中2 数学 / 図形 / m2-13
平行線と面積 ── 等積変形
この単元でできるようになること
- 「底辺が共通で、頂点が底辺に平行な直線上にある三角形は面積が等しい」を使える
- 面積を変えずに図形の形を変える(等積変形)ことで、多角形を三角形に直せる
- 平行四辺形・台形の中の三角形の面積の関係がわかる
- 座標平面で、面積が等しい三角形や、面積を 2 等分する直線を求められる
入試での位置づけ
「面積が等しい三角形を見つける」「面積を 2 等分する直線を引く」は、図形と関数の両方の大問で出題されやすい定番です。道具は1 つだけ──「平行線の間の三角形は面積が等しい」──ですが、それを「どこに平行線を引くか」で使いこなす必要があります。中3の相似(面積比)と、関数の面積問題(m2-08・m3-10)の橋渡しになる単元です。
1. 平行線の間の三角形
まずここだけ
三角形の面積は「底辺 × 高さ ÷ 2」。底辺が同じで高さも同じなら、形が違っても面積は等しい。
平行な 2 直線 ℓ、m があり、底辺 BC が m 上、頂点 A が ℓ 上にあるとき、A を ℓ 上のどこに動かしても、高さ(ℓ と m の距離)は変わらないので、△ABC の面積は変わりません。
─A────A′────A″──── ℓ
\ |\ /
\ | \ / △ABC = △A′BC = △A″BC
\ | \/
─────B────C──────── m
ℓ ∥ m ならば、△ABC = △A′BC(面積が等しい。記号 = を面積の意味で使う)
逆も成り立ちます:△ABC = △A′BC で、A、A′ が BC について同じ側にあれば、AA′ ∥ BC。
例:平行四辺形の中の三角形
▱ABCD の辺 AD 上に点 P をとると、△PBC の面積は常に平行四辺形の半分(底辺 BC、高さは AD と BC の距離で一定)。P がどこにあっても同じです。
△ABC と △DBC も、ともに平行四辺形の半分で等しい。
よくある間違い
- 「面積が等しい」を「合同」と思う → 形は違ってよい。面積だけが等しい
- 高さを「辺の長さ」で測る → 高さは底辺に垂直な距離(平行線の距離)
2. 等積変形 ── 形を変えて面積を保つ
まずここだけ
面積を変えずに図形の形を変えることを といいます。使うのは上の性質だけです。
例:四角形を三角形に直す
四角形 ABCD を、面積の等しい三角形に直す。
- 対角線 AC を引く
- 頂点 D を通り、AC に平行な直線を引く
- その直線と、辺 BC を延長した直線との交点を E とする
- △ACD = △ACE(底辺 AC 共通、D と E が AC に平行な直線上)なので、四角形 ABCD = △ABE
A
/ \
/ \ D
/ \/ \
/ /\ \
B──────C──────E ← D を通る AC の平行線が BC の延長と交わる点
「対角線を引く → 頂点を通る対角線の平行線 → 辺の延長との交点」の3手順は、等積変形の定番です。
例:折れ線を直線に直す(境界線の付け替え)
土地が折れ線 PQR で 2 つに分かれているとき、面積を変えずに境界を 1 本の直線に直す:Q を通り PR に平行な直線を引き、境界の辺との交点を S とすれば、△PQR = △PSR なので、直線 PS が新しい境界線。
よくある間違い
- 平行線を引く相手を間違える(AC でなく BD に平行)→ 消したい頂点 D と、残す対角線 AC。D を通って AC に平行
- 交点を辺の延長でなく辺の内側にとろうとする → 延長した先で交わることが多い
ここまでできれば十分
「平行線の間の三角形は面積が等しい」と、四角形を三角形に直す 3 手順ができれば、この単元の基本は合格です。
3. 面積の等しい三角形を見つける
ここまでできれば十分(の次)
台形の中の三角形
台形 ABCD(AD ∥ BC)で、対角線 AC、BD の交点を O とすると
- △ABC = △DBC(底辺 BC 共通、A・D が BC に平行な AD 上)
- 両方から △OBC を除くと △ABO = △DCO
「台形の対角線で分かれた左右の三角形(△ABO と △DCO)は面積が等しい」──入試で繰り返し使う関係です。
平行四辺形の中
▱ABCD の内部の点 P について、△PAB + △PCD = △PBC + △PDA = 平行四辺形の半分。P を通って AB に平行な線で分けると示せます。
面積を 2 等分する直線
頂点を通る場合:△ABC の頂点 A を通って面積を 2 等分する直線は、BC の中点 M を通る(底辺が半分、高さ共通)。
辺上の点を通る場合:辺 BC 上の点 P を通って △ABC を 2 等分する直線
- まず A と BC の中点 M を結ぶ(△ABM = △ACM)
- M を通り AP に平行な直線と AB(または AC)との交点を Q とする
- △APQ = △APM(底辺 AP 共通、Q・M が AP に平行な直線上)なので、直線 PQ が 2 等分線
「中点で 2 等分してから、等積変形で通る点を動かす」──これが辺上の点から 2 等分する定石です。
よくある間違い
- 「面積を 2 等分」を「辺を 2 等分」と混同する → 頂点を通るときは中点でよいが、辺上の点を通るときは等積変形が要る
- 台形で △ABO = △DCO でなく △ABO = △OBC としてしまう → 等しいのは左右(対角線で分かれた 4 つのうち、底辺に接しない 2 つ)
4. 座標平面での等積変形
もう一歩(発展)
3 点 A(1, 4)、B(0, 0)、C(4, 0) について、y 軸上に点 P をとり、△PBC = △ABC となるようにしたい。P の座標を求めよ(P ≠ 原点)。
底辺 BC(x 軸上)が共通なので、A と同じ高さ(y = 4)にあれば面積が等しい。y 軸上で y = 4 の点は P(0, 4)。(x 軸の下側 P(0, −4) も面積は等しい)
直線 y = 2x 上に点 Q をとり、△QBC = △ABC としたい(B(0, 0)、C(4, 0)、A(1, 4))
高さ 4 → y = 4 と y = 2x の交点 → x = 2 → Q(2, 4)。(y = −4 なら Q(−2, −4))
「底辺が軸上なら、高さ = y 座標の絶対値」。座標平面での等積変形は、「同じ高さの直線(y = k)との交点」を求める問題になります。
原点を通り面積を 2 等分する直線(関数との融合)
△OAB(O 原点)の面積を、O を通る直線で 2 等分 → AB の中点を通る。A(2, 6)、B(6, 2) なら中点 (4, 4)。直線は y = x。 中点の座標は (x の平均, y の平均) で求まります(中点の公式・中3で扱うが、ここでも使える)。
5. 自己チェック
- 面積が等しいとした 2 つの三角形は、底辺が共通で頂点が平行線上にあるか
- 等積変形で引いた平行線は、「消す頂点を通り、残す対角線に平行」か
- 台形の対角線で分けた三角形は、左右が等しい(△ABO = △DCO)か
- 面積の 2 等分:頂点からは中点、辺上の点からは中点+等積変形、で考えたか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m2-13)
関連する単元
- 前提:m2-08 一次関数の利用(座標と面積)、m2-12 平行四辺形
- 次に進む:m2-14 確率
- ここで使う考え方が出てくる:m3-10 放物線と直線(面積)、m3-13 相似の利用(面積比)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 B 図形 (2) 図形の合同 ── 平行線と面積(等積変形)は、三角形や平行四辺形の性質を活用する場面として扱われる
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m2-13/ / 更新 2026-09-12