、ゲリラ豪雨。対策:屋上緑化・打ち水・風の道。
5. よくある間違い
- 気候要素と気候因子を混同する(要素 = 気温・降水・風、因子 = それを変える緯度・高度など)
- A と C の境目を 0 ℃とする(最寒月 18 ℃。C と D の境目が −3 ℃)
- Cs を「夏に雨」とする(夏乾燥・冬雨。s = summer dry)
- 南半球の雨温図を北半球と同じ向きに読む(気温の山が 1 月)
- ステップ気候にラトソルとする(チェルノーゼム・栗色土。ラトソルは熱帯)
- ポドゾルを肥沃とする(やせた酸性土。肥沃なのはチェルノーゼム・レグール・テラローシャ)
- 日本海側の多雪を「夏の季節風」とする(冬の北西季節風)
- ロンドンを Cfa とする(Cfb。夏が涼しい)
6. 自己チェック
- 気候要素 3 つと気候因子 5 つを言えるか
- 赤道低圧帯・亜熱帯高圧帯・偏西風で雨の多い所・乾く所を説明できるか
- ケッペンの判定手順(最寒月 → 乾燥 → 小文字)を使えるか
- 13 の気候区の特徴・植生・土壌・都市を言えるか
- 雨温図で南半球・Cs・B・D・H を見分けられるか
- 日本の 6 区分と成因を言えるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(gt-03)
関連する単元
- 前提:g-02 世界の気候(中学)、eb-05 大気、eb-06 大気大循環
- 次に進む:gt-04 農業(気候と作物)、gt-07 生活文化
- ここで使う考え方が出てくる:gt-08 地球的課題(温暖化・砂漠化)、g-07 日本の気候(中学)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 地理歴史編』── 「地理総合」B (1) 生活文化の多様性と国際理解
- 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView)」平年値(雨温図の一次資料:
docs/一次資料_気象庁平年値_世界_2026-09-12.csv)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/social/gt-03/ / 更新 2026-09-13