中3 社会 / 公民 / c-04
選挙と地方自治
この単元でできるようになること
- 選挙の 4 原則(普通・平等・直接・秘密)と、選挙権 18 歳・被選挙権の年齢が言える
- 小選挙区制と比例代表制の特徴(死票・少数意見)を比べ、ドント式で議席を配分できる
- 衆議院・参議院の選挙制度(小選挙区比例代表並立制/選挙区+比例代表)と定数・任期がわかる
- 一票の格差・投票率の低下など選挙の課題を説明できる
- 地方自治のしくみ(首長と議会の二元代表制、条例、直接請求権の署名数と請求先、住民投票)がわかる
入試での位置づけ
ドント式の計算(各党の得票を 1, 2, 3… で割り、大きい順に議席)は公民でほぼ唯一の計算問題で頻出。直接請求権の表(条例の制定 = 有権者の 50 分の 1 以上 → 首長、解職・解散 = 3 分の 1 以上 → 選挙管理委員会)と、小選挙区制の長所・短所(死票が多い/政権が安定)の記述も定番です。
数値は 2026 年 9 月時点の公職選挙法・地方自治法にもとづく。
1. 選挙のしくみ
まずここだけ
選挙の 4 原則:
- 普通選挙:一定の年齢以上のすべての国民に選挙権(財産・性別で区別しない)
- 平等選挙:1 人 1 票
- 直接選挙:有権者が直接候補者を選ぶ
- 秘密選挙:誰に投票したかを知られない(無記名)
| 年齢 | |
|---|---|
| 選挙権 | 満 18 歳以上(2016 年〜) |
| 被選挙権:衆議院議員・市町村長・地方議会議員 | 満 25 歳以上 |
| 被選挙権:参議院議員・都道府県知事 | 満 30 歳以上 |
選挙制度
| 制度 | しくみ | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 小選挙区制 | 1 選挙区から 1 人 | 大政党に有利で政権が安定しやすい、候補者がわかりやすい | 死票が多い(落選者の票がむだになる)、少数意見が反映されにくい |
| 比例代表制 | 各政党の得票数に比例して議席を配分 | 死票が少ない、少数意見も反映 | 小政党が乱立し政権が不安定になりやすい |
| 大選挙区制 | 1 選挙区から 2 人以上 |
| 議院 | 定数(2026 年 9 月時点) | 選挙制度 | 任期 |
|---|---|---|---|
| 衆議院 | 465(小選挙区 289 + 比例代表 176) | 小選挙区比例代表並立制(比例は全国 11 ブロック・拘束名簿式=政党名で投票) | 4 年(解散あり) |
| 参議院 | 248(選挙区 148 + 比例代表 100) | 選挙区(都道府県単位・一部合区)+ 比例代表(全国 1 区・非拘束名簿式=政党名でも候補者名でも) | 6 年(3 年ごとに半数改選・解散なし) |
ドント式(比例代表の議席配分)
各政党の得票数を 1, 2, 3, … で順に割り、商の大きい順に定数分だけ議席を配る。
定数 5、A 党 6,000 票・B 党 3,600 票・C 党 1,800 票
| ÷1 | ÷2 | ÷3 | |
|---|---|---|---|
| A | 6,000 ① | 3,000 ③ | 2,000 ④ |
| B | 3,600 ② | 1,800 ⑤ | 1,200 |
| C | 1,800 ⑤(同数は… 問題では起きないよう設定) | 900 |
→ A 3 議席、B 2 議席、C 0 議席(1,800 が同数の場合はくじなど。入試では同数にならない数値が出る)
手順:① 各党を 1・2・3… で割った表をつくる ② 大きい数から順に○をつけて定数まで数える ③ 党ごとに○を数える。
2. 選挙の課題
ここまでできれば十分
- 一票の格差:選挙区によって議員 1 人あたりの有権者数が違う → 1 票の価値に差 → 平等選挙に反するとして最高裁が「違憲状態」と判断したことがある。区割りの見直し・合区。
- 投票率の低下(特に若い世代)→ 期日前投票・不在者投票、18 歳選挙権、インターネットによる選挙運動の解禁(投票はネット不可)。
- 政党:与党(政権を担当)と野党。連立政権。政権公約(マニフェスト)。
- 世論とマスメディア、メディアリテラシー。
3. 地方自治
まずここだけ
地方自治は「民主主義の学校」(身近な問題を住民自身が決める)。 地方公共団体(地方自治体):都道府県・市町村。仕事:学校・ごみ・上下水道・消防・警察(都道府県)・戸籍など。
二元代表制:首長(知事・市町村長)と地方議会の議員を、どちらも住民が直接選挙で選ぶ(国は議院内閣制で首相は国会が指名 → ここが違う)。
- 議会は首長の不信任決議ができ、首長は議会を解散できる。首長は議会の議決に拒否権(再議)。
- 条例:地方議会が法律の範囲内で制定するその地域だけのきまり。
地方財政:地方税(自主財源)のほか、地方交付税交付金(国から・使い道自由・格差を減らす)、国庫支出金(国から・使い道が決まっている)、地方債(借金)。自主財源が少ないのが課題。
直接請求権(署名を集めて請求できる)
| 請求 | 必要な署名(有権者の) | 請求先 | その後 |
|---|---|---|---|
| 条例の制定・改廃 | 50 分の 1 以上 | 首長 | 議会で採決 |
| 監査 | 50 分の 1 以上 | 監査委員 | 監査の実施 |
| 議会の解散 | 3 分の 1 以上 ※ | 選挙管理委員会 | 住民投票で過半数の賛成なら解散 |
| 首長・議員の解職(リコール) | 3 分の 1 以上 ※ | 選挙管理委員会 | 住民投票で過半数なら解職 |
| 副知事などの解職 | 3 分の 1 以上 ※ | 首長 | 議会で 3 分の 2 以上出席・4 分の 3 以上賛成 |
※有権者が 40 万人を超える部分は 6 分の 1、80 万人を超える部分は 8 分の 1 に緩和。
有権者 30,000 人の市で条例の制定を請求 → 30,000 ÷ 50 = 600 人以上の署名 → 市長へ 同じ市で市長の解職 → 30,000 ÷ 3 = 10,000 人以上 → 選挙管理委員会へ
住民投票:条例にもとづく住民投票(結果に法的拘束力はない)、特別法(特定の地方公共団体だけに適用する法律)には住民投票で過半数の同意が必要(憲法 95 条)。 住民参加:オンブズマン(オンブズパーソン)制度、NPO、ボランティア。
4. よくある間違い
- 被選挙権を「参議院 25 歳」(30 歳。知事も 30)
- 小選挙区制で「死票が少ない」(多い)
- ドント式で「÷1 の数だけで決める」(÷2、÷3 も含めて大きい順)
- 衆議院の任期 6 年・参議院 4 年と逆にする(衆 4・参 6)
- 条例の制定請求を「選挙管理委員会へ」(首長へ。選管は解散・解職)
- 首長を「議会が選ぶ」(住民が直接選挙。二元代表制)
- 地方交付税交付金と国庫支出金の「使い道」を逆にする(交付税=自由)
5. 自己チェック
- 普通・平等・直接・秘密。選挙権 18、被選挙権 衆・市町村長・地方議員 25、参・知事 30
- 小選挙区=死票多・政権安定、比例代表=死票少・不安定
- 衆 465・4 年・解散あり・並立制、参 248・6 年・半数改選
- ドント式:1・2・3… で割って大きい順
- 直接請求:条例・監査 1/50(首長・監査委員)、解散・解職 1/3(選管)
6. 小テストへ
→ 小テスト(c-04)
関連する単元
- 前提:c-02 人権と日本国憲法(参政権)、c-03 国会・内閣・裁判所
- 次に進む:c-05 経済のしくみ
- ここで使う考え方が出てくる:h-08 明治(帝国議会・制限選挙)、h-11 戦後(普通選挙・女性参政権)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』── 公民的分野「C 私たちと政治 (2) 民主政治と政治参加」
- 総務省「選挙の種類」「なるほど!選挙」(https://www.soumu.go.jp/senkyo/)── 選挙権・被選挙権・定数・ドント式
- e-Gov 法令検索「公職選挙法」第 4 条(定数)、「地方自治法」第 74〜81 条(直接請求)── 2026 年 9 月確認
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/social/c-04/ / 更新 2026-09-12