中1 数学 / 数と式 / m1-08
一次方程式の解き方
この単元でできるようになること
- 方程式・解・「方程式を解く」の意味がわかる
- 等式の性質(両辺に同じことをしてよい)を使って方程式が解ける
- 移項を使って、手早く方程式が解ける
- かっこ・小数・分数のある方程式を、整理してから解ける
- 解が合っているかを、代入して自分で確かめられる
入試での位置づけ
一次方程式は、計算問題としても文章題としても出題されやすい単元です。それ以上に、中2の連立方程式・一次関数、中3の二次方程式・関数は、最後の計算が必ず一次方程式になります。ここで「移項の符号」「分数の処理」を確実にしておくと、あとの単元で「考え方は合っているのに答えが違う」失点が減ります。
1. 方程式とは
まずここだけ
3x + 2 = 11 のように、文字に特定の値を入れたときだけ成り立つ等式を といいます。
- x = 3 のとき:3 × 3 + 2 = 11 → 成り立つ
- x = 4 のとき:3 × 4 + 2 = 14 → 成り立たない
この「成り立たせる値」x = 3 を、方程式の といい、解を求めることを 方程式を解く といいます。
方程式の中で、文字が一次(x だけ・x² がない)のものを 一次方程式 といいます。
「解く」とは「x = □ の形にする」こと
3x + 2 = 11 から始めて、式を変形して最後に x = 3 の形にたどり着けば、解けたことになります。この単元で覚えるのは、その変形で許されていることだけです。
2. 等式の性質 ── 両辺に同じことをしてよい
まずここだけ
天秤を思い浮かべてください。左右がつり合っているとき、両方の皿に同じ重さを足しても・取っても・同じ倍にしても・同じ数で割っても、つり合いは崩れません。等式もまったく同じです。
| 性質 | 式 | 意味 |
|---|---|---|
| ① | A = B なら A + C = B + C | 両辺に同じ数をたしてよい |
| ② | A = B なら A − C = B − C | 両辺から同じ数をひいてよい |
| ③ | A = B なら AC = BC | 両辺に同じ数をかけてよい |
| ④ | A = B なら A ÷ C = B ÷ C(C ≠ 0) | 両辺を同じ数(0 以外)でわってよい |
これを使って解く
3x + 2 = 11
- 両辺から 2 をひく(性質②):3x + 2 − 2 = 11 − 2 → 3x = 9
- 両辺を 3 でわる(性質④):3x ÷ 3 = 9 ÷ 3 → x = 3
「x だけを左に残す」ために、邪魔なものを両辺から同時に消していく、というイメージです。
例
x − 5 = 2 → 両辺に 5 をたす → x = 7 x/4 = 3 → 両辺に 4 をかける → x = 12 −2x = 10 → 両辺を −2 でわる → x = −5
よくある間違い
- 左辺だけに 5 をたして右辺を忘れる → 両辺に同じことをする
- −2x = 10 を x = 5 にする → 両辺を −2 でわる。10 ÷ (−2) = −5
3. 移項 ── 等式の性質を速くやる
まずここだけ
3x + 2 = 11 で「両辺から 2 をひく」と、左辺の +2 は消え、右辺に −2 が現れます。
3x + 2 = 11 → 3x = 11 − 2
結果だけ見ると、+2 が右辺に移って −2 になったように見えます。このように、項を符号を変えて反対の辺に移すことを といいます。
移項は等式の性質②(または①)の省略形です。「両辺から同じ数をひく」を毎回書かずに済ませる技術で、やっていることは同じです。
移項で解く手順
- 文字の項を左辺、数の項を右辺に移項する(符号を変えるのを忘れずに)
- 両辺をそれぞれまとめて ax = b の形にする
- 両辺を a でわる
5x − 3 = 2x + 9
- 移項:5x − 2x = 9 + 3(2x を左へ、−3 を右へ。両方とも符号が変わる)
- まとめる:3x = 12
- わる:x = 4
例
| 方程式 | 移項してまとめる | 解 |
|---|---|---|
| 4x + 7 = 19 | 4x = 19 − 7 = 12 | x = 3 |
| 2x − 9 = −1 | 2x = −1 + 9 = 8 | x = 4 |
| 7x = 3x + 20 | 7x − 3x = 20 → 4x = 20 | x = 5 |
| x + 8 = 3x | 8 = 3x − x → 8 = 2x | x = 4 |
| 6 − 2x = 4x − 12 | 6 + 12 = 4x + 2x → 18 = 6x | x = 3 |
最後の2つのように、文字を右に集めても構いません。係数が正になる側に集めると、最後のわり算で符号を間違えにくくなります。
よくある間違い
- 移項したのに符号を変えない:5x − 3 = 2x + 9 → 5x − 2x = 9 − 3 → −3 を移すと +3
- 移項していない項の符号まで変える:5x − 3 = 2x + 9 → −5x − 2x = 9 + 3 → 移す項だけ符号が変わる
- 「両辺をわる」と「移項」を混ぜる:3x = 12 を x = 12 − 3 とする → かけてある数は移項できない。わり算で消す
解の確かめ
x = 4 を 5x − 3 = 2x + 9 に代入:左辺 5 × 4 − 3 = 17、右辺 2 × 4 + 9 = 17。両辺が同じ値になれば正解です。テストでも、時間があれば最後の1問だけでもこの確認をすると、符号ミスを自分で見つけられます。
ここまでできれば十分
移項で ax = b の形にして両辺を a でわる、まで確実にできれば基本は完成です。次は「整理してから解く」型で、計算問題のほとんどはこの形で出ます。
4. いろいろな一次方程式 ── 整理してから解く
かっこがある
分配法則でかっこを外してから移項します。
3(x − 2) = x + 4
- かっこを外す:3x − 6 = x + 4
- 移項:3x − x = 4 + 6 → 2x = 10
- x = 5
かっこの前が負の数のとき(−2(x − 3) = −2x + 6)の符号に注意します。
小数がある
両辺に 10 や 100 をかけて整数にしてから解きます(等式の性質③)。
0.3x + 0.5 = 1.4
- 両辺を 10 倍:3x + 5 = 14 ← 全部の項を 10 倍する
- 3x = 9
- x = 3
「0.3x + 0.5 = 1.4 の左辺だけ 10 倍して 3x + 5 = 1.4」は、天秤の片方だけ重くしたことになり誤りです。
分数がある
両辺に分母の最小公倍数をかけて分数をなくします( といいます)。
x/2 + 1 = x/3 + 2
- 分母 2 と 3 の最小公倍数 6 を両辺にかける:6 × (x/2) + 6 × 1 = 6 × (x/3) + 6 × 2
- 3x + 6 = 2x + 12 ← 1 や 2 のような整数の項にも 6 をかける
- 3x − 2x = 12 − 6
- x = 6
分数の項だけ 6 倍して整数の項をそのままにする(3x + 1 = 2x + 2)のが、この形で一番多い間違いです。「両辺のすべての項にかける」を忘れないでください。
例
| 方程式 | 整理 | 解 |
|---|---|---|
| 2(x + 3) = 5x − 3 | 2x + 6 = 5x − 3 → 9 = 3x | x = 3 |
| 0.2x − 0.6 = 0.4 | 2x − 6 = 4 → 2x = 10 | x = 5 |
| (x + 1)/3 = 2 | x + 1 = 6 | x = 5 |
| x/4 − 1 = x/6 | 3x − 12 = 2x → x = 12 | x = 12 |
| (2x − 1)/3 = (x + 2)/2 | 2(2x − 1) = 3(x + 2) → 4x − 2 = 3x + 6 | x = 8 |
最後の例のように、分数の分子が一次式のときは、分母をはらったあと分子にかっこをつけて分配します。「2 × 2x − 1」と分子の一部だけにかけるのが失点の型です。
もう一歩(発展):解が分かっているとき、係数を求める
「x = 2 が方程式 ax + 3 = 7 の解であるとき、a の値を求めよ」
解とは「代入すると成り立つ値」です。x = 2 を代入して、a についての方程式にします。
2a + 3 = 7 → 2a = 4 → a = 2
「解を代入すると等式が成り立つ」という定義に戻れば解ける問題で、入試の小問で出題されやすい形です。
5. 自己チェック
- 移項した項は符号を変えたか。移項していない項はそのままか
- 小数・分数を消すとき、両辺のすべての項にかけたか
- 分数の分子が一次式なら、分母をはらったあと分子にかっこをつけたか
- 最後に代入して、左辺 = 右辺 になったか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m1-08)
関連する単元
- 前提:m1-06 一次式の計算、m1-07 関係を表す式
- 次に進む:m1-09 一次方程式の利用(文章題・比例式)
- ここで使う考え方が出てくる:m2-04 連立方程式、m2-07 一次関数と方程式、m3-06 二次方程式
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 A 数と式 (3) 一次方程式 ── 「方程式の必要性と意味及びその解の意味」「等式の性質」「一次方程式を解くこと」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m1-08/ / 更新 2026-09-12