数学C 数学 / 平面上の曲線と複素数平面 / hc-05
複素数平面 ── 極形式・ド・モアブルの定理
この単元でできるようになること
- 複素数 a + bi を点 (a, b) として図示し、絶対値 |z| = √(a² + b²)、共役 z̄ が扱える
- 極形式 z = r(cos θ + i sin θ) に直せる(r = |z|、θ = 偏角)
- 積・商で「絶対値はかけ(割り)、偏角は足す(引く)」が使える
- ド・モアブルの定理 (cos θ + i sin θ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ で累乗が計算できる
- 点の回転(z に cos θ + i sin θ をかける)、1 の n 乗根が求められる
- 複素数平面上の内分点・距離・垂直条件、図形(円・垂直二等分線)の方程式がわかる
入試での位置づけ
複素数平面は共通テスト『数学Ⅱ,数学B,数学C』の選択問題で、極形式と ド・モアブル、回転が定番です。h2-02 の複素数の計算、h2-07・08 の三角関数(加法定理が積の偏角の根拠)、ベクトル(hc-01・02)の考え方が合流する単元。「かけ算 = 回転と拡大」のイメージが身につけば計算問題は速く解けます。
1. 複素数平面
まずここだけ
複素数 z = a + bi を、座標平面上の点 (a, b) で表す(x 軸:実軸、y 軸:虚軸)。
- 絶対値 |z| = √(a² + b²)(原点からの距離)
- 共役 z̄ = a − bi(実軸に関して対称)
- z z̄ = |z|²
- 2 点間の距離:|α − β|
- 内分点:線分 αβ を m : n に内分 → (nα + mβ)/(m + n)(ベクトルと同じ)
z = 3 + 4i:|z| = 5、z̄ = 3 − 4i、z z̄ = 25 |z − 2i| = 3 → 点 2i を中心とする半径 3 の円
実数・純虚数の条件
z が実数 ⇔ z̄ = z、z が純虚数 ⇔ z̄ = −z(z ≠ 0)
2. 極形式
まずここだけ
|z| = r、偏角 arg z = θ(実軸の正の向きから測った角)とすると、
z = r(cos θ + i sin θ)
z = 1 + √3 i:r = 2、θ = π/3 → 2(cos π/3 + i sin π/3) z = −1 + i:r = √2、θ = 3π/4 z = −2:r = 2、θ = π z = −3i:r = 3、θ = −π/2(または 3π/2)
手順:① r = √(a² + b²) ② 点 (a, b) を図示して θ を読む(象限に注意)。
3. 積と商 ── 回転と拡大
まずここだけ
z₁ = r₁(cos θ₁ + i sin θ₁)、z₂ = r₂(cos θ₂ + i sin θ₂) のとき、
z₁z₂ = r₁r₂{cos(θ₁ + θ₂) + i sin(θ₁ + θ₂)}(絶対値は積、偏角は和) z₁/z₂ = (r₁/r₂){cos(θ₁ − θ₂) + i sin(θ₁ − θ₂)}(絶対値は商、偏角は差)
(加法定理 h2-08 から出る)
「z に r(cos θ + i sin θ) をかける」= 原点のまわりに θ 回転して r 倍
z = 2 + i を原点のまわりに 90° 回転:z × i = 2i + i² = −1 + 2i z = 1 + i を 60° 回転:z × (cos 60° + i sin 60°) = (1 + i)(1/2 + (√3/2)i) = (1 − √3)/2 + ((1 + √3)/2)i
点 α のまわりの回転(発展)
β を α のまわりに θ 回転した点 γ:γ − α = (β − α)(cos θ + i sin θ)(α を原点に平行移動して回してから戻す)
4. ド・モアブルの定理
ここまでできれば十分
(cos θ + i sin θ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ(n は整数)
(1 + i)⁸:1 + i = √2(cos π/4 + i sin π/4) → (√2)⁸(cos 2π + i sin 2π) = 16 (1 + √3 i)⁶:2⁶(cos 2π + i sin 2π) = 64 (−1 + i)¹⁰ / … も同様に極形式にしてから n 乗
手順:① 極形式に直す ② rⁿ と nθ ③ 角を 0〜2π に直して cos、sin を計算。
1 の n 乗根
zⁿ = 1 の解は z = cos(2kπ/n) + i sin(2kπ/n)(k = 0, 1, …, n − 1)。複素数平面上で単位円を n 等分する点。
z³ = 1:k = 0, 1, 2 → 1、cos(2π/3) + i sin(2π/3) = (−1 + √3 i)/2、(−1 − √3 i)/2(h2-03 の ω) z⁴ = 1:1、i、−1、−i
zⁿ = α(一般):α を極形式 r(cos φ + i sin φ) にして、z = ⁿ√r {cos((φ + 2kπ)/n) + i sin((φ + 2kπ)/n)}。
5. 図形への応用
ここまでできれば十分
なす角:3 点 α、β、γ について、∠βαγ = arg{(γ − α)/(β − α)}
- (γ − α)/(β − α) が実数 ⇔ 3 点は一直線上
- (γ − α)/(β − α) が純虚数 ⇔ αβ ⊥ αγ
円:|z − α| = r(中心 α、半径 r) 垂直二等分線:|z − α| = |z − β| アポロニウスの円:|z − α| = k|z − β|(k ≠ 1)→ 2 乗して z z̄ の式に
|z − 2| = 2|z + 1|:|z − 2|² = 4|z + 1|² → (z − 2)(z̄ − 2) = 4(z + 1)(z̄ + 1) → 3z z̄ + 6z + 6z̄ = 0 → z z̄ + 2z + 2z̄ = 0 → |z + 2|² = 4 → 中心 −2、半径 2 の円
三角形の形状(発展)
(γ − α)/(β − α) = cos 60° + i sin 60° なら正三角形。= i なら直角二等辺三角形(α が直角)。
6. よくある間違い
- 偏角を第 1 象限で読んで、第 2・3 象限の符号を忘れる
- 積で偏角をかける(正しくは足す)
- ド・モアブルで rⁿ を忘れる((1 + i)⁸ の 16)
- 1 の n 乗根を「1 だけ」とする → n 個ある
- 純虚数条件で z ≠ 0 を忘れる
7. 自己チェック
- |z| = √(a² + b²)、z z̄ = |z|²
- 極形式は r と θ(図で象限を確認)
- 積:絶対値は積、偏角は和。回転は cos θ + i sin θ をかける
- ド・モアブル:rⁿ(cos nθ + i sin nθ)
- 一直線上 ⇔ 比が実数、垂直 ⇔ 比が純虚数
8. 小テストへ
→ 小テスト(hc-05)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学C「(2) 平面上の曲線と複素数平面 ア(イ) 複素数平面」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/math/hc-05/ / 更新 2026-09-12