高1 / 化学基礎 / cb-02
原子の構造・電子配置・周期表
この単元でできるようになること
- 原子の構造(陽子・中性子・電子、原子番号 = 陽子数 = 電子数、質量数 = 陽子 + 中性子)と同位体を扱える
- 電子配置(K 殻 2・L 殻 8・M 殻 18、最外殻電子・価電子)を原子番号 1〜20 について書ける
- イオンのでき方(貴ガスと同じ電子配置になる)、陽イオン・陰イオンの価数を予測できる
- 周期表の構成(族・周期、典型元素・遷移元素、金属・非金属)と、同族元素の性質(アルカリ金属・ハロゲン・貴ガス)を言える
- イオン化エネルギー・電子親和力・電気陰性度の周期性を説明できる
入試での位置づけ
原子の構造と周期表は化学のすべての土台で、共通テストでは電子配置から価電子数・イオンの価数を判断する問題、同位体の中性子数、イオン化エネルギーの大小が定番。原子番号 1〜20 の元素記号と電子配置は暗記必須。化学結合(cb-03)・物質量(cb-04)へ直結します。
1. 原子の構造
まずここだけ
| 粒子 | 電荷 | 質量(相対) | 位置 |
|---|---|---|---|
| 陽子 | +1 | 1 | 原子核 |
| 中性子 | 0 | 1 | 原子核 |
| 電子 | −1 | 約 1/1840 | 原子核のまわり |
- 原子番号 Z = 陽子の数 = 電子の数(原子は電気的に中性)
- 質量数 A = 陽子の数 + 中性子の数(原子の質量のほぼすべては原子核)
- 表記:AZX(例:²³Na は Z = 11、中性子 12)
- 同位体:陽子数が同じで中性子数が異なる原子(¹H・²H・³H、¹²C・¹³C・¹⁴C、³⁵Cl・³⁷Cl)。化学的性質はほぼ同じ。放射性同位体は年代測定(¹⁴C)に使う
- 原子の大きさ:直径約 10⁻¹⁰ m。原子核はその 1/10⁴〜1/10⁵
2. 電子配置 ── K・L・M 殻と価電子
まずここだけ
電子は原子核に近い電子殻から順に入る。各殻に入る最大数:K 殻 2、L 殻 8、M 殻 18(一般に 2n²)。
| 原子番号 | 元素 | K | L | M | N | 価電子 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | H | 1 | 1 | |||
| 2 | He | 2 | 0 | |||
| 3 | Li | 2 | 1 | 1 | ||
| 6 | C | 2 | 4 | 4 | ||
| 7 | N | 2 | 5 | 5 | ||
| 8 | O | 2 | 6 | 6 | ||
| 9 | F | 2 | 7 | 7 | ||
| 10 | Ne | 2 | 8 | 0 | ||
| 11 | Na | 2 | 8 | 1 | 1 | |
| 12 | Mg | 2 | 8 | 2 | 2 | |
| 13 | Al | 2 | 8 | 3 | 3 | |
| 16 | S | 2 | 8 | 6 | 6 | |
| 17 | Cl | 2 | 8 | 7 | 7 | |
| 18 | Ar | 2 | 8 | 8 | 0 | |
| 19 | K | 2 | 8 | 8 | 1 | 1 |
| 20 | Ca | 2 | 8 | 8 | 2 | 2 |
- 最外殻電子:いちばん外側の殻の電子。価電子:化学的性質を決める電子。最外殻電子数と同じだが、貴ガス(He・Ne・Ar)は価電子 0 と数える
- M 殻は 8 個入ると安定(オクテット)。K・Ca は M 殻に 8 個入ったあと N 殻に入る
- 同じ族の元素は価電子の数が同じ → 似た性質
3. イオン ── 貴ガス型の電子配置へ
ここまでできれば十分
原子は電子をやりとりして最も近い貴ガスと同じ電子配置になろうとする。
| 価電子 | 変化 | イオン | 例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 個放出 | 1 価の陽イオン | Na⁺、K⁺、Li⁺ |
| 2 | 2 個放出 | 2 価の陽イオン | Mg²⁺、Ca²⁺ |
| 3 | 3 個放出 | 3 価の陽イオン | Al³⁺ |
| 6 | 2 個受け取る | 2 価の陰イオン | O²⁻、S²⁻ |
| 7 | 1 個受け取る | 1 価の陰イオン | F⁻、Cl⁻ |
Na(2,8,1)→ Na⁺(2,8:Ne と同じ)、Cl(2,8,7)→ Cl⁻(2,8,8:Ar と同じ) 多原子イオン:NH₄⁺(アンモニウム)、OH⁻(水酸化物)、NO₃⁻(硝酸)、SO₄²⁻(硫酸)、CO₃²⁻(炭酸)、PO₄³⁻(リン酸)
- イオン化エネルギー:原子から電子 1 個を取り去るのに必要なエネルギー。小さいほど陽イオンになりやすい。同周期では右ほど大、同族では下ほど小。貴ガスが最大、アルカリ金属が最小
- 電子親和力:電子 1 個を受け取るときに放出するエネルギー。大きいほど陰イオンになりやすい(ハロゲンが大)
- 電気陰性度:共有電子対を引きつける強さ(cb-03)。F が最大、周期表の右上ほど大(貴ガスを除く)
4. 周期表
まずここだけ
- 元素を原子番号順に並べ、性質の似た元素が縦に並ぶ(メンデレーエフが原子量順で作成 → 現在は原子番号順)
- 縦の列 = 族(1〜18)、横の行 = 周期(1〜7)
- 典型元素:1・2 族と 13〜18 族(同族で性質が似る)。遷移元素:3〜12 族(すべて金属、横に並んだ元素も性質が似る)
- 金属元素(左・下側、約 8 割)と非金属元素(右上)。境界付近に半導体(Si・Ge)
| 族 | 名前 | 性質 |
|---|---|---|
| 1 族(H を除く) | アルカリ金属(Li・Na・K …) | 価電子 1、1 価の陽イオン、水と激しく反応、やわらかい |
| 2 族 | アルカリ土類金属(Ca・Sr・Ba …) | 価電子 2、2 価の陽イオン |
| 17 族 | ハロゲン(F・Cl・Br・I) | 価電子 7、1 価の陰イオン、単体は二原子分子で酸化力が強い |
| 18 族 | 貴ガス(He・Ne・Ar …) | 価電子 0、安定で反応しにくい、単原子分子 |
原子番号 1〜20 の語呂:水兵リーベ僕の船 七曲がりシップス クラークか(H He Li Be B C N O F Ne Na Mg Al Si P S Cl Ar K Ca)
5. よくある間違い
- 質量数と原子番号を取り違える(質量数 = 陽子 + 中性子)
- 同位体と同素体を混同する(同位体は原子、同素体は単体)
- 貴ガスの価電子を 8 と答える(0)
- K の電子配置を (2,8,9) と書く(M 殻は 8 で止まり N 殻へ → 2,8,8,1)
- イオン化エネルギーを「陰イオンのなりやすさ」と思う(陽イオンのなりやすさ・小さいほどなりやすい)
- 遷移元素を非金属と思う(すべて金属)
- 周期表を原子量順と思う(原子番号順)
6. 自己チェック
- 原子番号 = 陽子数 = 電子数、質量数 = 陽子 + 中性子、と言えるか
- 1〜20 番の元素記号と電子配置を書けるか
- 価電子 1・2・3 は陽イオン、6・7 は陰イオン、と言えるか
- アルカリ金属・ハロゲン・貴ガスの族と性質を言えるか
- イオン化エネルギーは貴ガスが最大・アルカリ金属が最小、と言えるか
- 典型元素と遷移元素の族の範囲を言えるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(cb-02)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「化学基礎」(1) ア 物質の構成粒子(原子の構造・電子配置・周期表)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/cb-02/ / 更新 2026-09-12