中1 数学 / データ / m1-18
データの活用 ── 度数分布・相対度数・代表値
この単元でできるようになること
- 度数分布表・ヒストグラムを読み、作れる
- 相対度数と累積相対度数を計算し、割合でデータを比べられる
- 平均値・中央値・最頻値(代表値)を求め、使い分けられる
- 範囲(レンジ)でデータの散らばりを表せる
- 「多数回の実験での相対度数」が確率に近づくことがわかる
入試での位置づけ
データの活用は、公立高校入試で小問として出題されやすく、度数分布表の読み取り・相対度数の計算・中央値の位置が中心です。計算はやさしい一方で、「中央値は何番目か」「階級値と階級の違い」のような定義のあいまいさで落とします。中2の箱ひげ図・中3の標本調査も、ここの言葉が前提です。
1. 度数分布表とヒストグラム
まずここだけ
データを、いくつかの区間に分けて整理した表を といいます。
例:ある中学のクラス 30 人の通学時間(分)
| 階級(分) | 階級値 | 度数(人) | 相対度数 | 累積相対度数 |
|---|---|---|---|---|
| 0 以上 10 未満 | 5 | 3 | 0.10 | 0.10 |
| 10 以上 20 未満 | 15 | 9 | 0.30 | 0.40 |
| 20 以上 30 未満 | 25 | 12 | 0.40 | 0.80 |
| 30 以上 40 未満 | 35 | 4 | 0.13 | 0.93 |
| 40 以上 50 未満 | 45 | 2 | 0.07 | 1.00 |
| 計 | 30 | 1.00 |
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 区切った区間(10 以上 20 未満 など)。区間の幅を階級の幅という | |
| 階級の真ん中の値(10 以上 20 未満 なら 15) | |
| その階級に入るデータの個数 | |
| 度数 ÷ 全体の度数(割合)。全部たすと 1 | |
| 累積相対度数 | その階級までの相対度数の合計 |
「10 以上 20 未満」は 10 をふくみ、20 をふくみません。ちょうど 20 分の人は「20 以上 30 未満」に入ります。
ヒストグラム
度数分布表を、階級を横軸、度数を縦軸にした柱の間をあけないグラフにしたものを といいます。棒グラフと違って、柱がくっついているのは、階級が連続した区間だからです。柱の上の中点を結んだ折れ線を度数折れ線といいます。
相対度数の使いどころ
人数の違う2つの集団を比べるときは、度数(人数)ではなく相対度数(割合)で比べます。 「A 組(30 人)で 20 分未満が 12 人、B 組(40 人)で 20 分未満が 14 人」→ 人数は B 組が多いが、相対度数は A 組 0.40、B 組 0.35 で A 組のほうが 20 分未満の割合が高い。
よくある間違い
- 階級値を「階級の下の値」にする → 真ん中(10 以上 20 未満 → 15)
- 相対度数を小数第2位までで四捨五入したら合計が 1.00 にならない → 合計が 1 になるように、いちばん大きい階級で調整するのがふつう(教科書の流儀による)
- ヒストグラムの柱の間をあける → あけない
ここまでできれば十分
度数分布表から相対度数を出せて、「〜未満は何 %」「人数の違う集団は相対度数で比べる」ができれば基本は合格です。
2. 代表値 ── 平均値・中央値・最頻値
まずここだけ
データ全体の特徴を1つの数で表すものを といいます。3つあります。
| 代表値 | 求め方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合計 ÷ 個数 | 全部の値を使う。極端に大きい・小さい値に引っぱられる | |
| (メジアン) | 小さい順に並べた真ん中の値 | 極端な値の影響を受けにくい |
| (モード) | 最も多く出てくる値(度数分布表では度数が最大の階級の階級値) | 「いちばん多いのはどこか」を表す |
例:8 人のテストの点数
3、5、6、6、7、8、9、40(1人だけ 40 点満点の別テストを受けたとする)
- 平均値:(3+5+6+6+7+8+9+40) ÷ 8 = 84 ÷ 8 = 10.5
- 中央値:真ん中は 4 番目と 5 番目(6 と 7)の平均 = 6.5
- 最頻値:6(2 回)
40 が入ったせいで、平均値 10.5 は「ほとんどの人が 10 点より低い」のに 10 を超えています。平均値だけを見ると実態とずれることがある、というのが代表値を3つ持つ理由です。
中央値の求め方(個数の偶奇)
小さい順に並べてから、
- 個数が奇数(例:7 個)→ 真ん中の 4 番目の値
- 個数が偶数(例:8 個)→ 真ん中の 4 番目と 5 番目の平均
「何番目が真ん中か」は (個数 + 1) ÷ 2 番目。8 個なら 4.5 番目 = 4 番目と 5 番目の間、7 個なら 4 番目です。並べ替えずに元の順で真ん中を取るのが最も多いミスです。
度数分布表からの平均値
個々のデータがなく度数分布表だけあるとき、平均値は (階級値 × 度数) の合計 ÷ 度数の合計 で求めます(各階級のデータが階級値に集まっているとみなす)。
上の通学時間の表なら (5×3 + 15×9 + 25×12 + 35×4 + 45×2) ÷ 30 = (15 + 135 + 300 + 140 + 90) ÷ 30 = 680 ÷ 30 ≒ 22.7 分
度数分布表からの中央値・最頻値
- 最頻値:度数が最大の階級(20 以上 30 未満、12 人)の階級値 25 分
- 中央値:30 人の真ん中は 15 番目と 16 番目。累積度数で数えると、0〜10 が 3 人、〜20 で 12 人、〜30 で 24 人。15・16 番目は 20 以上 30 未満の階級に入る(個々の値はわからないので「階級」で答える)
よくある間違い
- 中央値を、並べ替えずに求める → 小さい順に並べてから
- 偶数個のとき、真ん中の2つの片方だけを答える → 2つの平均
- 最頻値を「最大の値」と思う → 最も多く出てくる値
- 度数分布表の最頻値を「度数の最大値(12 人)」と答える → 階級値(25 分)
3. 範囲(レンジ)
まずここだけ
データの散らばりの大きさを表す最も簡単な値が です。
範囲 = 最大値 − 最小値
上のテストなら 40 − 3 = 37。40 を除けば 9 − 3 = 6 で、1 つの極端な値で範囲は大きく変わります。「散らばりを表すが、極端な値に弱い」のは平均値と同じです。
4. 代表値の使い分け
ここまでできれば十分(の次)
| 知りたいこと | 向く代表値 |
|---|---|
| 全体の合計や 1 人あたり(総得点・平均所得) | 平均値 |
| 「ふつうの人」がどのくらいか、極端な値がある | 中央値 |
| いちばん多い値(売れ筋のサイズ・よく出る点数) | 最頻値 |
年収の例:ほとんどの人が 300〜500 万円で、1 人だけ 10 億円の人がいると、平均値は大きく上がるが中央値はほぼ変わらない。「平均年収」と「年収の中央値」が大きく違うのはこのためです。入試では「この場合、平均値と中央値のどちらが適切か、理由とともに答えよ」という記述で問われます。**「極端な値の影響を受けにくいから中央値」**が定番の答えです。
5. 相対度数と確率
もう一歩(発展)
コインを投げて表が出る回数を数えると、投げる回数が少ないうちは相対度数(表の回数 ÷ 投げた回数)がばらつきますが、回数を増やすほど 0.5 に近づいていきます。
| 投げた回数 | 表の回数 | 相対度数 |
|---|---|---|
| 10 | 7 | 0.70 |
| 100 | 54 | 0.54 |
| 1000 | 508 | 0.508 |
| 10000 | 4996 | 0.4996 |
このように、多数回の実験で相対度数が近づく値を、そのことがらの起こる といいます。「表が出る確率は 0.5」は、「10 回投げれば必ず 5 回出る」という意味ではなく、たくさん投げたときの割合が 0.5 に近づくという意味です。中2の確率(場合の数から求める)の前に、ここで「確率 = 相対度数の落ち着く先」という感覚をつかんでおきます。
画びょうを投げて針が上を向く確率のように、計算では求められない確率も、実験の相対度数で見積もれます。
6. 自己チェック
- 階級値は区間の真ん中か。「以上・未満」の境目を正しく入れたか
- 相対度数 = 度数 ÷ 合計。合計が 1 になっているか
- 中央値は並べ替えてから、偶数個なら真ん中2つの平均か
- 最頻値は「最も多く出る値」(表では階級値)か
- 極端な値があるとき、平均値と中央値のどちらが適切かを説明できるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(m1-18)
関連する単元
- 前提:m1-04(分数・小数の計算)
- 中1の数学はここまで。次は m2-01 単項式と多項式の計算
- ここで使う考え方が出てくる:m2-14 確率、m2-15 四分位範囲と箱ひげ図、m3-18 標本調査
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 D データの活用 (1) データの分布 ── 「ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味」「代表値(平均値、中央値、最頻値)と範囲」、(2) 不確定な事象の起こりやすさ ── 「多数回の試行によって得られる確率」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m1-18/ / 更新 2026-09-12