高1 / 地学基礎 / eb-06
大気と海洋の運動(大気大循環・海流)
この単元でできるようになること
- 風が吹く原因(気圧差)と、地球の自転による転向力(コリオリの力)で北半球では右にそれることを説明できる
- 大気大循環(ハドレー循環・偏西風・極循環、貿易風・偏西風の向き)を説明できる
- 日本の天気に関わるジェット気流・季節風・高気圧と低気圧を説明できる
- 海洋の層構造(表層混合層・水温躍層・深層)と海流(風成循環:黒潮・親潮、環流)を説明できる
- 深層循環(熱塩循環)とのしくみ・影響を説明できる
入試での位置づけ
「貿易風は北東・偏西風は南西(北半球)」「ハドレー循環で赤道で上昇・緯度 30° で下降 → 砂漠」「エルニーニョで貿易風が弱まり東太平洋の海水温が上がる」が共通テストの定番。転向力の向き(北半球で右)と、海流の名前と暖流・寒流の区別は確実に。
1. 風のしくみ
まずここだけ
- 風は気圧の高いほうから低いほうへ吹く(気圧傾度力)。等圧線の間隔が狭いほど強い
- 転向力(コリオリの力):地球の自転で、動く物体は北半球では進行方向の右へ、南半球では左へそれる。赤道では 0、極で最大
- 高気圧:中心から時計回り(北半球)に吹き出す。下降気流 → 晴れ
- 低気圧:中心へ反時計回り(北半球)に吹きこむ。上昇気流 → 雲・雨
- 上空の風は転向力と気圧傾度力がつり合い、等圧線に平行に吹く(地衡風)
2. 大気大循環
まずここだけ
太陽エネルギーは低緯度で多く高緯度で少ない → 熱を運ぶために大気が循環。
| 緯度 | 循環 | 地表付近の風 | 天気 |
|---|---|---|---|
| 赤道付近(0°) | 強い日射で上昇気流 → 熱帯収束帯(赤道低圧帯) | 雨が多い(熱帯雨林) | |
| 0〜30° | ハドレー循環(赤道で上昇、30° で下降) | 貿易風:北半球で北東風、南半球で南東風(転向力で東寄り) | |
| 30° 付近 | 下降気流 → 亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯) | 乾燥 → 砂漠(サハラ・オーストラリア) | |
| 30〜60° | 偏西風の帯(フェレル循環) | 偏西風:南西風(西 → 東)。上空で強い | 温帯低気圧・前線が発達 |
| 60° 付近 | 上昇気流 → 寒帯前線 | ||
| 60〜90° | 極循環 | 極偏東風 | 寒冷 |
ジェット気流:偏西風帯の上空(対流圏界面付近)を吹く強い西風(100 m/s 以上のことも)。南北に蛇行して熱を運ぶ。日本の天気が西から東へ変わる理由。
季節風(モンスーン):大陸と海洋の温まりやすさの差で、冬は大陸(シベリア高気圧)から海へ(北西)、夏は海(太平洋高気圧)から大陸へ(南東)。日本海側の冬の大雪の原因。
3. 海洋の構造と海流
ここまでできれば十分
海水:塩分は約 3.5%(35‰)。主成分は NaCl。 層構造(水温で分ける):
| 層 | 特徴 |
|---|---|
| 表層混合層 | 風でかき混ぜられ水温がほぼ一定(〜100 m 程度) |
| 水温躍層(主水温躍層) | 深さとともに水温が急に下がる |
| 深層 | 水温がほぼ一定で低い(1〜4 ℃)。全海水の大部分 |
海流:
- 風成循環:貿易風と偏西風によって、北半球では時計回り、南半球では反時計回りの環流(亜熱帯環流)ができる
- 日本付近:黒潮(日本海流。暖流、北上、幅 100 km・速さ 2 m/s)、親潮(千島海流。寒流、南下、栄養が豊富で魚が多い)、対馬海流(暖流・日本海)、リマン海流(寒流・日本海)
- 暖流と寒流がぶつかる潮目(三陸沖)は好漁場
- メキシコ湾流(大西洋の暖流)がヨーロッパを温める
深層循環(熱塩循環):
- 北大西洋のグリーンランド沖や南極周辺で、冷たく塩分の高い(密度の大きい)海水が沈みこみ、深層をゆっくり流れて約 1000〜2000 年かけて世界を一周し、北太平洋やインド洋で上昇
- 地球規模で熱を運ぶ「ベルトコンベア」。温暖化で弱まる可能性が指摘されている
4. エルニーニョ現象とラニーニャ現象
ここまでできれば十分
通常:赤道太平洋では貿易風(東風)が暖かい表層水を西(インドネシア側)へ寄せる。東(ペルー沖)では深層から冷たい水が湧き上がる(湧昇)→ 東は冷たく西は暖かい。
エルニーニョ現象:数年に一度、貿易風が弱まる → 暖かい水が東へ広がり、ペルー沖の海水温が上がる(湧昇が弱まる)→ 西太平洋で雨が減り、東太平洋で雨が増える。世界の異常気象と関係。日本では冷夏・暖冬になりやすい。 ラニーニャ現象:逆に貿易風が強まり、ペルー沖がいつもより冷たくなる。日本は猛暑・寒冬になりやすい。
5. よくある間違い
- 転向力を「南半球でも右」とする(南半球は左)
- 貿易風を西風とする(東寄り。北半球で北東風)
- 偏西風を「西へ吹く風」とする(西から東へ吹く)
- 砂漠が赤道にあるとする(緯度 30° 付近の下降気流帯)
- 親潮を暖流とする(寒流。黒潮が暖流)
- エルニーニョで貿易風が強まるとする(弱まる)
- 深層循環の沈みこみ場所を赤道とする(高緯度の北大西洋・南極周辺)
6. 自己チェック
- 転向力の向き(北半球で右)と高気圧・低気圧の風向きを言えるか
- ハドレー循環(0° 上昇・30° 下降)と貿易風・偏西風の向きを言えるか
- ジェット気流と日本の天気の関係、季節風の向きを言えるか
- 海洋の 3 層と、黒潮・親潮の暖寒を言えるか
- 深層循環の起こる場所としくみを言えるか
- エルニーニョ(貿易風弱まる → ペルー沖が暖かい)を説明できるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(eb-06)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「地学基礎」(3) イ 大気と海水の運動
- 気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」(https://www.data.jma.go.jp/cpd/elnino/)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/eb-06/ / 更新 2026-09-12