中3 理科 / 化学 / s3-03
水溶液とイオン・電気分解・電池
この単元でできるようになること
- 電解質と非電解質を見分け、電離のようすをイオン式で書ける(NaCl → Na⁺ + Cl⁻ など)
- 原子の構造(原子核=陽子+中性子、電子)から、陽イオン・陰イオンのでき方を説明できる
- 塩化銅水溶液・塩酸の電気分解で、各極に何ができるかと確認方法が言える
- 金属のイオンになりやすさ(Mg > Zn > Cu > Ag など)を、金属板と水溶液の実験から判断できる
- ダニエル電池のしくみ(−極で亜鉛が溶け、+極で銅が付着)、電池の種類を説明できる
入試での位置づけ
塩化銅水溶液の電気分解(陰極に銅・陽極に塩素)と金属のイオン化傾向の実験(硫酸銅水溶液に亜鉛板 → 銅が付着)、ダニエル電池(−極・+極の反応、セロハンの役割)が 3 本柱。イオン式の書き方は必ず問われます。
1. 電解質と電離
まずここだけ
| 電解質 | 非電解質 | |
|---|---|---|
| 水に溶けると | 電流が流れる(イオンに分かれる) | 流れない(分子のまま) |
| 例 | 塩化ナトリウム・塩化銅・塩酸・水酸化ナトリウム・硫酸 | 砂糖・エタノール・デンプン |
電離:電解質が水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれること。
| 物質 | 電離のイオン式 |
|---|---|
| 塩化ナトリウム | NaCl → Na⁺ + Cl⁻ |
| 塩化銅 | CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻ |
| 塩化水素(塩酸) | HCl → H⁺ + Cl⁻ |
| 水酸化ナトリウム | NaOH → Na⁺ + OH⁻ |
| 硫酸 | H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻ |
| 硫酸銅 | CuSO₄ → Cu²⁺ + SO₄²⁻ |
| 硫酸亜鉛 | ZnSO₄ → Zn²⁺ + SO₄²⁻ |
右辺の+と−の数は等しい(全体で電気的に中性)。
2. 原子の構造とイオン
まずここだけ
原子 = 原子核(陽子=+、中性子=電気なし)+ まわりを回る電子(−)。 ふつうの原子は 陽子の数 = 電子の数 なので電気的に中性。
- 陽イオン:原子が電子を失って + になったもの(Na⁺・Cu²⁺・Zn²⁺・H⁺・Mg²⁺・Ag⁺)
- 陰イオン:原子が電子を受け取って − になったもの(Cl⁻・OH⁻・SO₄²⁻)
右上の数字はやりとりした電子の数(Cu²⁺ = 電子を 2 個失った)。
Na → Na⁺ + e⁻(電子 1 個失う)/Cl + e⁻ → Cl⁻/Cu → Cu²⁺ + 2e⁻
3. 電気分解
まずここだけ
塩化銅水溶液の電気分解(CuCl₂ → Cu + Cl₂):
| 極 | 集まるイオン | できるもの | 確認 |
|---|---|---|---|
| 陰極(−) | Cu²⁺(陽イオンは − に引かれる) | 銅(赤い固体が付着) | こすると金属光沢 |
| 陽極(+) | Cl⁻ | 塩素(気体) | プールのようなにおい、赤インクの色を消す(漂白)、水に溶けやすいので少ししか集まらない |
反応:陰極 Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu、陽極 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻。電気分解を続けると水溶液の青色がうすくなる(Cu²⁺ が減る)。
塩酸の電気分解(2HCl → H₂ + Cl₂):陰極に水素(マッチの火で音を立てて燃える)、陽極に塩素。体積は水素のほうが多く集まる(塩素は水に溶ける)。
水の電気分解(中 2):陰極に水素・陽極に酸素、2:1。
4. 金属のイオンへのなりやすさ
ここまでできれば十分
イオンになりやすい順:Mg > Zn > Fe > Cu > Ag(マグネシウム・亜鉛・鉄・銅・銀)。 「イオンになりやすい金属」=電子を放出しやすい=溶けやすい。
実験:金属板を別の金属の水溶液に入れる。
硫酸銅水溶液に亜鉛板 → 亜鉛が溶け(Zn → Zn²⁺ + 2e⁻)、銅が付着(Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu)。青色がうすくなる。→ Zn のほうが Cu よりイオンになりやすい 硫酸亜鉛水溶液に銅板 → 変化なし(Cu は Zn よりなりにくい) 硫酸銅水溶液にマグネシウム → 銅が付着。硝酸銀水溶液に銅 → 銀が付着し溶液が青くなる(Cu²⁺)
判定:板が溶けて相手の金属が付着 → 板の金属のほうがイオンになりやすい。
5. 電池
ここまでできれば十分
電池(化学電池):化学変化で化学エネルギーを電気エネルギーに変える装置。2 種類の金属と電解質の水溶液が必要(砂糖水・同じ金属 2 枚では電流が流れない)。
ダニエル電池:亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅水溶液に入れ、セロハン(または素焼きの容器)で仕切る。
| 極 | 金属 | 反応 | ようす |
|---|---|---|---|
| −極 | 亜鉛(イオンになりやすいほう) | Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ | 亜鉛板が溶けて細くなる |
| +極 | 銅 | Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu | 銅板に銅が付着、硫酸銅水溶液の青色がうすくなる |
- **電子は −極(亜鉛)→ 導線 → +極(銅)**へ流れる。電流は逆(銅 → 亜鉛)。
- セロハンの役割:2 つの水溶液がすぐ混ざらないようにしつつ、イオンは通す(回路を保つ)。混ざると亜鉛板に直接銅が付着して電池にならない。
- 長く使うには:硫酸銅水溶液を濃く、硫酸亜鉛水溶液をうすく。
電池の種類:
- 一次電池:使い切り(マンガン乾電池・アルカリ乾電池・リチウム電池)
- 二次電池:充電して繰り返し使える(鉛蓄電池・リチウムイオン電池・ニッケル水素電池)
- 燃料電池:水素と酸素の反応(2H₂ + O₂ → 2H₂O)で発電。水しか出ない
6. よくある間違い
- 陽イオンが「陽極に集まる」とする(陽イオンは + なので陰極へ)
- 塩化銅の電気分解で陽極に銅とする(陰極に銅、陽極に塩素)
- イオン式の電子の数(Cu²⁺ は 2 個)や電荷の総和を合わせない
- 電池の −極を「イオンになりにくい金属」にする(なりやすいほうが −極)
- 電子の向きと電流の向きを同じにする(逆)
7. 自己チェック
- 電解質=イオンに分かれる(NaCl・HCl・CuCl₂)、非電解質=砂糖・エタノール
- 陽イオン=電子を失う、陰イオン=受け取る
- CuCl₂ 電気分解:陰極 Cu、陽極 Cl₂(におい・漂白)
- Mg > Zn > Fe > Cu > Ag。溶けて付着 → 板のほうがなりやすい
- ダニエル電池:−極 Zn 溶ける、+極 Cu 付着、電子は Zn → Cu、セロハンはイオンを通す
8. 小テストへ
→ 小テスト(s3-03)
関連する単元
- 前提:s2-04 原子・分子・化学反応式、s2-03 電流(電子の流れ)
- 次に進む:s3-04 酸・アルカリ・中和
- ここで使う考え方が出てくる:s3-08 エネルギー資源(燃料電池)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』── 第 1 分野「(6) 化学変化とイオン ア(ア) 水溶液とイオン ア(イ) 化学変化と電池」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/science/s3-03/ / 更新 2026-09-12