中3 社会 / 公民 / c-06
金融・財政・税・社会保障
この単元でできるようになること
- 金融(直接金融・間接金融)、銀行のしくみ(利子)、日本銀行の 3 つの役割と金融政策(公開市場操作)が言える
- 景気の波(好景気・不景気)と、インフレ・デフレ、財政政策・金融政策の方向を説明できる
- 円高・円安の意味と、輸出入への影響、為替の換算計算ができる
- 税の分類(国税・地方税/直接税・間接税)、所得税の累進課税、消費税の逆進性を説明できる
- 財政の役割(公共サービス・所得の再分配・景気の安定)、歳入・歳出の内訳、国債の問題がわかる
- 社会保障の 4 つの柱(社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生)と少子高齢化の課題が言える
入試での位置づけ
円高・円安(1 ドル 100 円 → 80 円は円高/輸出に不利・輸入に有利/海外旅行に有利)と税の分類表、日本銀行の金融政策の向き(不景気には国債を買って通貨を増やす)が定番。累進課税と逆進性の記述、社会保障 4 本柱の対応もよく出ます。数値は 2026 年 9 月時点。
1. 金融と日本銀行
まずここだけ
金融:お金を必要とする人と余っている人の間でお金を融通すること。
- 直接金融:企業が株式や債券を発行して投資家から直接集める
- 間接金融:銀行が預金を集めて企業に貸す(銀行は貸し出し利子 > 預金利子 で利益)
日本銀行(中央銀行)の 3 つの役割:
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 発券銀行 | 日本銀行券(紙幣)を発行する(硬貨は政府) |
| 政府の銀行 | 政府の資金を預かり出し入れする |
| 銀行の銀行 | 一般の銀行に貸し出し・預金を受ける |
金融政策(日本銀行):公開市場操作(オペレーション)
| 景気 | 操作 | 効果 |
|---|---|---|
| 不景気 | 銀行から国債を買う(買いオペ)→ 銀行の資金が増える → 貸し出し金利下がる | 企業が借りやすく → 生産・消費が増える |
| 好景気(過熱) | 銀行に国債を売る(売りオペ)→ 資金が減る → 金利上がる | 借りにくく → 景気を冷やす |
2. 景気と物価
まずここだけ
景気変動:好景気(好況)と不景気(不況)をくり返す。
- インフレーション:物価が上がり続ける(お金の価値が下がる)。好景気で起こりやすい
- デフレーション:物価が下がり続ける。不景気。企業の利益減 → 賃金減 → 消費減の悪循環(デフレスパイラル)
財政政策(政府):不景気には公共事業を増やし、減税(お金を市場に出す)。好景気には公共事業を減らし、増税。
3. 為替(円高・円安)
ここまでできれば十分
為替相場:通貨と通貨の交換比率(1 ドル = 何円)。
| 円高 | 円安 | |
|---|---|---|
| 意味 | 円の価値が上がる(1 ドル 120 円 → 100 円:少ない円でドルが買える) | 円の価値が下がる(100 円 → 120 円) |
| 輸出(日本製品を海外で売る) | 不利(海外での値段が上がる) | 有利 |
| 輸入(海外から買う) | 有利(安く買える) | 不利 |
| 海外旅行 | 有利 | 不利 |
| 外国人観光客 | 減りやすい | 増えやすい |
| 企業 | 海外に工場を移す(産業の空洞化) |
数字が小さくなる → 円高(「円高」なのに数字は下がる、がひっかけ)。
換算:
1 ドル = 120 円のとき、3,000 ドルの車 → 3,000 × 120 = 36 万円。1 ドル = 100 円になると 30 万円(円高で輸入品が安く) 240 万円の日本車をアメリカで売る:1 ドル 120 円なら 20,000 ドル、100 円なら 24,000 ドル(円高で値上がり → 売れにくい)
4. 税
まずここだけ
| 直接税(納める人 = 負担する人) | 間接税(納める人 ≠ 負担する人) | |
|---|---|---|
| 国税 | 所得税・法人税・相続税 | 消費税・酒税・たばこ税・関税 |
| 地方税 | 住民税(都道府県民税・市町村民税)・固定資産税・自動車税 | 地方消費税・入湯税 |
- 累進課税:所得が多いほど税率が高い(所得税・相続税)→ 所得の格差を縮める(所得の再分配)
- 消費税:2026 年 9 月時点 10%(飲食料品・新聞は軽減税率 8%)。誰でも同じ税率なので、所得が低い人ほど負担の割合が重い(逆進性)。景気に左右されにくく安定した税収。
本体 2,000 円の文房具 → 消費税 10% で 200 円、支払い 2,200 円 本体 2,000 円の食料品(持ち帰り)→ 8% で 160 円、2,160 円
5. 財政
ここまでできれば十分
財政:政府の経済活動(歳入=収入、歳出=支出)。予算は内閣が作成し国会が議決。
財政の 3 つの役割:①公共サービス・社会資本の提供(道路・学校・警察)②所得の再分配(累進課税・社会保障)③景気の安定(財政政策)。
歳入:税金 + **公債金(国債=国の借金)**が約 3 割。歳出:社会保障関係費が最大(約 3 分の 1)、国債費(借金の返済と利子)、地方交付税交付金、公共事業費、防衛費、文教費。 課題:国債残高の累積(将来世代の負担)、少子高齢化で社会保障費が増え続ける。
6. 社会保障
ここまでできれば十分
憲法 25 条生存権(健康で文化的な最低限度の生活)にもとづく。
| 柱 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 社会保険 | 保険料を払い、必要なとき給付 | 医療保険・年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険(40 歳以上が加入) |
| 公的扶助 | 生活に困っている人に税金で生活費を支給 | 生活保護 |
| 社会福祉 | 高齢者・障がい者・子どもなど支援が必要な人へのサービス | 保育所・老人ホーム・障がい者福祉 |
| 公衆衛生 | 病気の予防・環境の整備 | 予防接種・上下水道・感染症対策 |
課題:少子高齢化で現役世代の負担増(年金は現役世代の保険料で高齢者を支える賦課方式が中心)。「高福祉・高負担」か「低福祉・低負担」か。バリアフリー・ユニバーサルデザイン、介護保険(2000 年〜)。
7. よくある間違い
- 1 ドル 120 円 → 100 円を「円安」(円高。数字が下がると円高)
- 円高で「輸出に有利」(不利)
- 不景気のとき日銀が「国債を売る」(買う)
- 消費税を直接税にする(間接税)/住民税を国税にする(地方税)
- 累進課税を消費税に当てはめる(消費税は一律 → 逆進性)
- 生活保護を社会保険にする(公的扶助)/介護保険を社会福祉にする(社会保険)
- 紙幣を発行するのを「政府」とする(日本銀行。硬貨は政府)
8. 自己チェック
- 直接金融(株・債券)/間接金融(銀行)。日銀:発券・政府・銀行の銀行
- 不景気 → 買いオペ・公共事業増・減税
- 数字が下がる = 円高 = 輸出不利・輸入有利
- 直接税(所得・法人・住民・固定資産)/間接税(消費・酒・関税)。累進課税・逆進性
- 社会保険・公的扶助(生活保護)・社会福祉・公衆衛生
9. 小テストへ
→ 小テスト(c-06)
関連する単元
- 前提:c-05 経済のしくみ(市場・価格・企業)
- 次に進む:c-07 国際社会
- ここで使う考え方が出てくる:c-03 国会(予算の議決)、g-08 日本の人口(少子高齢化)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』── 公民的分野「B 私たちと経済 (2) 国民の生活と政府の役割」
- 財務省「税の種類に関する資料」「日本の財政関係資料」(https://www.mof.go.jp/)── 消費税率 10%・軽減税率 8%、歳出内訳
- 日本銀行「教えて!にちぎん」(https://www.boj.or.jp/)── 日本銀行の役割・公開市場操作
- 厚生労働省「社会保障とは何か」(https://www.mhlw.go.jp/)── 社会保障の 4 分野
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/social/c-06/ / 更新 2026-09-12