中3 理科 / 物理 / s3-01
力の合成・分解、速さと運動
この単元でできるようになること
- 力の合成(平行四辺形)・分解(斜面に平行な分力と垂直な分力)ができる
- 速さ = 距離 ÷ 時間、平均の速さと瞬間の速さの違いがわかる
- 記録タイマー(1 秒間に 50 打点 → 5 打点 = 0.1 秒)のテープから速さが計算できる
- 等速直線運動(速さ一定・距離は時間に比例)と、斜面を下る運動(速さが一定の割合で増える)のグラフが読める
- 慣性の法則、作用・反作用の法則が説明できる
入試での位置づけ
「運動」は中 3 物理の中心で、公立入試では記録タイマーのテープから速さを求める問題と、斜面を下る台車の速さの変化(斜面の傾きを変えると?)がほぼ毎年出ます。5 打点 = 0.1 秒の換算と、「速さの増え方は斜面の傾きで決まる(重力の斜面方向の分力)」の理解が鍵。仕事(s3-02)と組み合わせた大問が多い。
1. 力の合成と分解
まずここだけ
合成:2 つの力を 1 つにまとめる。平行四辺形の対角線が合力。
- 同じ向き:足す(3 N + 2 N = 5 N)
- 反対向き:引く(3 N − 2 N = 1 N、大きいほうの向き)
- 角度がある:作図(平行四辺形)
分解:1 つの力を 2 つに分ける。斜面上の物体の重力は、
- 斜面に平行な分力(物体を滑らせる力)
- 斜面に垂直な分力(斜面を押す力。垂直抗力とつり合う) に分ける。斜面の傾きが大きいほど、平行な分力は大きく、垂直な分力は小さい。
30° の斜面上の 10 N の物体:平行な分力 5 N(30° では重力の半分)、垂直な分力 約 8.7 N
つり合い:物体が静止または等速直線運動 ⇔ 合力が 0。
2. 速さ
まずここだけ
速さ [m/s] = 移動距離 [m] ÷ かかった時間 [s]
- 平均の速さ:ある区間全体の距離 ÷ 時間
- 瞬間の速さ:ごく短い時間での速さ(スピードメーターの値)
単位換算:1 m/s = 3.6 km/h(1 秒に 1 m → 1 時間に 3600 m = 3.6 km)。
72 km/h = 72 ÷ 3.6 = 20 m/s、15 m/s = 54 km/h
記録タイマー
東日本は 1 秒間に 50 打点(西日本は 60 打点)。5 打点で 0.1 秒(50 打点の場合)。
5 打点ごとに切ったテープの長さが 3.0 cm → 0.1 秒に 3.0 cm → 速さ 3.0 ÷ 0.1 = 30 cm/s テープの長さが 2.0、4.0、6.0 cm と増えていく → 速さが 20、40、60 cm/s と一定の割合で増える(斜面を下る運動)
打点の間隔が広い = 速い。
3. 物体の運動
まずここだけ
等速直線運動:力がはたらかない(または合力 0)とき、一定の速さで一直線上を進む。
- 速さ − 時間グラフ:水平な直線
- 距離 − 時間グラフ:原点を通る直線(距離は時間に比例)
- 距離 = 速さ × 時間
斜面を下る運動:重力の斜面に平行な分力が一定の大きさではたらき続ける → 速さが一定の割合で増える。
- 速さ − 時間グラフ:原点を通る右上がりの直線
- 斜面の傾きを大きくすると、平行な分力が大きくなり、速さの増え方(グラフの傾き)が大きくなる
- 自由落下は傾き 90° の極端な場合
斜面を上る運動:速さが一定の割合で減る。
力と運動の関係
| 力のはたらき方 | 運動 |
|---|---|
| 合力 0 | 静止 or 等速直線運動 |
| 運動の向きに一定の力 | 速さが一定の割合で増える |
| 運動と逆向きに一定の力 | 速さが一定の割合で減る |
摩擦力:運動を妨げる向き。台車が水平面で止まるのは摩擦力のため。
4. 慣性・作用反作用
ここまでできれば十分
慣性の法則:力がはたらかない(合力 0)とき、静止している物体は静止し続け、運動している物体は等速直線運動を続ける。
電車が急発進すると乗客は後ろに倒れそうになる(静止し続けようとする)。急ブレーキで前に倒れる。だるま落とし。
作用・反作用の法則:A が B に力を加えると、同時に B は A に同じ大きさで反対向きの力を加える。2 つの力は別々の物体にはたらく(つり合いの 2 力は同じ物体にはたらく)。
壁を押すと壁から押し返される。ロケット、スケートで人を押すと自分も動く。
5. 計算の型
ここまでできれば十分
テープ問題:5 打点ごとに 1.5、3.0、4.5、6.0 cm。 ① 各区間の速さ:15、30、45、60 cm/s ② 0.1 秒ごとに 15 cm/s ずつ増える ③ 最初の 0.4 秒の平均の速さ = 15.0 ÷ 0.4 = 37.5 cm/s
距離 − 時間:等速で 0.5 秒に 20 cm → 速さ 40 cm/s → 2 秒で 80 cm
6. よくある間違い
- 5 打点 = 0.1 秒を 5 秒や 0.5 秒にする(50 打点 = 1 秒)
- km/h と m/s の換算を逆にする(× 3.6 で km/h)
- 斜面の傾きを大きくしても「重力は変わらない」→ 重力は変わらないが平行な分力が大きくなる
- 作用・反作用の 2 力を「つり合っている」と言う(別の物体にはたらくのでつり合いではない)
- 等速直線運動に「力がはたらいている」と思う(合力 0)
7. 自己チェック
- 斜面:平行分力は傾きが大きいほど大きい
- 速さ = 距離 ÷ 時間、5 打点 = 0.1 秒
- 等速直線運動:合力 0、距離 ∝ 時間
- 斜面を下る:速さが一定の割合で増える。傾き大 → 増え方大
- 作用反作用は別の物体、つり合いは同じ物体
8. 小テストへ
→ 小テスト(s3-01)
関連する単元
- 前提:s1-03 力とばね、中1 m1-10 比例
- 次に進む:s3-02 仕事・エネルギー
- ここで使う考え方が出てくる:s3-07 天体(等速の運動)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』── 第 1 分野「(5) 運動とエネルギー ア(ア) 力のつり合いと合成・分解、(イ) 運動の規則性」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/science/s3-01/ / 更新 2026-09-12