中1 数学 / 図形 / m1-13
平面図形 ── 直線・角・作図
この単元でできるようになること
- 直線・線分・半直線の違いがわかり、記号(AB、∠ABC、⊥、∥)で表せる
- 垂直・平行・垂直二等分線・角の二等分線の意味がわかる
- 定規とコンパスだけで、垂直二等分線・角の二等分線・垂線が作図できる
- 作図が「なぜその手順で正しいのか」を、ひし形や二等辺三角形の性質で説明できる
入試での位置づけ
作図は多くの公立高校入試で出題されやすい分野で、「条件を満たす点を作図せよ」という形で出ます。使う作図は3つ(垂直二等分線・角の二等分線・垂線)しかなく、入試の作図問題はこの3つの組み合わせです。**「等しい距離 → 垂直二等分線」「等しい角 → 角の二等分線」**という言い換えができるかが、そのまま得点になります。
1. 直線・線分・半直線と記号
まずここだけ
| 名前 | 意味 | 記号 |
|---|---|---|
| AB | 2点 A、B を通り、両方向に限りなくのびるまっすぐな線 | 直線 AB |
| AB | 直線 AB のうち、A から B までの部分(長さがある) | 線分 AB、長さも AB |
| 半直線 AB | A を端として B の方向に限りなくのびる線 | 半直線 AB |
線分 AB の長さも AB と書きます。「AB = 5 cm」は線分 AB の長さが 5 cm という意味です。
2つの線分 AB と CD の長さが等しいことは AB = CD と書きます。
角の表し方
2つの半直線が1点から出ているときにできる図形を といい、その点を 頂点、半直線を 辺 といいます。
角は ∠ABC(頂点 B を真ん中に書く)または ∠B と表します。角の大きさも同じ記号で表し、∠ABC = 60° のように書きます。
距離
2点 A、B の は、線分 AB の長さです(2点を結ぶ最短の長さ)。 点 P と直線 ℓ の距離は、P から ℓ に引いた垂線の長さです(P から ℓ までの最短)。
よくある間違い
- 「直線 AB の長さ」と言う → 直線は限りなくのびるので長さはない。長さがあるのは線分
- ∠ABC を頂点でない点を真ん中に書く(∠BAC など)→ 頂点を真ん中
- 点と直線の距離を、斜めの線分で測る → 垂線の長さ
2. 垂直と平行
まずここだけ
2直線 AB、CD が交わってできる角が直角(90°)のとき、AB と CD は であるといい、AB ⊥ CD と書きます。一方を他方の といいます。
2直線 AB、CD が交わらないとき、AB と CD は であるといい、AB ∥ CD と書きます。
平行線の距離
平行な2直線 ℓ、m で、ℓ 上のどの点から m に垂線を引いても、その長さは同じです。この長さを 平行線の距離 といいます。「平行 = 距離がどこでも同じ」という見方は、中2の「平行線と面積」(底辺が同じで高さが等しい三角形)で使います。
3. 基本の作図 ── 3つだけ
まずここだけ:作図のルール
とは、定規とコンパスだけを使って図をかくことです。
- 定規:直線を引くためだけに使う(目盛りは使わない)
- コンパス:円(弧)をかく・長さを写す
「定規で 5 cm 測って」は作図ではありません。長さはコンパスで写すものです。
作図①:垂直二等分線
線分 AB の中点を通り、AB に垂直な直線を、AB の といいます。
手順
- A を中心に、AB の半分より長い半径で弧をかく
- B を中心に、同じ半径で弧をかく
- 2つの弧の交点を P、Q とし、直線 PQ を引く
P
|
A────┼────B
|
Q
なぜ正しいか:PA = PB、QA = QB(同じ半径)なので、四角形 APBQ は4辺が等しいひし形。ひし形の対角線は、互いに垂直に交わり、それぞれの中点で交わります。だから PQ は AB の垂直二等分線です。
性質(重要):垂直二等分線上の点は、2点 A、B から等しい距離にあります。逆に、A、B から等しい距離にある点は、すべて垂直二等分線の上にあります。
作図②:角の二等分線
∠AOB を2等分する半直線を、∠AOB の といいます。
手順
- O を中心に弧をかき、辺 OA、OB との交点を C、D とする
- C、D をそれぞれ中心に、同じ半径で弧をかき、交点を P とする
- 半直線 OP を引く
A
\ C
\ ・
\ P
O・・・・・
/
/ ・
/ D
B
なぜ正しいか:OC = OD、CP = DP(同じ半径)なので、四角形 OCPD はたこ形(ひし形の仲間)で、OP は対称の軸。よって ∠COP = ∠DOP。
性質(重要):角の二等分線上の点は、角の2辺から等しい距離にあります。
作図③:垂線
(a) 直線 ℓ 上の点 P を通る垂線
- P を中心に弧をかき、ℓ との交点を A、B とする
- A、B を中心に同じ半径で弧をかき、交点を Q とする
- 直線 PQ を引く
(P を中点とする線分 AB の垂直二等分線を作図している、と同じことです)
(b) 直線 ℓ 上にない点 P から ℓ への垂線
- P を中心に、ℓ と2点で交わる弧をかき、交点を A、B とする
- A、B を中心に同じ半径で弧をかき、交点を Q とする(P と反対側)
- 直線 PQ を引く
(こちらも、AB の垂直二等分線が P を通る、という仕組みです)
よくある間違い
- 垂直二等分線の作図で、A と B から違う半径で弧をかく → 交点が中点の真上に来ない。同じ半径
- 角の二等分線で、最初の弧の交点 C、D からの弧の半径を変える → 同じ半径
- 作図の跡(弧)を消してしまう → 入試では作図の跡を残すのが採点条件
ここまでできれば十分
3つの作図が手順どおりにでき、「垂直二等分線 = 2点から等距離」「角の二等分線 = 2辺から等距離」の性質が言えれば、この単元の中心はできています。
4. 入試の作図 ── 条件の言い換え
もう一歩(発展)
入試の作図問題は、「条件」を上の3つの作図に言い換える問題です。
| 問題文の条件 | 作図するもの |
|---|---|
| 2点 A、B から等しい距離にある点 | AB の垂直二等分線 |
| 線分 AB の中点 | AB の垂直二等分線と AB の交点 |
| 2辺 OA、OB から等しい距離にある点 | ∠AOB の二等分線 |
| ∠AOB を2等分する直線 | 角の二等分線 |
| 点 P から直線 ℓ に最も近い点 | P から ℓ への垂線と ℓ の交点 |
| 直線 ℓ 上にあって、A、B から等距離の点 | AB の垂直二等分線と ℓ の交点 |
| 3点 A、B、C から等しい距離にある点(外心) | AB と BC の垂直二等分線の交点 |
| 3辺から等しい距離にある点(内心) | 2つの角の二等分線の交点 |
| 45° の角 | 90°(垂線)を作ってから角の二等分線 |
| 60° の角 | 正三角形(コンパスで3辺等しい)を作る |
「等しい距離」と読んだら垂直二等分線か角の二等分線。どちらかは「点からの距離(→ 点と点 → 垂直二等分線)」か「辺からの距離(→ 角の二等分線)」かで決まります。
例:折り返し
「線分 AB を折り目として、点 P を折り返した点 P′ を作図せよ」 → 折り返すと、AB は PP′ の垂直二等分線になる。P から AB への垂線を引き、AB との交点を H として、PH = HP′ となる点 P′ をコンパスで写す。
折り返し・線対称は「折り目が垂直二等分線になる」と言い換えるのが定石です。
5. 自己チェック
- 記号 AB(線分)、∠ABC(頂点が真ん中)、⊥、∥ を正しく使ったか
- 作図でコンパスの半径を同じにしたか。定規の目盛りを使っていないか
- 作図の跡(弧)を残したか
- 問題の条件を「等距離 → どの作図か」に言い換えられたか
6. 小テストへ
→ 小テスト(m1-13)
関連する単元
- 次に進む:m1-14 図形の移動、m1-15 円とおうぎ形
- ここで使う考え方が出てくる:m2-11 二等辺三角形(垂直二等分線の性質の証明)、m3-14 円周角(円の中心の作図)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 B 図形 (1) 平面図形 ── 「角の二等分線、線分の垂直二等分線、垂線などの基本的な作図の方法」「作図を具体的な場面で活用すること」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m1-13/ / 更新 2026-09-12