中2 数学 / 数と式 / m2-02
式の値・等式の変形
この単元でできるようになること
- 多項式や単項式の計算をしてから代入し、式の値を手早く求められる
- 等式を、指定された文字について解ける(等式の変形)
- 公式(面積・速さ・割合など)を、求めたい量について解き直せる
- 「x について解く」とはどういうことかを、方程式と結びつけて説明できる
入試での位置づけ
「次の等式を y について解きなさい」は、計算問題の小問として出題されやすい形です。やることは一次方程式(m1-08)と同じですが、答えが数でなく式になるため、移項・両辺をわる操作を「文字を含んだまま」行う必要があります。中2の連立方程式(代入法)・一次関数(y = の形に直す)、中3の二次方程式の解の公式でも、この変形をそのまま使います。
1. 式の値 ── 整理してから代入
まずここだけ
式の値を求める問題では、まず式を簡単にしてから代入します(m2-01 の発展で扱いました)。
x = 3、y = −2 のとき、2(3x − y) − 3(x − 2y) の値
- 整理:6x − 2y − 3x + 6y = 3x + 4y
- 代入:3 × 3 + 4 × (−2) = 9 − 8 = 1
いきなり代入すると 2(9 + 2) − 3(3 + 4) = 22 − 21 = 1 で同じ答えになりますが、負の数を何度も扱うので途中で符号を落としやすくなります。
単項式の乗除でも同じ
a = −2、b = 3 のとき、12a²b ÷ 4ab の値
整理:12a²b / 4ab = 3a → 代入:3 × (−2) = −6
例
| 式 | 整理 | x = −1、y = 2 での値 |
|---|---|---|
| 3(x + 2y) − 2(2x + y) | −x + 4y | 1 + 8 = 9 |
| (4x − 6y) ÷ 2 + y | 2x − 2y | −2 − 4 = −6 |
| 8xy² ÷ (−2y) | −4xy | 8 |
よくある間違い
- 整理せずに代入して、かっこの中の負の数で符号を落とす → 先に整理
- 整理した式に代入するとき、かっこをつけない:3 × −1 + … → 3 × (−1)(m1-05)
2. 等式の変形 ── 「x について解く」
まずここだけ
等式 2x + y = 8 を「y について解く」とは、y = (x を含む式) の形に変形することです。
2x + y = 8 → y = 8 − 2x(2x を移項)
「x について解く」なら x = (y を含む式): 2x = 8 − y → x = (8 − y)/2
やっていることは一次方程式を解くのと同じで、解きたい文字以外を「数」だと思って移項・わり算をします。
手順
- 解きたい文字を含む項を左辺に、それ以外を右辺に移項する
- 左辺を「(係数)× (文字)」の形にまとめる
- 両辺を係数でわる(係数が文字でも同じ)
例①:3a + 2b = 12 を b について解く
- 移項:2b = 12 − 3a
- 両辺を 2 でわる:b = (12 − 3a)/2(b = 6 − (3/2)a でも同じ)
例②:ℓ = 2πr を r について解く
両辺を 2π でわる:r = ℓ/(2π)
例③:S = (1/2)ah(三角形の面積)を h について解く
- 両辺に 2 をかけて分数を消す:2S = ah
- 両辺を a でわる:h = 2S/a
「底辺 a と面積 S がわかっているとき、高さ h は 2S/a」。公式を「知りたい量 = 」の形に組み替えるのが等式の変形の使いどころです。
例④:V = (1/3)πr²h(円錐の体積)を h について解く
3V = πr²h → h = 3V/(πr²)
例⑤:分数を含む等式
x/3 + y/2 = 1 を y について解く
- 両辺を 6 倍:2x + 3y = 6
- 3y = 6 − 2x
- y = (6 − 2x)/3
よくある間違い
- 移項で符号を変えない:2x + y = 8 → y = 8 + 2x → 移項は符号を変える(y = 8 − 2x)
- 「両辺を文字でわる」をためらう → 解きたい文字以外は数と同じ。ah = 2S なら両辺を a でわって h = 2S/a
- 係数でなく、文字ごと移項する:ah = 2S → h = 2S − a → かけてある a はわり算で消す(m1-08)
- 答えの形を1つに決めつける:(12 − 3a)/2 と 6 − (3/2)a は同じ。どちらでも正解
ここまでできれば十分
「解きたい文字以外を数だと思って、移項 → わり算」ができれば、この単元の中心は合格です。
3. 公式の変形の使いどころ
ここまでできれば十分(の次)
| 公式 | 何について解くか | 結果 |
|---|---|---|
| 道のり = 速さ × 時間(ℓ = vt) | 時間 t | t = ℓ/v |
| 平均 = 合計 ÷ 個数(m = S/n) | 合計 S | S = mn |
| 台形の面積 S = (a + b)h/2 | 上底 a | a = 2S/h − b |
| 割合:比べる量 = もとにする量 × 割合(p = bq) | もとにする量 b | b = p/q |
| 摂氏と華氏:F = (9/5)C + 32 | C | C = (5/9)(F − 32) |
台形の例:2S = (a + b)h → 両辺を h でわって 2S/h = a + b → a = 2S/h − b。「両辺を h でわる」→「b を移項」の2段です。
変形した式で計算する
等式の変形は、「値を求めるたびに方程式を解く」手間を省きます。 S = (1/2)ah から h = 2S/a を1度作っておけば、面積 30・底辺 12 なら h = 60/12 = 5、面積 42・底辺 7 なら h = 12、と代入するだけです。
4. 文字式の利用 ── 文字を残したまま計算する
もう一歩(発展)
「1辺 a cm の正方形の各辺を 2 cm ずつのばすと、面積はいくら増えるか」
のばした後の正方形の面積 (a + 2)² は中3で展開しますが、ここでは (a + 2)(a + 2) を「1辺 (a + 2) の正方形」として図で分けると、a² + 2a + 2a + 4 = a² + 4a + 4。もとの a² との差は 4a + 4 (cm²)。
「文字を残したまま計算して、結果を文字式で表す」のは次の単元(文字式の利用・説明)の中心です。
5. 自己チェック
- 式の値:先に整理したか。代入で負の数にかっこをつけたか
- 等式の変形:解きたい文字の項だけ左辺に集めたか。移項の符号を変えたか
- かけてある文字(係数)は、移項でなく両辺をわって消したか
- 分数の形の答え(例 (6 − 2x)/3)を、別の形(2 − (2/3)x)と同じだと判断できるか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m2-02)
関連する単元
- 前提:m1-08 一次方程式の解き方、m2-01 単項式と多項式の計算
- 次に進む:m2-03 文字式の利用(説明・証明)
- ここで使う考え方が出てくる:m2-04 連立方程式(代入法)、m2-06 一次関数(y = ax + b の形に直す)、m3-06 二次方程式
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 A 数と式 (1) 文字を用いた式 ── 「目的に応じて、簡単な式を変形すること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m2-02/ / 更新 2026-09-12