中1 数学 / 図形 / m1-14
図形の移動 ── 平行移動・回転移動・対称移動
この単元でできるようになること
- 平行移動・回転移動・対称移動の3つの移動の意味がわかる
- それぞれの移動で「変わらないもの」(形・大きさ・辺の長さ・角)と「対応する点の性質」がわかる
- 図の中で「どの移動で重なるか」を見分けられる
- 回転の中心や対称の軸を、作図で求められる
入試での位置づけ
移動そのものの出題は多くありませんが、中2の合同・中3の相似で「どう動かせば重なるか」を考える下地になります。また「回転の中心を作図せよ」「対称の軸を作図せよ」は、前の単元の作図(垂直二等分線)の応用として出題されることがあります。「対応する点を結ぶ線分の垂直二等分線が対称の軸」という言い換えを押さえておきます。
1. 移動とは
まずここだけ
図形を、形や大きさを変えずに位置だけ変えることを図形の といいます。移動の前後で、
- 対応する線分の長さは等しい
- 対応する角の大きさは等しい
つまり、移動しても図形は「ぴったり重なる」(合同、中2で扱う言葉)ままです。
移動には3種類あります:平行移動・回転移動・対称移動。
2. 平行移動
まずここだけ
図形を、一定の方向に一定の長さだけずらす移動を といいます。
A′──────B′
/ /
A ─────B △ABC を右上に平行移動 → △A′B′C′
\ \
C ─────C′
性質
- 対応する点を結んだ線分(AA′、BB′、CC′)は、すべて平行で、長さが等しい
- 対応する辺(AB と A′B′)は平行で長さが等しい
「点 A を点 A′ に移す平行移動」は、AA′ の向きと長さで決まります。他の点も同じ向き・同じ長さだけ動かせば作図できます。
例
方眼の上で、点 A(1, 2) を A′(4, 4) に移す平行移動は「右へ 3、上へ 2」。同じ移動で B(3, 1) は B′(6, 3) に移ります。
3. 回転移動
まずここだけ
図形を、1つの点を中心として一定の角度だけ回す移動を といい、中心の点を 回転の中心 といいます。
B′
/|
/ |
A′─C′ △ABC を点 O のまわりに 90° 回転
O・
\
A──B
|/
C
性質
- 回転の中心 O から対応する点までの距離は等しい(OA = OA′、OB = OB′、OC = OC′)
- 対応する点と中心を結んでできる角はすべて等しい(∠AOA′ = ∠BOB′ = ∠COC′ = 回転の角度)
点対称移動(180° の回転)
回転の角度が 180° のときを特に といいます。このとき、対応する点を結ぶ線分は回転の中心を通り、中心でちょうど2等分されます(O は AA′ の中点)。
回転の中心を求める(作図)
回転の中心 O は「OA = OA′ かつ OB = OB′」を満たす点なので、AA′ の垂直二等分線と BB′ の垂直二等分線の交点です(垂直二等分線上の点は2点から等距離、という m1-13 の性質そのものです)。
よくある間違い
- 回転しても「向き」は変わらないと思う → 平行移動と違い、辺の向きは回る。変わらないのは長さと角
- 回転の中心が図形の内側や頂点にあると思い込む → 中心は図形の外にあることもある。作図で求める
4. 対称移動
まずここだけ
図形を、1つの直線を折り目として折り返す移動を といい、折り目の直線を 対称の軸 といいます。
A A′
/| |\
/ | ℓ | \
B──C | C′──B′ △ABC を直線 ℓ で対称移動
性質
- 対応する点を結ぶ線分(AA′、BB′、CC′)は、対称の軸 ℓ に垂直で、ℓ によって2等分される
- つまり、ℓ は AA′ の垂直二等分線
対称の軸を求める(作図)
対応する点を1組見つけて、その線分の垂直二等分線を引けば、それが対称の軸です。
対称移動は「裏返し」
平行移動と回転移動は、図形を紙の上で滑らせるだけで重ねられます(裏返さない)。対称移動は裏返す移動です。そのため、A → B → C の回り方(時計回りか反時計回りか)が、対称移動では逆になります。「向きが逆になっていたら対称移動が入っている」と見分けられます。
よくある間違い
- 対称の軸から対応する点までの距離が違う → 軸は AA′ の中点を通る(等距離)
- 対応する点を結ぶ線が軸に斜めになっている → 垂直
ここまでできれば十分
3つの移動の「対応する点の性質」(平行移動:結ぶ線分が平行で等しい/回転:中心から等距離・角が等しい/対称:結ぶ線分が軸に垂直で2等分)が言えれば十分です。
5. 移動の組み合わせと見分け方
もう一歩(発展)
| 見分けるポイント | 移動 |
|---|---|
| 対応する辺がすべて平行 | 平行移動 |
| 図形の向き(回り方)が同じで、辺が平行でない | 回転移動 |
| 図形の向き(回り方)が逆 | 対称移動(または対称+別の移動) |
2回の移動
- 2本の平行な軸で対称移動を2回 → 平行移動と同じ結果(軸の距離の2倍だけ動く)
- 交わる2本の軸で対称移動を2回 → 回転移動と同じ結果(交点が中心、2本の軸の角の2倍だけ回る)
「対称移動を2回すると裏返しが元に戻る」ので、結果は平行移動か回転移動になります。入試ではこの性質を「図形 A を図形 C に重ねるには、どの移動をどの順に行えばよいか」の形で問うことがあります。
例:正方形の分割
正方形を対角線と中線で8つの直角二等辺三角形に分けた図で、「△① を △⑤ に重ねる移動」を答える問題。
- 隣どうし(①と②)→ 対称移動(境界線が軸)
- 向かい合わせ(①と⑤)→ 点対称移動(中心のまわりに 180° 回転)
- ①と③ → 中心のまわりに 90° 回転
回り方が同じなら回転、逆なら対称、と確かめると間違えません。
6. 自己チェック
- 移動の前後で変わらないもの(長さ・角)と変わるもの(位置・向き)を区別できたか
- 回転の中心は「対応する点を結ぶ線分の垂直二等分線の交点」で求めたか
- 対称の軸は「対応する点を結ぶ線分の垂直二等分線」で求めたか
- 図形の回り方(時計回りか)を見て、対称移動かどうかを判断したか
7. 小テストへ
→ 小テスト(m1-14)
関連する単元
- 前提:m1-13 平面図形(垂直二等分線の作図)
- 次に進む:m1-15 円とおうぎ形
- ここで使う考え方が出てくる:m2-10 三角形の合同(ぴったり重なる図形)、m3-11 相似(拡大・縮小との違い)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第1学年 B 図形 (1) 平面図形 ── 「図形の移動(平行移動、対称移動及び回転移動)」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/math/m1-14/ / 更新 2026-09-12