高1 / 地学基礎 / eb-05
大気の構造と熱収支
この単元でできるようになること
- 大気の組成(N₂ 78%・O₂ 21%・Ar 0.9%・CO₂ 0.04%)と、気圧(1 気圧 = 1013 hPa、高度とともに減少)を説明できる
- 大気の4 層構造(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏)を、気温の変化と特徴(対流・オゾン層・オーロラ)で言える
- 太陽放射(可視光線が中心)と地球放射(赤外線)、太陽定数(約 1.37 kW/m²)を説明できる
- 地球の熱収支(反射・吸収・放射のバランス、のしくみ)を説明できる
- 高度と気温(気温減率 約 6.5 ℃/km)、緯度による熱の過不足を計算・説明できる
入試での位置づけ
大気の構造は「4 層の気温変化のグラフ」と「成層圏でオゾンが紫外線を吸収して気温が上がる」が定番。熱収支は「太陽放射は可視光線、地球放射は赤外線」「温室効果ガスは赤外線を吸収して再放射」を図で説明できるかが問われます。太陽定数と地球が受け取るエネルギー(πR² × 太陽定数)の計算も出ます。
1. 大気の組成と気圧
まずここだけ
乾燥空気の組成(体積 %):窒素 N₂ 78%、酸素 O₂ 21%、アルゴン Ar 0.9%、二酸化炭素 CO₂ 0.04%(約 420 ppm、増加中) 水蒸気は場所・時間で変わる(0〜4%)ので別に扱う。約 80 km までは組成がほぼ一定。
気圧:その上にある空気の重さ。1 気圧 = 1013 hPa = 1.013 × 10⁵ Pa。
- 高度が上がると急に減る(約 5.5 km で半分、16 km で 1/10)
- 大気の質量の約 8 割は対流圏(〜11 km)にある
2. 大気の層構造
まずここだけ
気温の変化で 4 つに分ける。境界を「〜界面」という。
| 層 | 高度 | 気温 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 対流圏 | 0〜約 11 km(低緯度で高く極で低い) | 上ほど下がる(約 6.5 ℃/km) | 対流が起こり、雲・雨などの気象現象はここだけ。水蒸気がある。上端が対流圏界面 |
| 成層圏 | 11〜約 50 km | 上ほど上がる | オゾン層(20〜30 km)が紫外線を吸収して加熱。対流がなく安定(ジェット機が飛ぶ) |
| 中間圏 | 50〜約 80 km | 上ほど下がる(最低 −90 ℃:大気中で最も低温) | 流星が光る |
| 熱圏 | 80 km〜 | 上ほど上がる(数百〜1000 ℃以上。ただし空気が薄く熱くは感じない) | オーロラ(100〜300 km)、電離層(電波を反射)、国際宇宙ステーション(400 km) |
グラフ:気温は 下がる → 上がる → 下がる → 上がる のジグザグ。境界で折れ曲がる。
3. 太陽放射と地球放射
まずここだけ
- 太陽放射:太陽表面(約 5800 K)からの電磁波。エネルギーの大部分は可視光線(一部紫外線・赤外線)
- 太陽定数:地球の大気の上端で太陽に垂直な 1 m² が 1 秒に受けるエネルギー = 約 1.37 kW/m²(1.37 × 10³ W/m²)
- 地球全体が受け取るエネルギー = 太陽定数 × πR²(断面積)。地表全体(4πR²)で平均すると 1/4 = 約 340 W/m²
- 地球放射:地表(約 288 K = 15 ℃)からの放射は赤外線。温度が低いほど波長の長い電磁波を出す
4. 地球の熱収支と温室効果
ここまでできれば十分
太陽放射を 100 とすると(おおよそ):
- 約 30 が反射(雲・大気で 20、地表で 10)→ 宇宙へ。この割合がアルベド(反射率)約 0.3
- 約 20 が大気(水蒸気・オゾン・雲)に吸収
- 約 50 が地表に吸収
地表は受け取った分を赤外線の放射・潜熱(蒸発)・顕熱(伝導・対流)で大気に渡し、大気は宇宙へ赤外線を放射。入る量 = 出る量でつり合い、平均気温は一定。
温室効果:
- 地表からの赤外線を、温室効果ガス(水蒸気・CO₂・メタン・オゾンなど)が吸収
- 大気が暖まり、地表へも赤外線を再放射
- 地表は太陽放射 + 大気からの放射を受けるので暖かい
- 温室効果がなければ地球の平均気温は約 −18 ℃、実際は約 15 ℃(差 33 ℃)
- 温室効果自体は必要。人為的な CO₂ 増加による強化が地球温暖化の問題(eb-09)
緯度による熱の過不足:低緯度は受け取る太陽放射 > 放射(余る)、高緯度は逆(足りない)。この差を大気と海洋の循環が運んで埋める(eb-06)。
5. 高度と気温の計算
ここまでできれば十分
対流圏では 気温減率 約 6.5 ℃/km(100 m で 0.65 ℃)。
地上 20 ℃、高度 3,000 m の気温:20 − 6.5 × 3 = 0.5 ℃ 富士山頂(3,776 m)は平地より約 24 ℃ 低い
(雲ができるときは水蒸気の凝結熱で減率が小さくなる:乾燥断熱減率 1 ℃/100 m、湿潤断熱減率 約 0.5 ℃/100 m。フェーン現象はこの差で山を越えた風が暖かく乾く。)
6. よくある間違い
- 大気の 2 番目に多い気体を CO₂ とする(O₂。CO₂ は 0.04%)
- 成層圏で気温が上がる理由を「太陽に近いから」とする(オゾンが紫外線を吸収)
- 中間圏と熱圏を逆にする(中間圏で最低温、熱圏で上昇)
- 地球放射を可視光線とする(赤外線)
- 温室効果ガスが「太陽光を吸収」と書く(地表からの赤外線を吸収)
- 地球全体が受ける太陽エネルギーを 4πR² × 太陽定数とする(断面積 πR²)
- 「温室効果は悪いもの」と書く(なければ −18 ℃。問題は強まりすぎ)
7. 自己チェック
- 大気の組成 4 つの % を言えるか
- 4 層の名前・高度・気温の変化・特徴を言えるか
- 成層圏で気温が上がる理由を言えるか
- 太陽放射(可視光)と地球放射(赤外線)を区別できるか
- 太陽定数と πR²、平均 340 W/m² を言えるか
- 温室効果のしくみを 3 段階で言えるか
- 気温減率で高度の気温を計算できるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(eb-05)
関連する単元
- 前提:s2-09 気象(中学)、pb-07 熱、pb-08 波(電磁波)
- 次に進む:eb-06 大気と海洋の運動、eb-09 地球環境(温暖化)
- ここで使う考え方が出てくる:bb-08 バイオーム(気温)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「地学基礎」(3) ア 地球の熱収支、大気の構造
- 気象庁「二酸化炭素濃度の経年変化」(https://www.data.jma.go.jp/ghg/)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/eb-05/ / 更新 2026-09-12