中2 数学 / 数と式 / m2-03
文字式の利用 ── 説明・証明
この単元でできるようになること
- 偶数・奇数・倍数・連続する整数・2けたの整数を、文字を使って表せる
- 「〜は必ず〜になる」ことを、文字式を使って説明(証明)できる
- 説明の書き方の型(文字でおく → 計算 → 結論の形に整える → 結論)を身につける
- 図形の性質(周の長さの差・面積の関係)を文字式で説明できる
入試での位置づけ
「連続する3つの整数の和は3の倍数になることを説明せよ」のような記述問題として出題されやすい単元です。配点が計算問題より大きく、部分点もあります。求められるのは計算力より**「結論の形に整えて、その形が何を意味するかを言葉で書く」**ことで、型を覚えれば安定して得点できます。中3の式の計算の利用・図形の証明でも、書き方はここが土台です。
1. 整数を文字で表す
まずここだけ
文字を使って説明するには、まず「どんな整数か」を式で表せる必要があります。n を整数として
| 整数 | 表し方 | 理由 |
|---|---|---|
| 2n | 2 の倍数 | |
| 2n + 1(または 2n − 1) | 偶数より 1 大きい | |
| 3 の倍数 | 3n | |
| 5 でわると 2 余る数 | 5n + 2 | |
| 3 つ | n、n + 1、n + 2(または n − 1、n、n + 1) | 1 ずつ増える |
| 連続する偶数 2 つ | 2n、2n + 2 | 2 ずつ増える |
| 連続する奇数 2 つ | 2n + 1、2n + 3 | |
| 2 けたの整数(十の位 a、一の位 b) | 10a + b | 位取り |
| 3 けたの整数(百 a、十 b、一 c) | 100a + 10b + c |
2 つの数を別々に表すとき
「2 つの偶数」を 2n と 2n としてしまうと、同じ数になってしまいます。別々の整数 m、n を使って 2m、2n と表します。「連続する」と書いてあるときだけ、同じ n で n、n + 1 のように表せます。
よくある間違い
- 奇数を 2n − 1 と 2n + 1 のどちらで表してもよいが、説明の中で混ぜない
- 「2 けたの整数 ab」を a × b と書く → 位取りなので 10a + b
- 2 つの偶数を両方 2n にする → 別の文字(2m と 2n)
2. 説明の型
まずここだけ
例題:連続する 3 つの整数の和は、3 の倍数になる。このことを説明しなさい。
(説明) 連続する 3 つの整数を n、n + 1、n + 2(n は整数)とする。 それらの和は n + (n + 1) + (n + 2) = 3n + 3 = 3(n + 1) n + 1 は整数なので、3(n + 1) は 3 の倍数である。 よって、連続する 3 つの整数の和は 3 の倍数になる。
型の4段
- 文字でおく:「〜を n とする(n は整数)」。何を文字にしたか必ず書く
- 計算する:条件どおりに式を立てて、整理する
- 結論の形に整える:「3 の倍数」を示したいなら 3 × (整数) の形にする。ここが説明の核
- 結論を書く:「(整数部分) は整数なので、〜は 3 の倍数である。よって〜」
3段目の「結論の形に整える」を忘れて 3n + 3 で止めると、「3 の倍数」だとは言い切れていないので減点されます。3(n + 1) とくくって「3 × 整数」の形を見せることが必要です。
例②:偶数と奇数の和は奇数になる
m、n を整数として、偶数を 2m、奇数を 2n + 1 とする。 和は 2m + 2n + 1 = 2(m + n) + 1 m + n は整数なので、2(m + n) + 1 は奇数である。 よって、偶数と奇数の和は奇数になる。
例③:2 けたの整数と、その十の位と一の位を入れかえた数の和は 11 の倍数
十の位を a、一の位を b とすると、もとの数は 10a + b、入れかえた数は 10b + a。 和は (10a + b) + (10b + a) = 11a + 11b = 11(a + b) a + b は整数なので、11(a + b) は 11 の倍数である。
例④:連続する 2 つの奇数の和は 4 の倍数
連続する 2 つの奇数を 2n + 1、2n + 3(n は整数)とする。 和は (2n + 1) + (2n + 3) = 4n + 4 = 4(n + 1) n + 1 は整数なので、4 の倍数である。
例⑤:カレンダーの数
カレンダーで縦に並んだ 3 つの数の和は、真ん中の数の 3 倍になる。 真ん中の数を n とすると、上は n − 7、下は n + 7(カレンダーは 1 週間 7 日で縦に並ぶ)。 和は (n − 7) + n + (n + 7) = 3n。よって真ん中の数の 3 倍。
「真ん中を n とおく」と、上下が対称になって計算が簡単になります。何を n とおくかで計算の手間が変わるのもこの単元のポイントです。
よくある間違い
- 3n + 3 のまま「3 の倍数」と書く → 3(n + 1) とくくる
- 「n + 1 は整数なので」を書かない → くくった中身が整数であることを一言添える
- 具体的な数(1、2、3 で試す)だけで「成り立つ」と書く → 具体例は確認にはなるが説明にはならない。文字で書く
- 結論の文を書き忘れる → 最後に「よって〜」で締める
ここまでできれば十分
4段の型で、「3 の倍数」「偶数・奇数」「11 の倍数」を説明できれば、記述の基本は合格です。
3. 図形と文字式
ここまでできれば十分(の次)
例:半径 r の円の周りに幅 a の道がある。道の面積 S と、道の真ん中を通る円の周の長さ ℓ について、S = aℓ が成り立つことを説明しなさい。
外側の円の半径は r + a。 道の面積:S = π(r + a)² − πr² = π(r² + 2ar + a²) − πr² = 2πar + πa² = πa(2r + a) 真ん中の円の半径は r + a/2 なので、ℓ = 2π(r + a/2) = π(2r + a) よって aℓ = a × π(2r + a) = πa(2r + a) = S。S = aℓ が成り立つ。
((r + a)² の展開は中3の内容ですが、「1辺 (r + a) の正方形の面積」を図で分ければ r² + 2ar + a² が出ます)
例:縦 a、横 b の長方形の周の長さは、縦横をそれぞれ 2 倍にすると 2 倍になる もとの周:2(a + b)。2 倍にした長方形の周:2(2a + 2b) = 4(a + b) = 2 × 2(a + b)。よって 2 倍。
図形の説明では、「もと」と「変えたあと」の両方を文字式で表して比べるのが型です。
4. 「説明」で気をつける日本語
もう一歩(発展)
- 「n は整数」を最初に書く:文字が何を表すかを宣言しないと、読み手は式を検証できない
- 「= 」と「よって」を混ぜない:計算は等号でつなぎ、結論は文で書く
- 「整数なので」の一言:3(n + 1) の n + 1 が整数だから 3 の倍数、という理屈を省かない
- 逆は言えるか確かめる:「3 の倍数なら連続する 3 整数の和」は真ではない(3 は連続 3 整数の和ではない)。説明では問われた向きだけを書く
入試の採点では、①文字のおき方 ②計算 ③結論の形と結論 の3か所に部分点がつくのがふつうです。計算が途中で止まっても、①と結論の形が書けていれば点になります。白紙にせず、文字のおき方だけでも書くのが得点の戦略です。
5. 自己チェック
- 何を文字にしたか(「n は整数」)を最初に書いたか
- 2 つの数を別々の文字(m、n)で表したか(連続のときだけ同じ文字)
- 結論の形(3 × 整数、2 × 整数 + 1 など)にくくって整えたか
- 「〜は整数なので」と「よって〜」を書いたか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m2-03)
関連する単元
- 前提:m2-01 単項式と多項式の計算、m2-02 等式の変形
- 次に進む:m2-04 連立方程式の解き方
- ここで使う考え方が出てくる:m2-10 三角形の合同条件・証明の書き方、m3-03 式の計算の利用
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 A 数と式 (1) 文字を用いた式 ── 「文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明すること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m2-03/ / 更新 2026-09-12