中1 理科 / 化学 / s1-06
状態変化・融点と沸点・蒸留
この単元でできるようになること
- 固体・液体・気体の粒子のようす(並び方・動き)と、状態変化で質量は変わらず体積が変わることを説明できる
- 水は例外的に固体(氷)のほうが液体より体積が大きい(密度が小さい → 浮く)と言える
- 融点・沸点は物質ごとに決まっていて量によらないこと、加熱グラフの平らな部分の意味がわかる
- 混合物の沸点は一定にならないこと、蒸留で沸点の低い物質を先に取り出せることを説明できる
- 加熱時間のグラフから、ある時刻の状態(固体/固体と液体/液体)を判断できる
入試での位置づけ
加熱グラフの読み取り(「B の区間では何が起こっているか」「量を 2 倍にしたらグラフはどう変わるか」)とエタノールと水の蒸留(最初に出てくる液体は何か・沸騰石の役割・温度計の位置)が定番。密度(s1-04)と組み合わせて「氷が浮く理由」も出ます。
1. 状態変化
まずここだけ
状態変化:温度によって固体 ⇄ 液体 ⇄ 気体と姿が変わること。物質そのものは変わらない(化学変化ではない)。
| 状態 | 粒子のようす | 体積 |
|---|---|---|
| 固体 | 規則正しく並び、その場で振動 | 小 |
| 液体 | 並びがくずれ、動き回れる | 中 |
| 気体 | ばらばらに飛び回る。間隔が非常に大きい | 非常に大(液体の数百〜千倍以上) |
質量は変わらない(粒子の数が同じ)。体積が変わる(粒子の間隔が変わる)→ 密度が変わる。
水の例外:ふつうは 固体 < 液体 < 気体 の順に体積が大きいが、水は 氷 > 液体の水。氷のほうが密度が小さいので氷は水に浮く(ほかの物質の固体は、その液体に沈む。例:固体のロウは液体のロウに沈む)。
エタノールを袋に入れて熱湯をかける → 袋が大きくふくらむ(液体 → 気体で体積が大きくなる)。質量は同じ。
2. 融点と沸点
まずここだけ
- 融点:固体が液体になる温度(水 0℃)
- 沸点:液体が沸騰して気体になる温度(水 100℃)
- 純粋な物質では、融点・沸点は物質の種類で決まり、量によらない。融点・沸点を調べると物質が何かわかる。
| 物質 | 融点 [℃] | 沸点 [℃] |
|---|---|---|
| 水 | 0 | 100 |
| エタノール | −115 | 78 |
| 食塩(塩化ナトリウム) | 801 | 1413 |
| 鉄 | 1535 | 2750 |
| 水銀 | −39 | 357 |
| 窒素 | −210 | −196 |
| パルミチン酸 | 63 | ── |
ある温度での状態:融点より低い → 固体、融点と沸点の間 → 液体、沸点より高い → 気体。
20℃ の水銀:−39 < 20 < 357 → 液体。20℃ の窒素:−196 より高い → 気体。
ここまでできれば十分:加熱グラフ
固体を一定の火力で加熱したときの「時間 − 温度」グラフ:
- 温度が上がる(固体)
- 平らな部分 ①:融点。固体がとけている間は固体と液体が混ざった状態で温度が変わらない(加えた熱が状態変化に使われる)
- 温度が上がる(液体)
- 平らな部分 ②:沸点。液体と気体
- 気体
量を変えると:融点・沸点(平らな部分の高さ)は変わらない。平らな部分の長さは量が多いほど長くなる(とけきるのに時間がかかる)。
混合物(食塩水・みりん):沸点が一定にならず、グラフに平らな部分が出にくい。加熱中も温度が上がり続ける。
3. 蒸留
ここまでできれば十分
蒸留:液体を加熱して気体にし、それを冷やして再び液体として集める方法。沸点のちがいを利用して混合物を分ける。
水とエタノールの混合物(例:3:1)を加熱:
- 沸点の低いエタノール(78℃)が先に多く出る → 最初に集めた液体はエタノールを多く含む(火をつけると燃える・においが強い)
- あとに集めた液体ほど水が多い(燃えない)
- 温度計の球部は枝の高さ(出ていく気体の温度を測るため)
- 沸騰石を入れる(急な沸騰=突沸を防ぐ)
- 集める試験管は水や氷で冷やす。ガラス管の先を液につけない(逆流防止)
利用:石油の分留(沸点のちがいでガソリン・灯油などに分ける)、海水から水をつくる。
4. よくある間違い
- 状態変化で質量が変わるとする(変わらない。体積と密度が変わる)
- 氷が液体の水に沈むとする(浮く。水は例外)
- 平らな部分を「加熱をやめた」と考える(熱は状態変化に使われている)
- 量を 2 倍にすると沸点が上がるとする(沸点は同じ、平らな部分が長くなる)
- 蒸留で最初に出てくるものを「水」とする(沸点の低いエタノールが多い)
- 状態変化を化学変化と混同(物質は変わらない)
5. 自己チェック
- 状態変化:質量そのまま、体積(密度)が変わる。水は氷のほうが体積大
- 融点・沸点は物質で決まり量によらない
- グラフの平らな部分 = 融点・沸点。2 つの状態が混ざる。量が多いと長くなる
- 混合物は沸点が一定にならない
- 蒸留:沸点の低いものが先。温度計は枝の高さ、沸騰石
6. 小テストへ
→ 小テスト(s1-06)
関連する単元
- 前提:s1-04 物質の性質・密度
- 次に進む:s1-07 植物の分類
- ここで使う考え方が出てくる:s2-04 原子・分子(化学変化との区別)、s2-09 気象(水蒸気の状態変化)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』── 第 1 分野「(2) 身の回りの物質 ア(エ) 状態変化」
- 融点・沸点の値:国立天文台編『理科年表』の一般的な値(教科書掲載値と同じ概数)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/science/s1-06/ / 更新 2026-09-12