中3 社会 / 公民 / c-05
経済のしくみ(市場・価格・企業・労働)
この単元でできるようになること
- 家計(消費支出・貯蓄)・企業・政府の 3 つの経済主体と、消費者の権利(消費者基本法・クーリングオフ・製造物責任法)を説明できる
- 需要と供給のグラフで、均衡価格と、価格が高い/低いときの品不足・売れ残りを読める
- 市場価格と公共料金、独占・寡占と独占禁止法・公正取引委員会がわかる
- 企業の種類(私企業・公企業)、株式会社のしくみ(株主・配当・株主総会・有限責任)、企業の社会的責任(CSR)が言える
- 労働者の権利(労働三法)、労働の課題(非正規雇用・長時間労働・ワーク・ライフ・バランス)を説明できる
- 流通(卸売・小売)と、流通の合理化がわかる
入試での位置づけ
需要曲線・供給曲線のグラフ(右下がりが需要、右上がりが供給、交点が均衡価格、「価格が均衡より高いと売れ残り」)が最頻出。株式会社(株主は出資額以上の責任を負わない=有限責任、利益の一部が配当)、クーリングオフ、独占禁止法も定番です。
1. 経済主体と消費生活
まずここだけ
3 つの経済主体:家計(消費)・企業(生産)・政府(公共サービス・税)。お金・もの・サービス・労働力がめぐる。
家計:収入(給与所得・事業所得・財産所得)→ 消費支出(食料・住居・教育…)+非消費支出(税・社会保険料)+貯蓄。
- 財(形のあるもの)とサービス(形のないもの)。
- 支払い:現金・クレジットカード(後払い・使いすぎ注意)・電子マネー・キャッシュレス。
消費者の権利:
| 法律・制度 | 内容 |
|---|---|
| 消費者基本法(2004 年) | 消費者の権利の尊重と自立の支援(旧・消費者保護基本法) |
| クーリングオフ | 訪問販売などで契約後**一定期間(8 日間など)**なら無条件で解約できる(店で自分で買ったものは対象外) |
| 製造物責任法(PL 法) | 製品の欠陥で被害 → 企業の過失を証明しなくても賠償を求められる |
| 消費者契約法 | 不当な契約の取り消し |
| 消費者庁(2009 年) | 消費者行政をまとめる |
契約:当事者の合意で成立(口約束でも)。一度結ぶと守る責任。
2. 市場と価格
まずここだけ
市場経済:商品は市場で売買され、価格は需要と供給で決まる。
| 需要 | 供給 | |
|---|---|---|
| 誰 | 買いたい人(消費者) | 売りたい人(生産者) |
| 価格が上がると | 買いたい量は減る | 売りたい量は増える |
| 曲線 | 右下がり | 右上がり |
- 均衡価格:需要と供給が一致する価格(2 つの曲線の交点)。
- 価格が均衡より高い → 供給 > 需要 → 売れ残り → 価格は下がる
- 価格が均衡より低い → 需要 > 供給 → 品不足 → 価格は上がる
- 曲線の移動:人気が出る(需要増)→ 需要曲線が右へ → 均衡価格上昇。豊作(供給増)→ 供給曲線が右へ → 価格下落。
価格の働き:何をどれだけ生産するかを調整するシグナル(市場のメカニズム)。
ここまでできれば十分
- 独占(1 社)・寡占(少数)→ 価格競争が起きにくく高い価格に(独占価格・管理価格)→ 独占禁止法(1947 年)、公正取引委員会が監視。
- 公共料金:電気・ガス・水道・鉄道運賃・郵便など、生活への影響が大きいものは国や地方が決定・認可。
- 物価:多くの商品の価格の平均的な動き(インフレ・デフレ → c-06)。
3. 企業
ここまでできれば十分
| 私企業 | 公企業 | |
|---|---|---|
| 目的 | **利潤(利益)**の追求 | 公共の利益 |
| 例 | 株式会社・個人企業・農家 | 水道・市営バス・国立印刷局 |
株式会社:
- 株式を発行して多くの人から資金を集める → 買った人が株主
- 株主は株主総会で議決(持ち株数に応じて)、利益の一部を配当として受け取る
- 会社が倒産しても株主は出資額以上の責任を負わない(有限責任)
- 経営は取締役(取締役会)が行う。所有と経営の分離
- 株式は証券取引所で売買 → 株価が変動
企業の社会的責任(CSR):利益だけでなく、環境・地域・労働者・消費者への責任。ベンチャー企業、起業、中小企業(企業数の 99% 以上・従業者の約 7 割)、大企業。
4. 労働
ここまでできれば十分
労働三法:
| 法律 | 内容 |
|---|---|
| 労働基準法 | 労働条件の最低基準(1 日 8 時間・週 40 時間、週 1 日以上の休日、男女同一賃金、15 歳未満の児童の労働禁止) |
| 労働組合法 | 労働組合をつくる権利(団結権・団体交渉権・団体行動権) |
| 労働関係調整法 | 労使の争いの調整(労働委員会) |
課題:非正規雇用(パート・アルバイト・派遣・契約)の増加(約 4 割)→ 賃金格差・不安定。長時間労働・過労死 → 働き方改革。ワーク・ライフ・バランス、テレワーク、男女の賃金格差、外国人労働者。終身雇用・年功序列から成果主義へ。最低賃金法。セーフティネット(雇用保険)。
5. 流通
ここまでできれば十分
流通:生産者 → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者。
- 流通の合理化:産地直送、大型スーパーの直接仕入れ、インターネット通販、POS システム(販売時点情報管理)で売れ筋を把握、フランチャイズ(コンビニ)。
6. よくある間違い
- 需要曲線を右上がりにする(需要=買いたい=価格が上がると減る=右下がり)
- 価格が高いとき「品不足」(高い → 売れ残り。低い → 品不足)
- 株主が「無限責任」(有限責任。出資額まで)
- 配当を「利子」と混同(配当=株主への利益の分配)
- クーリングオフが「店で買ったもの」にも使えるとする(訪問販売などが対象)
- 労働基準法の時間を「1 日 7 時間・週 35 時間」(8 時間・40 時間)
- 公正取引委員会を「公共料金を決める」(独占の監視)
7. 自己チェック
- 家計・企業・政府。クーリングオフ(訪問販売 8 日)、PL 法(無過失責任)
- 需要右下がり・供給右上がり・交点が均衡価格。高い→売れ残り、低い→品不足
- 独占禁止法・公正取引委員会。公共料金は国・地方が決める
- 株式会社:株主・株主総会・配当・有限責任
- 労働三法。労基法 1 日 8 時間・週 40 時間。非正規約 4 割
8. 小テストへ
→ 小テスト(c-05)
関連する単元
- 前提:c-01 現代社会
- 次に進む:c-06 金融・財政・税・社会保障
- ここで使う考え方が出てくる:g-09 日本の産業、h-08 産業革命(資本主義)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』── 公民的分野「B 私たちと経済 (1) 市場の働きと経済」
- e-Gov 法令検索「労働基準法」第 32 条(8 時間・40 時間)、「特定商取引法」(クーリングオフ 8 日)、「製造物責任法」
- 公正取引委員会「独占禁止法の概要」(https://www.jftc.go.jp/)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/social/c-05/ / 更新 2026-09-12