高校受験 / 制度
内申点(調査書)のしくみ
このページでわかること
- 「内申点」「調査書」「評定」「観点別評価」の意味
- 評定(5 段階)がどう決まるか(3 つの観点)
- 内申点が入試でどう点数化されるか(東京都の実例で計算)
- 内申を上げるために、実際に何が評価されているか
1. 言葉の整理
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 調査書 | 中学校が作成して高校に送る書類。各教科の評定・観点別評価・出欠・活動の記録などが書かれる。「内申書」と呼ばれることもある |
| 評定 | 各教科の 5 段階(5・4・3・2・1)の成績。通知表の数字と同じ |
| 観点別学習状況の評価 | 各教科を 3 つの観点で A・B・C の 3 段階で評価したもの(後述) |
| 内申点 | 調査書の評定を合計・換算して点数にしたもの。9 教科 × 5 = 45 点満点が基本の呼び方(換算後の点数を指すこともある) |
2. 評定はどう決まるか ── 3 つの観点
一次資料の根拠
文部科学省の通知(平成 31 年 3 月 29 日「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」)は、観点別学習状況の評価を次の 3 観点に整理すると定めています。中学校の評定が 5 段階であることは、同通知の別紙(指導要録の参考様式)と、東京都の入試冊子(評定 5〜1)で確認できます。
| 観点 | 何を見るか | 評価される場面の例 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 内容を理解し、技能を身につけているか | 定期テスト・小テスト・実技 |
| 思考・判断・表現 | 知識を使って考え、判断し、表現できるか | 記述問題・レポート・発表・作品 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 粘り強く取り組み、自分の学習を調整しているか | 提出物・授業中の取り組み・振り返りの記述 |
各観点を A・B・C で評価し、それを総合して 評定 5〜1 にします。「テストの点だけ」で決まるのではなく、3 つの観点のバランスで決まります。
評定を上げるには
- 定期テスト:知識・技能と思考・判断・表現の中心。範囲を早めに把握し、記述問題も練習する
- 提出物:期限を守り、指示された形で出す。「主体的に取り組む態度」の主な材料
- 授業中の取り組み:発言・ノート・実技への参加。態度の観点
- 実技教科(音・美・保体・技家):作品や実技の出来だけでなく、取り組みと振り返りが見られる
「態度の観点」は「元気に手を挙げる」ことではなく、自分の学習を見直して工夫しているかが評価対象、と通知に書かれています。振り返りシートや学習計画の記述が材料になることが多いです。
3. 入試での点数化 ── 東京都の実例
内申の点数化の方法は都道府県で違います。ここでは一次資料が公開されている東京都立高校(令和 9 年度)を例に、実際の計算をします。
一般入試(学力検査に基づく選抜)
手順(東京都教育委員会の冊子より)
- 学力検査を行う 5 教科(国・数・英・社・理)の評定は 1 倍
- 学力検査を行わない実技 4 教科(音・美・保体・技家)の評定は 2 倍
- 合計が「評定の得点」。満点は 5 × 5 + 4 × 5 × 2 = 65 点
- これを調査書点の満点(比率 7 : 3 なら 300 点)に比例換算する(小数点以下切り捨て)
冊子の例(東京花子さん):国 5・社 4・数 3・理 3・音 3・美 4・保体 5・技家 3・英 5
- 5 教科:5 + 3 + 5 + 4 + 3 = 20
- 実技 4 教科:(3 + 4 + 5 + 3) × 2 = 30
- 合計 50 点 → 調査書点 = 300 × 50 ÷ 65 = 230 点(切り捨て)
実技 4 教科は 2 倍なので、東京都では実技の評定 1 つ分が 5 教科の 2 つ分に相当します。「主要 5 教科だけがんばればいい」は、少なくとも東京都では誤りです。
総合得点
学力検査 500 点を 700 点に換算 + 調査書点 300 点 + スピーキングテスト 20 点 = 1020 点満点(第一次募集・分割前期)。
学力検査の換算:得点 × 700 ÷ 500。例えば 5 教科で 350 点なら 490 点。
内申 1 点の重み:調査書点 300 ÷ 65 ≒ 4.6 点。実技教科の評定が 1 上がると 2 × 4.6 ≒ 9.2 点、これは学力検査でおよそ 6.6 点分(9.2 ÷ 1.4)に相当します。
推薦入試
推薦入試では、観点別学習状況の評価(9 教科 × 3 観点 = 27 観点)または評定(9 教科)のどちらかを各学校が選んで点数化します(冊子より)。観点別を使う学校は、学校の特色に応じて特定の観点の配点を高くすることがあります。
例(冊子・東京太郎さん):観点別評価の得点 153 点(満点 195 点)を、調査書点の満点 390 点に比例換算 → 390 × 153 ÷ 195 = 306 点
4. 他の都道府県との違い
| 違うところ | 例 |
|---|---|
| 使う学年 | 3 年のみ/1〜3 年すべて/2・3 年(県により異なる) |
| 実技の倍率 | 2 倍(東京都)/均等/1.5 倍など |
| 学力検査との比率 | 7 : 3、5 : 5、学校ごとに選択 |
| 換算の満点 | 45 点・65 点・135 点(3 学年分)など |
自分の県の「実施要綱」で、①どの学年の評定を使うか ②実技の倍率 ③学力検査との比率、の 3 点を必ず確認してください。この 3 点で、いつから・どの教科に力を入れるべきかが決まります。
5. よくある誤解
- 「内申は 3 年生からがんばれば間に合う」:1〜3 年の評定を使う県では、1 年生の成績も入る。3 年のみの県でも、評定は積み重ねの結果なので急には上がりにくい
- 「テストの点が良ければ評定は 5」:提出物・態度の観点が C なら 5 にならないことがある
- 「実技教科は関係ない」:東京都では 2 倍。他県でも均等に入る
- 「内申が低いと受からない」:一般入試では学力検査の比率が 7(東京都)。当日の得点で挽回できる余地はある。ただし推薦入試は調査書の比重が大きい
出典(このページで使った一次資料)
- 文部科学省「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」平成 31 年 3 月 29 日 ── 3 観点への整理(30文科初第1845号) https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415169.htm (2026-09-12 確認)
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」(PDF)── 調査書点の点数化(1 倍・2 倍、65 点満点、300 点換算、東京花子さん・東京太郎さんの例)、推薦入試の 27 観点、スピーキングテスト 20 点 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/pamphlet2026_japanese (2026-09-12 確認)
このページの「東京都の実例」の数値は上記冊子に書かれているとおりです。他県の記述は一般的な傾向で、具体的な数値は各県の要綱で確認してください。