高1 / 化学基礎 / cb-03
化学結合(イオン結合・共有結合・金属結合・分子の極性)
この単元でできるようになること
- イオン結合(金属 + 非金属)、共有結合(非金属どうし)、金属結合(金属どうし)を、組み合わせから判断できる
- 組成式(NaCl・CaCl₂・Al₂O₃)を電荷のつり合いから書ける
- 電子式・構造式(H₂O・NH₃・CO₂・N₂ など)を書き、共有電子対・非共有電子対・単結合/二重結合/三重結合を数えられる
- 配位結合(NH₄⁺・H₃O⁺)、と極性(極性分子・無極性分子)、分子間力・水素結合を説明できる
- 4 種類の結晶(イオン結晶・分子結晶・共有結合の結晶・金属結晶)の性質を比べられる
入試での位置づけ
化学結合は共通テストで「結晶の種類と性質」(融点・電気伝導性・硬さ)と「分子の極性」(CO₂ は無極性、H₂O は極性)、「共有電子対・非共有電子対の数」が繰り返し出ます。原子番号 1〜20 の電子配置(cb-02)から価電子数を出し、「あと何個で貴ガス型になるか」で結合の数を決められれば、初見の分子でも対応できます。
1. 結合の 3 種類 ── 何と何が結びつくか
まずここだけ
| 結合 | 組み合わせ | しくみ | 例 |
|---|---|---|---|
| イオン結合 | 金属 + 非金属 | 陽イオンと陰イオンが静電気力(クーロン力)で引き合う | NaCl、CaO、MgCl₂、NH₄Cl(NH₄⁺ は例外的に非金属だけの陽イオン) |
| 共有結合 | 非金属 + 非金属 | 原子どうしが電子を出し合って共有 | H₂、H₂O、CO₂、NH₃、ダイヤモンド |
| 金属結合 | 金属 + 金属 | 自由電子が金属原子全体を結びつける | Fe、Cu、Al、合金 |
2. イオン結合と組成式
まずここだけ
組成式:陽イオンと陰イオンの電荷の合計が 0 になる最も簡単な比で書く。陽イオンを先に。
| 陽イオン | 陰イオン | 組成式 | 名前 |
|---|---|---|---|
| Na⁺ | Cl⁻ | NaCl | 塩化ナトリウム |
| Ca²⁺ | Cl⁻ | CaCl₂ | 塩化カルシウム |
| Al³⁺ | O²⁻ | Al₂O₃ | 酸化アルミニウム |
| Na⁺ | SO₄²⁻ | Na₂SO₄ | 硫酸ナトリウム |
| Ca²⁺ | OH⁻ | Ca(OH)₂ | 水酸化カルシウム |
| NH₄⁺ | Cl⁻ | NH₄Cl | 塩化アンモニウム |
コツ:価数をたすきがけ(Al³⁺ と O²⁻ → Al₂O₃)。名前は「陰イオン + 陽イオン」の順(塩化 + ナトリウム)。
イオン結晶:硬いがもろい、融点が高い、固体は電気を通さないが、水溶液や融解液は通す(イオンが動ける)。
3. 共有結合 ── 電子式と構造式
まずここだけ
原子は不対電子を出し合って共有電子対を作り、貴ガス型(8 個、H は 2 個)になる。
| 原子 | 価電子 | 不対電子(結合の手) |
|---|---|---|
| H | 1 | 1 |
| C | 4 | 4 |
| N | 5 | 3 |
| O | 6 | 2 |
| F・Cl | 7 | 1 |
| 分子 | 構造式 | 共有電子対 | 非共有電子対 | 結合 |
|---|---|---|---|---|
| H₂ | H−H | 1 | 0 | 単結合 |
| H₂O | H−O−H | 2 | 2 | 単結合 |
| NH₃ | H−N(−H)−H | 3 | 1 | 単結合 |
| CH₄ | 中心 C に H 4 つ | 4 | 0 | 単結合 |
| CO₂ | O=C=O | 4 | 4 | 二重結合 ×2 |
| N₂ | N≡N | 3 | 2 | 三重結合 |
| O₂ | O=O | 2 | 4 | 二重結合 |
| HCl | H−Cl | 1 | 3 | 単結合 |
配位結合:一方の原子の非共有電子対を両方で共有する結合。NH₃ + H⁺ → NH₄⁺、H₂O + H⁺ → H₃O⁺。できたあとは他の共有結合と区別できない。
分子の形:H₂O は折れ線、NH₃ は三角錐、CH₄ は正四面体、CO₂ は直線、N₂・HCl は直線。
4. 電気陰性度と極性
ここまでできれば十分
- 電気陰性度:共有電子対を引きつける強さ。F > O > N ≒ Cl > …、周期表の右上ほど大(貴ガスを除く)
- 電気陰性度に差がある結合は極性をもつ(電子が偏り、δ+・δ−):H−Cl、O−H、C−O
- 分子の極性:結合の極性と分子の形で決まる
| 分子 | 結合の極性 | 形 | 分子全体 |
|---|---|---|---|
| H₂、N₂、O₂、Cl₂ | なし | 直線 | 無極性 |
| HCl | あり | 直線(2 原子) | 極性 |
| H₂O | あり | 折れ線 | 極性 |
| NH₃ | あり | 三角錐 | 極性 |
| CO₂ | あり | 直線(打ち消す) | 無極性 |
| CH₄ | わずか | 正四面体(打ち消す) | 無極性 |
「似たものどうし溶ける」:極性分子(水)には極性物質・イオン結晶が溶け、無極性分子(ヘキサン)には無極性物質(ヨウ素・油)が溶ける。
分子間力:分子どうしの弱い引力(ファンデルワールス力)。分子量が大きいほど強く沸点が高い。水素結合:H が F・O・N と結合した分子どうしの強い引力。水の沸点が異常に高いのはこのため。
5. 金属結合と結晶のまとめ
ここまでできれば十分
金属結合:価電子が自由電子として金属全体を動き回る。→ 電気・熱をよく通す、展性(薄く広がる)・延性(細く伸びる)、金属光沢。
| 結晶 | 構成粒子 | 結合 | 融点 | 電気伝導 | 例 |
|---|---|---|---|---|---|
| イオン結晶 | 陽イオン・陰イオン | イオン結合 | 高い | 固体 ×、水溶液・融解 ○ | NaCl、CaO |
| 分子結晶 | 分子 | 分子間力(弱い) | 低い、昇華しやすい | × | ドライアイス、ヨウ素、氷、ナフタレン |
| 共有結合の結晶 | 原子 | 共有結合(網目状) | 非常に高い、非常に硬い | ×(黒鉛は ○) | ダイヤモンド、黒鉛、SiO₂、Si |
| 金属結晶 | 金属原子(自由電子) | 金属結合 | さまざま | ○ | Fe、Cu、Al |
黒鉛は共有結合の結晶だが、平面構造の間を電子が動けるので電気を通す(やわらかい)。
6. よくある間違い
- NH₄Cl をすべて共有結合と思う(NH₄⁺ と Cl⁻ のイオン結合。NH₄⁺ 内部は共有結合+配位結合)
- CO₂ を極性分子と答える(直線形で打ち消す → 無極性)
- イオン結晶の固体が電気を通すと思う(水溶液・融解液のみ)
- 分子結晶の融点が高いと思う(低い・昇華しやすい)
- ダイヤモンドを分子結晶と思う(共有結合の結晶)
- N₂ の非共有電子対を 0 とする(各 N に 1 つずつで 2)
7. 自己チェック
- 金属+非金属はイオン結合、非金属どうしは共有結合、金属どうしは金属結合、と言えるか
- Al³⁺ と O²⁻ から Al₂O₃ を作れるか
- H₂O・NH₃・CO₂・N₂ の共有電子対・非共有電子対を数えられるか
- CO₂・CH₄ が無極性、H₂O・NH₃ が極性、と形から説明できるか
- 4 種類の結晶の融点・電気伝導性を言えるか
- 水の沸点が高い理由(水素結合)を言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(cb-03)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「化学基礎」(1) イ 物質と化学結合
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/cb-03/ / 更新 2026-09-12