数学Ⅰ 数学 / 図形と計量 / h1-10
三角比 ── 定義・相互関係・角の拡張
この単元でできるようになること
- 直角三角形で sin・cos・tan を定義から求められる
- 30°・45°・60° の三角比を、三角定規の辺の比から出せる
- 相互関係 sin²θ + cos²θ = 1、tan θ = sin θ / cos θ、1 + tan²θ = 1/cos²θ で、1 つの値から他の 2 つを求められる
- 90° − θ、180° − θ の公式で、鈍角や余角の三角比を鋭角に直せる
- 0° ≦ θ ≦ 180° で、三角比の値から θ を求められる(単位円)
入試での位置づけ
三角比は共通テスト数学Ⅰの「図形と計量」の大問の土台で、正弦定理・余弦定理(h1-11)・面積(h1-12)はすべてここから始まります。「cos θ がわかれば sin θ がわかる」(相互関係)と、「鈍角の cos は負」を反射的に使えるかが計算速度を決めます。数学Ⅱの三角関数(h2-07・08)で 360° を超える角へ広がります。
1. 定義 ── 直角三角形の辺の比
まずここだけ
∠C = 90° の直角三角形 ABC で、∠A = θ とすると、
| 三角比 | 定義 | 覚え方 |
|---|---|---|
| sin θ | 対辺 / 斜辺(θ の向かい / 一番長い辺) | 筆記体の s の形(斜辺→対辺) |
| cos θ | 隣辺 / 斜辺(θ のとなり / 斜辺) | c の形(斜辺→隣辺) |
| tan θ | 対辺 / 隣辺 | t の形(隣辺→対辺) |
「斜辺は 90° の向かいの辺、対辺は θ の向かいの辺」。図の向きが変わっても、θ の位置から決める。
3 : 4 : 5 の直角三角形で、3 の辺の向かいの角を θ とすると sin θ = 3/5、cos θ = 4/5、tan θ = 3/4
三角定規の値(必ず覚える)
| θ | 30° | 45° | 60° |
|---|---|---|---|
| sin θ | 1/2 | √2/2(= 1/√2) | √3/2 |
| cos θ | √3/2 | √2/2 | 1/2 |
| tan θ | 1/√3(= √3/3) | 1 | √3 |
(1 : 2 : √3 の三角定規と 1 : 1 : √2 の三角定規から)
三角比の使い方
高さを求める:斜辺 10、θ = 30° の坂の高さは 10 × sin 30° = 5 辺の長さ:求めたい辺 = わかっている辺 × 三角比(または ÷)で式を立てる
2. 相互関係 ── 1 つわかれば全部わかる
まずここだけ
| 公式 | 使いどころ |
|---|---|
| sin²θ + cos²θ = 1 | sin ⇔ cos |
| tan θ = sin θ / cos θ | tan を出す |
| 1 + tan²θ = 1 / cos²θ | tan ⇔ cos |
sin θ = 3/5(θ は鋭角)のとき cos²θ = 1 − 9/25 = 16/25 → cos θ = 4/5(鋭角なので正) tan θ = (3/5) / (4/5) = 3/4
tan θ = 2(θ は鋭角)のとき 1/cos²θ = 1 + 4 = 5 → cos²θ = 1/5 → cos θ = 1/√5 = √5/5 sin θ = tan θ × cos θ = 2/√5 = 2√5/5
符号に注意
θ が鈍角(90° < θ < 180°)なら cos θ < 0、tan θ < 0。sin θ は 0° < θ < 180° で常に正。
sin θ = 3/5 で θ が鈍角 → cos θ = −4/5、tan θ = −3/4
3. 90° − θ の公式(余角)
ここまでできれば十分
直角三角形のもう 1 つの鋭角は 90° − θ。sin と cos が入れかわる。
| sin(90° − θ) = cos θ | cos(90° − θ) = sin θ |
| tan(90° − θ) = 1 / tan θ |
sin 70° = cos 20°、cos 80° = sin 10°、tan 65° = 1/tan 25°
使いどころ:45° を超える角の三角比を 45° 以下に直す(三角比の表の利用)。
4. 180° − θ の公式(鈍角への拡張)
ここまでできれば十分
単位円(半径 1 の円)で、θ を x 軸の正の向きから測った点 P(x, y) をとると、
cos θ = x、sin θ = y、tan θ = y/x
これで 0° ≦ θ ≦ 180° の三角比が定義できる。180° − θ の点は y 軸に関して対称なので、
| sin(180° − θ) = sin θ | cos(180° − θ) = −cos θ |
| tan(180° − θ) = −tan θ |
sin 150° = sin 30° = 1/2 cos 120° = −cos 60° = −1/2 tan 135° = −tan 45° = −1 cos 180° = −1、sin 180° = 0、sin 90° = 1、cos 90° = 0、tan 90° は定義しない
0°〜180° の表
| θ | 0° | 30° | 45° | 60° | 90° | 120° | 135° | 150° | 180° |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| sin | 0 | 1/2 | √2/2 | √3/2 | 1 | √3/2 | √2/2 | 1/2 | 0 |
| cos | 1 | √3/2 | √2/2 | 1/2 | 0 | −1/2 | −√2/2 | −√3/2 | −1 |
| tan | 0 | 1/√3 | 1 | √3 | なし | −√3 | −1 | −1/√3 | 0 |
cos の符号が 90° を境に変わる。sin は左右対称。
5. 三角比の値から角を求める
ここまでできれば十分
0° ≦ θ ≦ 180° で、
sin θ = 1/2 → θ = 30°、150°(2 つ! 単位円で y = 1/2 の点は 2 つ) cos θ = −√2/2 → θ = 135°(cos は 1 つに決まる) tan θ = −√3 → θ = 120°
sin の値からは角が 2 つ出る(θ と 180° − θ)。cos・tan は 1 つ。三角形の内角を求めるとき、sin から出したら両方を検討する(h1-11 正弦定理で重要)。
6. 自己チェック
- 斜辺・対辺・隣辺を θ の位置から正しく取ったか
- 30°・45°・60° の値が即答できるか
- 相互関係で cos を出したとき、θ が鈍角なら負にしたか
- 180° − θ で cos・tan の符号が変わることを忘れていないか
- sin の値から角を求めるとき、2 つ(θ、180° − θ)を考えたか
7. 小テストへ
→ 小テスト(h1-10)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学Ⅰ「(2) 図形と計量 ア(ア) 三角比」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/math/h1-10/ / 更新 2026-09-12