数学Ⅰ 数学 / 図形と計量 / h1-11
正弦定理・余弦定理 ── 三角形の辺と角を求める
この単元でできるようになること
- 正弦定理 a / sin A = b / sin B = c / sin C = 2R で、辺・角・外接円の半径が求められる
- 余弦定理 a² = b² + c² − 2bc cos A で、2 辺と間の角から残りの辺、3 辺から角が求められる
- 「どちらの定理を使うか」を、わかっている情報から選べる
- 3 辺から三角形の角が鋭角・直角・鈍角のどれか判定できる
- 「a = 2、b = √6、A = 45°」のような、解が 2 つ出る場合を処理できる
入試での位置づけ
共通テスト数学Ⅰ「図形と計量」の大問は、余弦定理で辺 → 正弦定理で外接円の半径 → 面積(h1-12)の流れが定番です。「三角形の 3 辺が与えられて cos A を出す」は毎年のように出ます。数学Ⅱの図形と方程式・数学C のベクトルでも同じ計算が現れます。
1. 記号の約束
三角形 ABC で、角 A の向かいの辺を a、B の向かいを b、C の向かいを c と書く。外接円(3 頂点を通る円)の半径を R と書く。
2. 正弦定理
まずここだけ
a / sin A = b / sin B = c / sin C = 2R
「辺 ÷ 向かいの角の sin」はどの組でも等しく、外接円の直径 2R に等しい。
使いどころ:
- 1 辺と 2 角がわかっている → 他の辺
- 2 辺と、その一方の向かいの角 → もう一方の向かいの角
- 外接円の半径 R を求める・使う
例 1:a = 4、A = 30°、B = 45° のとき b 4 / sin 30° = b / sin 45° → 4 / (1/2) = b / (√2/2) → 8 = 2b/√2 → b = 4√2
例 2:a = 6、A = 60° の三角形の外接円の半径 2R = 6 / sin 60° = 6 / (√3/2) = 12/√3 = 4√3 → R = 2√3
例 3:a = 2、b = √6、A = 45° のとき B 2 / sin 45° = √6 / sin B → sin B = √6 × (√2/2) / 2 = √12/4 = √3/2 → B = 60° または 120° どちらも A + B < 180° なので両方が解(三角形が 2 通りある)
sin から角を出すと 2 つ出る(h1-10)。A + B < 180° を満たすか確かめて、両方残るなら両方答える。
3. 余弦定理
まずここだけ
a² = b² + c² − 2bc cos A b² = c² + a² − 2ca cos B c² = a² + b² − 2ab cos C
「求めたい辺の 2 乗 = 他の 2 辺の 2 乗の和 − 2 × 他の 2 辺 × はさむ角の cos」。cos A = 0(A = 90°)なら三平方の定理になる。
使いどころ:
- 2 辺とその間の角 → 残りの辺
- 3 辺 → 角(cos の形に変形して)
例 4:b = 3、c = 5、A = 60° のとき a a² = 9 + 25 − 2・3・5・(1/2) = 34 − 15 = 19 → a = √19
例 5:a = 7、b = 5、c = 3 のとき A cos A = (b² + c² − a²) / 2bc = (25 + 9 − 49) / 30 = −15/30 = −1/2 → A = 120°
角を求める形
cos A = (b² + c² − a²) / 2bc(分子は「A の向かいの辺だけ引く」)
角の種類の判定
cos A の符号で決まる(a が最大辺のとき):
| 条件 | |
|---|---|
| A が鋭角 | a² < b² + c² |
| A が直角 | a² = b² + c² |
| A が鈍角 | a² > b² + c² |
3 辺が 4、5、6 の三角形:最大辺 6 の向かいの角は 36 < 16 + 25 = 41 → 鋭角三角形 3 辺が 3、5、7:49 > 9 + 25 = 34 → 鈍角三角形
4. どちらを使うか
ここまでできれば十分
| わかっているもの | 求めるもの | 使う定理 |
|---|---|---|
| 2 辺 + 間の角 | 残りの辺 | 余弦定理 |
| 3 辺 | 角 | 余弦定理(cos の形) |
| 1 辺 + 2 角 | 辺 | 正弦定理 |
| 2 辺 + 向かいの角 | 角 | 正弦定理(解 2 つに注意) |
| 何でも | 外接円の半径 R | 正弦定理 |
「間の角」なら余弦、「向かいの角」なら正弦。迷ったら、式を書いてみて未知数が 1 つだけになるほうを選ぶ。
典型の流れ(共通テスト型)
AB = 3、AC = 5、∠A = 120° の三角形 ABC で、BC と外接円の半径 R ① 余弦定理:BC² = 9 + 25 − 2・3・5・cos 120° = 34 + 15 = 49 → BC = 7 ② 正弦定理:2R = 7 / sin 120° = 7 / (√3/2) = 14/√3 → R = 7√3/3
5. よくある間違い
- 余弦定理の −2bc cos A で、cos が負のときの符号処理(− × − = +)
- 正弦定理で sin から角を出して、120° のほうを落とす(または、A + B ≧ 180° になる不適な解を残す)
- 「向かいの辺」を取りちがえる(角 A の向かいは辺 a = BC)
- 2R と R を混同する
6. 自己チェック
- 向かいの辺・間の角を図で確認したか
- 「間の角」→ 余弦、「向かいの角」→ 正弦
- cos A = (b² + c² − a²) / 2bc の分子で引くのは a² だけ
- sin から角を出したら 2 つ検討したか
- R を聞かれたら 2R で割り忘れていないか
7. 小テストへ
→ 小テスト(h1-11)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学Ⅰ「(2) 図形と計量 ア(イ) 正弦定理,余弦定理」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/math/h1-11/ / 更新 2026-09-12