中3 社会 / 公民 / c-02
人権と日本国憲法
この単元でできるようになること
- 人権思想の歩み(ロック・モンテスキュー・ルソー、マグナカルタ〜世界人権宣言)と代表的な文書が言える
- 日本国憲法の 3 つの基本原理(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)と、大日本帝国憲法とのちがい、改正手続き(3 分の 2・国民投票)がわかる
- 基本的人権の分類(平等権・自由権 3 種・社会権・参政権・請求権)と、代表的な条文・具体例を結びつけられる
- 公共の福祉による制限、国民の三大義務、新しい人権(環境権・知る権利・プライバシーの権利・自己決定権)が言える
- 天皇の地位(象徴)と国事行為がわかる
入試での位置づけ
人権の分類(「信教の自由は自由権の精神の自由」「生存権は社会権」)と憲法改正の手続き、新しい人権の具体例(情報公開制度=知る権利、インフォームド・コンセント=自己決定権)が定番。思想家と著書・文書の年代順も出ます。
1. 人権思想の歩み
まずここだけ
| 思想家 | 国 | 著書 | 主張 |
|---|---|---|---|
| ロック | イギリス | 『統治二論』 | 抵抗権(政府が権利を侵せば抵抗できる)、社会契約 |
| モンテスキュー | フランス | 『法の精神』 | 三権分立 |
| ルソー | フランス | 『社会契約論』 | 人民主権 |
| 年 | 文書 | ポイント |
|---|---|---|
| 1215 | マグナカルタ(イギリス) | 王の権力を制限 |
| 1689 | 権利章典(イギリス) | 議会の権利 |
| 1776 | アメリカ独立宣言 | 生命・自由・幸福追求 |
| 1789 | フランス人権宣言 | 自由・平等、国民主権 |
| 1919 | ワイマール憲法(ドイツ) | 社会権を初めて保障 |
| 1948 | 世界人権宣言(国連) | 人権の国際的な基準(法的拘束力なし) |
| 1966 | 国際人権規約 | 世界人権宣言を条約化(拘束力あり) |
| 1989 | 子ども(児童)の権利条約 | 日本は 1994 年批准 |
法の支配:人の支配ではなく、権力も法に従う。立憲主義:憲法で権力を制限して人権を守る。憲法は国の最高法規(法律は憲法に反してはならない)。
2. 日本国憲法
まずここだけ
| 大日本帝国憲法(1889 年発布) | 日本国憲法(1946 年 11 月 3 日公布・1947 年 5 月 3 日施行) | |
|---|---|---|
| 主権 | 天皇 | 国民 |
| 天皇 | 元首・統治権をもつ | 日本国と国民統合の象徴(国事行為のみ・内閣の助言と承認) |
| 人権 | 法律の範囲内で臣民の権利 | 侵すことのできない永久の権利 |
| 軍 | 天皇が統帥 | 戦争の放棄・戦力の不保持・交戦権の否認(第 9 条) |
| 議会 | 天皇の協賛機関 | 国権の最高機関・唯一の立法機関 |
3 つの基本原理:国民主権・基本的人権の尊重・平和主義。
改正手続き(第 96 条):各議院の総議員の 3 分の 2 以上の賛成で国会が発議 → 国民投票で有効投票の過半数の賛成 → 天皇が国民の名で公布。国民投票法で投票権は18 歳以上。
天皇の国事行為:内閣総理大臣・最高裁判所長官の任命、法律・条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、栄典の授与など。すべて内閣の助言と承認が必要。
平和主義:第 9 条。自衛隊(政府は「必要最小限度の実力」と説明)、日米安全保障条約、非核三原則(持たず・つくらず・持ちこませず)、文民統制(シビリアン・コントロール)。
3. 基本的人権の分類
まずここだけ
| 分類 | 内容 | 条文・具体例 |
|---|---|---|
| 平等権 | 法の下の平等(14 条)、両性の本質的平等(24 条) | 男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法、障害者差別解消法、アイヌ施策推進法、部落差別解消推進法、バリアフリー・ユニバーサルデザイン |
| 自由権:精神の自由 | 思想・良心、信教、集会・結社・表現、学問の自由 | 検閲の禁止 |
| 自由権:身体(人身)の自由 | 奴隷的拘束・苦役からの自由、法定手続きの保障、令状主義、黙秘権、拷問の禁止 | 逮捕には裁判官の令状 |
| 自由権:経済活動の自由 | 居住・移転・職業選択の自由、財産権 | 公共の福祉による制限を受けやすい |
| 社会権 | 生存権(25 条:健康で文化的な最低限度の生活)、教育を受ける権利(26 条)、勤労の権利、労働基本権(団結権・団体交渉権・団体行動権) | 生活保護、義務教育の無償、労働組合 |
| 参政権 | 選挙権・被選挙権、最高裁判所裁判官の国民審査、憲法改正の国民投票、地方の住民投票 | |
| 請求権 | 裁判を受ける権利、国家賠償請求権、刑事補償請求権、請願権 |
公共の福祉:社会全体の利益。人権どうしが衝突するとき、他人の人権を侵さないよう制限されることがある(例:感染症による入院措置、道路拡張のための土地の収用、医師免許がないと医業はできない)。
国民の三大義務:子どもに普通教育を受けさせる義務・勤労の義務・納税の義務。
4. 新しい人権
ここまでできれば十分
憲法に直接の規定はないが、**幸福追求権(13 条)**や生存権をもとに主張される。
| 権利 | 内容 | 関連する制度・例 |
|---|---|---|
| 環境権 | 良い環境で生活する権利 | 環境基本法、環境アセスメント(環境影響評価)、日照権 |
| 知る権利 | 国や地方の情報を知る | 情報公開法・情報公開制度 |
| プライバシーの権利 | 私生活をみだりに公開されない・個人情報を管理 | 個人情報保護法、肖像権、マイナンバー |
| 自己決定権 | 自分の生き方を自分で決める | インフォームド・コンセント(説明と同意)、臓器提供意思表示カード、尊厳死 |
人権を守るための国際的な取り組み:世界人権宣言(1948)→ 国際人権規約(1966)、女子差別撤廃条約(日本は 1985 批准 → 男女雇用機会均等法)、子どもの権利条約、障害者権利条約。NGO(非政府組織)の活動。
5. よくある間違い
- ルソーを「三権分立」(モンテスキュー。ルソーは人民主権)
- ワイマール憲法を「自由権」の始まり(社会権を初めて保障)
- 憲法改正を「国会の過半数」(総議員の 3 分の 2 以上+国民投票の過半数)
- 生存権を自由権に(社会権)/職業選択の自由を社会権に(経済活動の自由)
- 天皇の任命する人を「国会議員」(内閣総理大臣と最高裁長官)
- 三大義務に「兵役」「投票」を入れる(教育・勤労・納税)
- 知る権利とプライバシーの権利の制度を入れ替える(情報公開法=知る権利、個人情報保護法=プライバシー)
6. 自己チェック
- ロック=抵抗権、モンテスキュー=三権分立、ルソー=人民主権。ワイマール=社会権
- 1946.11.3 公布・1947.5.3 施行。国民主権・基本的人権・平和主義
- 改正:3 分の 2 → 国民投票過半数
- 自由権(精神・身体・経済)、社会権(生存・教育・勤労・労働基本権)、参政権、請求権、平等権
- 新しい人権:環境・知る・プライバシー・自己決定(13 条)
7. 小テストへ
→ 小テスト(c-02)
関連する単元
- 前提:c-01 現代社会
- 次に進む:c-03 国会・内閣・裁判所
- ここで使う考え方が出てくる:h-12 市民革命(人権宣言)、h-11 戦後(日本国憲法の制定)
参考資料
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』── 公民的分野「C 私たちと政治 (1) 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則」
- e-Gov 法令検索「日本国憲法」(https://laws.e-gov.go.jp/)── 第 9・11・13・14・25・26・96 条ほか
- 国立公文書館「日本国憲法の公布」── 公布日 1946 年 11 月 3 日・施行日 1947 年 5 月 3 日
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/koko/social/c-02/ / 更新 2026-09-12