中3 理科 / 地学 / s3-08
自然と人間・科学技術(エネルギー資源)
この単元でできるようになること
- エネルギーの種類(化学・電気・熱・光・音・運動・位置・核)とその移り変わり、エネルギーの保存と変換効率を説明できる
- 火力・水力・原子力・再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱・バイオマス)の発電のしくみと長所・短所が言える
- 熱の伝わり方(伝導・対流・放射)を区別できる
- 自然災害(地震・津波・火山・気象災害)への備えと、自然の恵みを説明できる
- プラスチック・新素材・科学技術の利用と課題(持続可能な社会)を説明できる
入試での位置づけ
発電方法の比較表(エネルギーの変換の順序・長所短所)と変換効率の計算(利用できたエネルギー ÷ もとのエネルギー × 100)、熱の 3 つの伝わり方の区別が出ます。記述では「再生可能エネルギーの課題」「火力の課題(CO₂)」「持続可能な社会」。
1. エネルギーの移り変わり
まずここだけ
エネルギーの種類:運動・位置(力学的)、熱、光、音、電気、化学(物質がもつ。燃料・食物・電池)、核(原子核)、弾性。
エネルギーの保存:変換してもエネルギーの総量は変わらない。ただし目的のエネルギーに全部は変わらず、一部は熱や音として逃げる。
変換効率 [%] = 目的のエネルギー ÷ もとのエネルギー × 100
電力 100 J のうち光になったのが 20 J の電球 → 効率 20%(残り 80 J は熱)。LED は効率が高い。
| 器具 | 変換 |
|---|---|
| モーター | 電気 → 運動 |
| 発電機 | 運動 → 電気 |
| 電熱線・アイロン | 電気 → 熱 |
| 光電池(太陽電池) | 光 → 電気 |
| 乾電池 | 化学 → 電気 |
| 植物の光合成 | 光 → 化学 |
| 燃焼 | 化学 → 熱・光 |
2. 熱の伝わり方
まずここだけ
| 伝わり方 | しくみ | 例 |
|---|---|---|
| 伝導 | 物質の中を熱が接触して伝わる | 金属のスプーンが熱くなる |
| 対流 | あたたまった液体・気体が動いて伝わる | エアコン、なべの湯 |
| 放射 | 光(赤外線)として直接伝わる(空気がなくても) | 太陽の熱、たき火の前 |
3. 発電
ここまでできれば十分
| 発電 | エネルギーの変換 | 長所 | 短所・課題 |
|---|---|---|---|
| 火力 | 化学(燃料)→ 熱 → 運動(タービン)→ 電気 | 安定・出力調整しやすい | CO₂・大気汚染、化石燃料は限りがある(石油・石炭・天然ガス) |
| 水力 | 位置 → 運動 → 電気 | CO₂ を出さない・再生可能 | ダム建設で環境が変わる、立地が限られる |
| 原子力 | 核 → 熱 → 運動 → 電気(ウランの核分裂) | 少ない燃料で大量・CO₂ なし | 放射性廃棄物の処理、事故の危険 |
| 太陽光 | 光 → 電気 | 再生可能・CO₂ なし・どこでも | 夜・天候で不安定、広い面積、コスト |
| 風力 | 運動 → 電気 | 再生可能 | 風に左右される、騒音・景観 |
| 地熱 | 地下の熱 → 運動 → 電気 | 安定・再生可能 | 立地が火山地帯に限られる |
| バイオマス | 生物資源(木くず・生ごみ・家畜のふん)の化学 → 熱 → 電気 | 植物が育つときに CO₂ を吸収しているので差し引きゼロ(カーボンニュートラル) | 量の確保 |
再生可能エネルギー:使っても自然の力でくり返し補える(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス)。化石燃料・ウランは再生不可。
タービンを回すもの:火力・原子力は水蒸気、水力は水、風力は風。
エネルギーの安定供給:天候に左右されるものと安定したものを組み合わせる(ベストミックス)。送電のロス、蓄電池。
放射線(再掲):α・β・γ・X 線。目に見えない、透過性、細胞を傷つけることがある。医療・工業に利用。単位 Sv・Bq。
4. 自然の恵みと災害
ここまでできれば十分
| 自然 | 恵み | 災害 | 備え |
|---|---|---|---|
| 火山 | 温泉・地熱・美しい景観・肥えた土 | 噴火・火砕流・火山灰 | ハザードマップ・観測・避難計画 |
| 地震 | (プレート運動が山・島をつくる) | ゆれ・津波・液状化・土砂災害 | 耐震化・緊急地震速報・避難場所 |
| 気象 | 雨(水資源・農業)・四季 | 台風・豪雨・洪水・土砂崩れ・竜巻・猛暑・大雪 | 気象情報・避難指示・治水 |
ハザードマップ:被害の予想範囲・避難場所を示した地図。自助・共助・公助。
5. 科学技術と持続可能な社会
ここまでできれば十分
- プラスチック:石油からつくる有機物。軽い・さびない・成形しやすい・電気を通さない。種類(PE ポリエチレン、PET、PS ポリスチレン、PVC ポリ塩化ビニル、PP)。密度で区別(水に浮く PE・PP、沈む PET・PS・PVC)。課題:自然界で分解されにくい、マイクロプラスチック、海洋ごみ → 生分解性プラスチック・リサイクル。
- 新素材:炭素繊維、形状記憶合金、導電性高分子、吸水性高分子(紙おむつ)。
- 情報通信(インターネット・AI)、医療(MRI・ロボット)、交通(ハイブリッド・燃料電池車)。
- 持続可能な社会:資源を使いすぎず、環境を守り、将来の世代も暮らせる社会。3R(リデュース・リユース・リサイクル)、循環型社会、SDGs。
6. よくある間違い
- 火力の変換を「化学 → 電気」(化学 → 熱 → 運動 → 電気)
- 原子力を「再生可能」(ウランは有限)
- 水力を「位置 → 熱 → 電気」(熱は使わない:位置 → 運動 → 電気)
- 放射を「空気が運ぶ」(光として直接)
- バイオマスを「CO₂ を出さない」(出すが、育つときに吸収した分と差し引きゼロ)
- 効率で「熱になった分」を答えてしまう(目的のエネルギーの割合)
7. 自己チェック
- エネルギーは保存。効率 = 目的 ÷ もと × 100
- 伝導・対流・放射
- 火力:化学→熱→運動→電気(CO₂)。水力:位置→運動→電気。原子力:核→熱→運動→電気(廃棄物)。太陽光:光→電気
- 再生可能 = 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス
- ハザードマップ・3R・持続可能な社会
8. 小テストへ
→ 小テスト(s3-08)
関連する単元
- 前提:s3-02 仕事とエネルギー、s2-02 電力、s2-03 電磁誘導(発電機)、s1-09 地震・火山
- 次に進む:(中学理科の最後)
- ここで使う考え方が出てくる:s3-06 生態系・炭素の循環、s2-10 気象災害
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』── 第 1 分野「(7) 科学技術と人間 ア(ア) エネルギーと物質 ア(イ) 自然環境の保全と科学技術の利用」、第 2 分野「(7) 自然と人間 ア(イ) 自然の恵みと災害」
- 資源エネルギー庁『エネルギー白書』── 各発電方式の特徴(一般的な記述)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/science/s3-08/ / 更新 2026-09-12