中3 理科 / 物理 / s3-02
仕事・仕事率・エネルギーの保存
この単元でできるようになること
- 仕事 [J] = 力 [N] × 力の向きに動いた距離 [m] が計算できる(動かなければ仕事は 0)
- 仕事率 [W] = 仕事 [J] ÷ 時間 [s] が計算できる
- 道具(滑車・斜面・てこ)を使っても仕事の大きさは変わらない(仕事の原理)ことを使って、力や距離を求められる
- 位置エネルギー(高さ・質量に比例)、運動エネルギー(速さの 2 乗・質量に比例)の変化と、力学的エネルギーの保存がわかる
- 振り子・斜面の運動でエネルギーの移り変わりを説明できる
入試での位置づけ
仕事と仕事率は、s3-01 の運動と合わせて中 3 物理の大問の定番です。**「動滑車を使うと力は半分・距離は 2 倍・仕事は同じ」と「仕事率 = 仕事 ÷ 時間」**の計算、質量 100 g の物体にはたらく重力 = 1 N の換算が中心。エネルギー保存は振り子の高さと速さの関係として問われます。
1. 仕事
まずここだけ
仕事 [J] = 力の大きさ [N] × 力の向きに動いた距離 [m](1 J = 1 N × 1 m)
- 質量 100 g の物体にはたらく重力 = 1 N(1 kg = 10 N)
- 物体を持ち上げる仕事 = 重力 × 高さ
- 物体を水平に動かす仕事 = 摩擦力(引く力)× 距離
2 kg(20 N)の物体を 1.5 m 持ち上げる → 20 × 1.5 = 30 J 床の上の物体を 5 N の力で 3 m 引く → 15 J
仕事が 0 のとき:
- 力を加えても動かない(壁を押す)
- 力の向きと垂直に動く(荷物を持って水平に歩く:重力の向きに動いていない)
2. 仕事率
まずここだけ
仕事率 [W] = 仕事 [J] ÷ 時間 [s](1 秒あたりの仕事)
30 J の仕事を 5 秒で → 30 ÷ 5 = 6 W 仕事率 50 W で 10 秒 → 500 J 同じ仕事なら時間が短いほど仕事率が大きい
電力 [W] と同じ単位(電気の仕事率)。
3. 仕事の原理
まずここだけ
道具を使っても、仕事の大きさは変わらない(力が小さくなる分、動かす距離が長くなる)。
| 道具 | 力 | 距離 | 仕事 |
|---|---|---|---|
| 動滑車(1 個) | 1/2 | 2 倍 | 同じ |
| 定滑車 | 同じ(向きだけ変わる) | 同じ | 同じ |
| 斜面 | 小さくなる(高さ/斜面の長さ の比) | 斜面の長さ | 同じ |
| てこ | 支点からの距離の比で小さく | 長く | 同じ |
20 N の物体を動滑車で 2 m 持ち上げる:引く力 10 N、引く距離 4 m、仕事 10 × 4 = 40 J = 20 × 2 ✓ 20 N の物体を、高さ 2 m・長さ 5 m の斜面で引き上げる:仕事 = 20 × 2 = 40 J → 引く力 = 40 ÷ 5 = 8 N(摩擦なし)
手順:① 道具なしの仕事(重力 × 高さ)を出す ② 道具ありの距離で割って力を出す(または力で割って距離)。
動滑車の重さがあるとき(発展):持ち上げる重さに滑車の重さを足してから半分。
4. エネルギー
ここまでできれば十分
エネルギー:他の物体に仕事をする能力。単位は J。
| 種類 | 何で決まるか |
|---|---|
| 位置エネルギー | 高さと質量に比例 |
| 運動エネルギー | 質量に比例、速さの 2 乗に比例(速さ 2 倍で 4 倍) |
力学的エネルギー = 位置エネルギー + 運動エネルギー
力学的エネルギーの保存:摩擦や空気の抵抗がなければ、力学的エネルギーは一定。位置エネルギーが減った分だけ運動エネルギーが増える。
振り子:最高点で位置エネルギー最大・運動エネルギー 0(速さ 0)、最下点で運動エネルギー最大(速さ最大)。反対側でも同じ高さまで上がる。 斜面を下る台車:下るにつれ位置 → 運動。斜面の傾きが違っても、同じ高さから下れば最下点の速さは同じ。 ジェットコースター:出発点より高い場所へは行けない。
実験の読み取り
小球を斜面から転がして木片に当てる → 木片の移動距離は小球の高さに比例、質量に比例。速さ 2 倍なら移動距離 4 倍。
エネルギーの移り変わり(発展)
摩擦があると力学的エネルギーの一部が熱になる。エネルギー全体(熱・光・音を含む)は保存される(エネルギーの保存)。
5. 計算の型
ここまでできれば十分
滑車と仕事率:30 kg(300 N)の荷物を動滑車で 2 m 持ち上げるのに 10 秒かかった。 仕事 = 300 × 2 = 600 J(道具によらない)。引く力 150 N、引く距離 4 m。仕事率 = 600 ÷ 10 = 60 W
斜面:高さ 1 m、長さ 4 m の斜面で 8 N の物体を引き上げる仕事 = 8 × 1 = 8 J。引く力 = 8 ÷ 4 = 2 N
6. よくある間違い
- 荷物を持って歩くのを「仕事をした」と答える(重力の向きに動いていないので 0)
- 100 g = 1 N の換算を忘れて質量 [g] をそのまま力にする
- 動滑車で「距離も半分」とする(力が半分、距離は 2 倍)
- 仕事率の時間を分のまま計算する
- 運動エネルギーを速さに比例とする(2 乗に比例)
7. 自己チェック
- 仕事 = 力 × 力の向きの距離。動かない・垂直なら 0
- 100 g → 1 N
- 仕事率 = 仕事 ÷ 秒
- 道具を使っても仕事は同じ。動滑車は力 1/2・距離 2 倍
- 位置 E ∝ 高さ・質量、運動 E ∝ 質量・速さ²。合計は保存
8. 小テストへ
→ 小テスト(s3-02)
関連する単元
- 前提:s1-03 力とばね、s3-01 運動
- 次に進む:s3-03 イオン
- ここで使う考え方が出てくる:s2-02 電力(仕事率)、s3-08 エネルギー資源
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』── 第 1 分野「(5) 運動とエネルギー ア(ウ) 力学的エネルギー」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/science/s3-02/ / 更新 2026-09-12