中1 数学 / 数と式 / m1-03
正負の数の乗法・除法・累乗
この単元でできるようになること
- 負の数がまじった かけ算(乗法)・わり算(除法)ができる
- 3つ以上の数をかけたとき、答えの符号を一瞬で決められる
- 累乗(同じ数を何回もかける)の書き方と計算ができる
- −2² と (−2)² の違いがわかる(入試で最も多い失点のひとつ)
- わり算を「逆数をかける」に直せる
入試での位置づけ
計算問題として出題されやすい単元です。特に 累乗の符号(−2² と (−2)² の違い)は、計算問題の定番として出題されやすく、わかっているつもりでも落としやすいところです。この単元は「ルールは少ないのに、うっかりが多い」単元。ルールを覚えたら、うっかりの型を知っておくのが得点につながります。
1. 乗法(かけ算)── 符号のルール
まずここだけ
負の数のかけ算は、答えの符号を先に決めて、あとから絶対値をかける、この順番でやります。
| 符号の組み合わせ | 答えの符号 | 例 |
|---|---|---|
| (+) × (+) | + | (+3) × (+4) = +12 |
| (−) × (−) | + | (−3) × (−4) = +12 |
| (+) × (−) | − | (+3) × (−4) = −12 |
| (−) × (+) | − | (−3) × (+4) = −12 |
まとめると、同じ符号なら +、違う符号なら −。
なぜ (−) × (−) が + になるのか
丸暗記でも計算はできますが、理由を知っておくと忘れにくくなります。
「毎日 3 円ずつ減っていく貯金」を考えます。1日で −3 円。4日後は (−3) × (+4) = −12 円(12 円減っている)。では 4日前はどうでしょう。4日前は「時間をさかのぼる」ので −4 日。(−3) × (−4)。4日前は今より 12 円多かったはずなので、答えは +12 円。「減る量」×「さかのぼる」=「増える」。これが (−) × (−) = (+) の意味です。
3つ以上の数のかけ算
負の数が何個あるかを数えるだけです。
- 負の数が 偶数個(0個、2個、4個…)→ 答えは +
- 負の数が 奇数個(1個、3個、5個…)→ 答えは −
(−2) × (+3) × (−4) × (−1):負の数は −2、−4、−1 の3個(奇数)→ 符号は −。絶対値は 2×3×4×1 = 24。答え −24。
例
| 式 | 符号の判断 | 絶対値 | 答え |
|---|---|---|---|
| (−6) × (−7) | 同符号 → + | 42 | +42 |
| (−6) × 7 | 異符号 → − | 42 | −42 |
| (−0.5) × 8 | 異符号 → − | 4 | −4 |
| (−2) × (−3) × (−5) | 負が3個 → − | 30 | −30 |
| (−1) × (−1) × (−1) × (−1) | 負が4個 → + | 1 | +1 |
よくある間違い
- 3つ以上のかけ算で、左から順に符号を決めていって途中で混乱する → 先に負の数を数える。それだけで符号は決まる
- (−6) × 7 を「−6 に 7 をたす」と読み違える → 記号をよく見る。× は「かける」
2. 除法(わり算)── 符号は乗法と同じ
まずここだけ
わり算の符号ルールはかけ算とまったく同じです。同じ符号なら +、違う符号なら −。
| 式 | 符号 | 絶対値 | 答え |
|---|---|---|---|
| (+12) ÷ (+3) | + | 4 | +4 |
| (−12) ÷ (−3) | + | 4 | +4 |
| (+12) ÷ (−3) | − | 4 | −4 |
| (−12) ÷ (+3) | − | 4 | −4 |
割り切れないとき ── 分数で答える
(−7) ÷ 3 は割り切れません。この場合は分数で −7/3 と答えます。小数にすると 2.333… と終わらないので、中学数学では分数のほうが正確です。符号は分数の前に1つだけつけます(−7/3 と書く。分子と分母の両方に − をつけない)。
逆数 ── わり算をかけ算に直す
2つの数をかけて 1 になるとき、片方をもう片方の といいます。
- 3 の逆数は 1/3(3 × 1/3 = 1)
- 2/5 の逆数は 5/2
- −4 の逆数は −1/4(符号はそのまま、分子と分母をひっくり返す)
- 0 に逆数はない(0 に何をかけても 1 にならない)
「ある数でわる」ことは「その数の逆数をかける」ことと同じです。
(−6) ÷ (−2/3) = (−6) × (−3/2) = +9
分数のわり算や、かけ算とわり算が混ざった式は、全部かけ算に直してから符号を決めると迷いません。
ここまでできれば十分
かけ算・わり算の符号ルールと、逆数への直し方までできれば、この単元の基本は合格です。次の累乗は「うっかりの型」を知るところです。
3. 累乗 ── 同じ数を何回もかける
まずここだけ
3 × 3 × 3 × 3 を 3⁴ と書き、「3 の 4 乗」と読みます。右上の小さい 4 を といい、「何回かけるか」を表します。2乗を「平方」、3乗を「立方」とも言います。
- 5² = 5 × 5 = 25
- 2³ = 2 × 2 × 2 = 8
- 10⁴ = 10000
負の数の累乗 ── かっこの有無で意味が変わる
ここが入試の定番です。次の2つは別物です。
| 式 | 意味 | 計算 | 答え |
|---|---|---|---|
| (−2)² | (−2) を 2 回かける | (−2) × (−2) | +4 |
| −2² | 2² に − をつける | −(2 × 2) | −4 |
−2² の「2乗」は 2 にだけかかっていて、前の − は「2² の反対」という意味です。かっこがついていない − は、指数の外にある、と覚えてください。
同じように
- (−2)³ = (−2) × (−2) × (−2) = −8(負の数が3個 → −)
- −2³ = −(2 × 2 × 2) = −8
- (−3)² = +9、−3² = −9
(−2)³ と −2³ は同じ答えになりますが、それは「たまたま奇数乗だから」です。偶数乗のとき(2乗・4乗)に必ず差が出ます。
負の数を偶数乗すると必ず正になる
(−□)² の答えは、□ が何であっても 0 以上です。負の数が 2 個(偶数個)かけられているからです。これは中3の「平方根」でとても重要になります(「2乗して負になる数は、ふつうの数の中にはない」)。
よくある間違い
- −3² を +9 にする → 一番多い失点。かっこがないので 2乗は 3 だけにかかる。−9
- (−3)² を −9 にする → かっこがあるので (−3) × (−3) = +9
- 2³ を 2 × 3 = 6 にする → 指数は「かける回数」。2 × 2 × 2 = 8
- (−1)¹⁰⁰ を −1 にする → 負の数が 100 個(偶数)→ +1
もう一歩(発展):累乗と四則の混ざった式
(−2)³ × 3 − (−3)² のような式は、累乗を先に計算してから、かけ算・わり算、最後にたし算・ひき算の順です(計算の順序は次の単元 m1-04 でくわしく扱います)。
- 累乗:(−2)³ = −8、(−3)² = +9
- かけ算:(−8) × 3 = −24
- ひき算:−24 − 9 = −33
4. 符号ミスの自己チェック
- かけ算・わり算は 符号を先に決めたか(負の数の個数を数えたか)
- −□² の 2乗は □ にだけかかっていると読んだか
- わり算を逆数のかけ算に直したとき、符号を変えていないか(逆数は符号そのまま)
5. 小テストへ
→ 小テスト(m1-03)
関連する単元
- 前提:m1-02 正負の数の加法・減法
- 次に進む:m1-04 四則の混じった計算・素因数分解
- ここで使う考え方が出てくる:m3-04 平方根(2乗して負になる数はない)、m3-08 関数 y=ax²
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 A 数と式 (1) 正の数と負の数 ── 「正の数と負の数の四則計算」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m1-03/ / 更新 2026-09-12