中2 社会 / 地理 / g-09
日本の産業(農林水産業・工業・商業)
この単元でできるようになること
- 日本の農業の特色(集約的・小規模・米中心・食料自給率の低さ・高齢化)と、各地の農業(促成栽培・抑制栽培・近郊農業・輸送園芸)を説明できる
- 林業(国産材の低迷)、漁業(遠洋 → 沖合 → 養殖・栽培漁業、排他的経済水域、潮目)の変化が言える
- 工業の特色(加工貿易 → 海外生産、太平洋ベルト、主な工業地帯・地域、産業の空洞化)を説明できる
- 第三次産業(商業・サービス業)の割合の増加、産業の分類(第一次・第二次・第三次)がわかる
入試での位置づけ
促成栽培(高知・宮崎)と抑制栽培(長野・群馬の高原野菜)の理由、近郊農業、食料自給率が低い理由、工業地帯の出荷額の特徴(中京=機械(自動車)が突出、京葉=化学、阪神=金属・中小企業、瀬戸内=化学)、産業の空洞化の記述が定番。統計値は年で変わるので傾向と理由を中心に。
1. 農業
まずここだけ
特色:
- 農地がせまく、1 戸あたりの経営規模が小さい(アメリカの数十分の一)→ 集約的農業(せまい土地に多くの労働・資本・肥料)→ 単位面積あたりの収量は高い
- 米が中心(稲作・新潟・北海道・秋田が生産上位)。減反政策(生産調整・2018 年廃止)。銘柄米。
- 食料自給率(カロリーベース)約 4 割弱と低い(米は高いが、小麦・大豆・飼料は輸入)。理由:安い輸入農産物、食生活の洋風化(パン・肉)、農業の高齢化・後継者不足。
- 対策:6 次産業化(生産+加工+販売)、地産地消、ブランド化、スマート農業、法人化、トレーサビリティ(生産履歴)。
各地の農業:
| 農業 | 地域 | しくみ・理由 |
|---|---|---|
| 促成栽培 | 高知平野・宮崎平野(なす・ピーマン・きゅうり) | 温暖な気候とビニールハウスで他の地域より早く出荷し、高い価格で売る |
| 抑制栽培 | 長野・群馬(嬬恋)の高原(レタス・キャベツ) | 夏でも涼しい高地で、他の産地が出荷できない夏に出荷(高原野菜) |
| 近郊農業 | 茨城・千葉・埼玉など大都市周辺 | 新鮮なまま短時間で大消費地へ、輸送費が安い(野菜・花・卵) |
| 輸送園芸 | 高知・宮崎・北海道 | 遠くの市場へトラック・フェリーで輸送 |
| 果樹 | 青森(りんご)・山梨(ぶどう・もも)・和歌山・愛媛・静岡(みかん)・山形(さくらんぼ) | 扇状地・水はけ・気候 |
| 畜産 | 北海道(酪農・根釧台地)・鹿児島・宮崎(豚・鶏・牛) | 広い土地・シラス台地(稲作に不向き) |
| 二毛作・二期作 | 九州・高知 | 温暖 |
2. 林業・漁業
ここまでできれば十分
林業:国土の約 3 分の 2 が森林。人工林(すぎ・ひのき:吉野・尾鷲・天竜)。安い輸入木材で国産材が低迷、高齢化、手入れ不足の森林 → 近年は国産材の利用回復・花粉症対策。森林の役割:水源・土砂災害防止・CO₂ 吸収。
漁業:
- かつて世界一の漁獲量 → 減少。理由:1970 年代の各国の排他的経済水域(200 海里)設定で遠洋漁業が制限、乱獲による資源減少、輸入水産物の増加、燃料費、高齢化。
- 沖合漁業が中心 → 減少。沿岸漁業。
- 育てる漁業:養殖業(いけすで育てる:かき=広島、ほたて=青森・北海道、真珠=長崎・愛媛、ぶり・まだい=鹿児島・愛媛、のり=佐賀・兵庫、わかめ=三陸)、栽培漁業(卵からかえして放流し、育ってからとる)。
- 好漁場:三陸沖の潮目、大陸棚(東シナ海)。銚子・焼津・釧路などの漁港。
- 課題:資源管理(漁獲枠)、持続可能な漁業(MSC 認証)。
3. 工業
まずここだけ
歩み:繊維(軽工業)→ 鉄鋼・造船(重化学工業)→ 機械(自動車・電気)→ 先端技術(IC・精密)。
- 加工貿易:原料を輸入し製品を輸出 → 現在は海外生産の増加(安い労働力・貿易摩擦の回避・現地の市場)→ 産業の空洞化(国内の工場・雇用が減る)。逆輸入。
- 太平洋ベルト:関東〜九州北部の臨海部に工業地帯・地域が集中。理由:原料の輸入・製品の輸出に便利な港、大消費地、平地、労働力。
- 近年は内陸(高速道路沿い・北関東工業地域・IC(半導体)工場:九州「シリコンアイランド」・東北「シリコンロード」)。
| 工業地帯・地域 | 特徴 |
|---|---|
| 中京工業地帯(愛知・三重) | 出荷額 1 位。**機械(自動車)**が約 7 割(豊田市)。瀬戸の陶磁器 |
| 京浜工業地帯(東京・神奈川) | 機械・印刷・出版(情報が集まる)。出荷額は低下 |
| 阪神工業地帯(大阪・兵庫) | 金属の割合が高い、中小企業が多い(東大阪)。早くから発達 |
| 北九州工業地帯(地域) | 八幡製鉄所(1901)から。地位低下、現在は自動車・IC |
| 関東内陸工業地域(群馬・栃木・埼玉) | 高速道路沿い・自動車・電気機械 |
| 京葉工業地域(千葉) | 化学・鉄鋼(石油化学コンビナート) |
| 東海工業地域(静岡) | 楽器・オートバイ(浜松)・製紙(富士) |
| 瀬戸内工業地域(岡山・広島・山口・愛媛) | 化学(水島・周南コンビナート)・鉄鋼・自動車(広島)・造船 |
| 北陸 | 地場産業・伝統工業(輪島塗・越前和紙・鯖江のめがね) |
中小企業:企業数の 99%・従業者の約 7 割。伝統工業(伝統的工芸品)。地場産業。
4. 商業・サービス業(第三次産業)
ここまでできれば十分
産業の分類:第一次(農林水産業)・第二次(鉱工業・建設)・第三次(商業・サービス・運輸・情報・金融・医療・教育)。日本は就業者の約 7 割が第三次産業(先進国の特徴)。
- 小売業の変化:商店街の衰退 → 郊外の大型ショッピングセンター(自動車)→ コンビニエンスストア(POS・24 時間)→ インターネット通販(宅配の増加)。
- 観光業:インバウンド(訪日外国人)、世界遺産、エコツーリズム。
- 情報通信産業:東京への集中。コンテンツ産業(アニメ・ゲーム)。
- 第三次産業の割合が高い地域:東京・沖縄(観光・米軍基地関連)・北海道。
5. よくある間違い
- 促成栽培と抑制栽培を逆にする(促成=早く・温暖な高知宮崎、抑制=遅らせる・涼しい高原)
- 食料自給率を「高い」(カロリーベース約 4 割弱)
- 中京工業地帯の中心を「化学」(機械=自動車)/京葉を機械(化学)
- 産業の空洞化を「国内工場が増える」(海外へ移り国内が減る)
- 養殖と栽培漁業を同じにする(栽培漁業は放流する)
- 遠洋漁業の減少理由を「魚がいなくなった」だけ(排他的経済水域の設定)
- 第三次産業の割合を「約 3 割」(約 7 割)
6. 自己チェック
- 小規模・集約的・米中心・自給率約 4 割弱・高齢化。6 次産業化・地産地消
- 促成(高知・宮崎・早く高く)/抑制(長野・群馬・夏の高原野菜)/近郊(新鮮・輸送費安)
- 漁業:EEZ で遠洋減 → 養殖(かき広島・ほたて青森北海道・真珠長崎愛媛)・栽培漁業(放流)
- 太平洋ベルト。中京=自動車 1 位、京葉=化学、阪神=金属・中小、瀬戸内=化学。空洞化
- 第三次産業が約 7 割
7. 小テストへ
→ 小テスト(g-09)
関連する単元
- 前提:g-07 地形・気候、g-08 人口・資源
- 次に進む:g-10 交通・通信・地域区分
- ここで使う考え方が出てくる:g-12 諸地域、c-05 経済(企業)、c-06 円高と海外生産
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』── 地理的分野「C 日本の様々な地域 (2) 日本の地域的特色と地域区分(産業)」
- 農林水産省「食料自給率」「作物統計」(https://www.maff.go.jp/)── カロリーベース 38%(2023 年度)・都道府県別生産量
- 経済産業省「工業統計調査/経済構造実態調査」(https://www.meti.go.jp/)── 工業地帯別出荷額
- 水産庁『水産白書』── 漁業種類別生産量の推移
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/social/g-09/ / 更新 2026-09-12