高1 / 化学基礎 / cb-10

更新 2026-09-12

金属のイオン化傾向・電池・電気分解

この単元でできるようになること

入試での位置づけ

イオン化傾向は「どの金属が溶けるか・析出するか」の判断問題として頻出。電池はダニエル電池の各極の反応と電子の向き、電気分解は各極の生成物と量的関係(1 mol の e⁻ = 9.65 × 10⁴ C)が共通テストの定番です。「負極・陽極 = 酸化」「正極・陰極 = 還元」で統一して覚えると混乱しません。


1. イオン化傾向

まずここだけ

金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質の強さ。大きいほど酸化されやすい(強い還元剤)。

Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H₂) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au (リッチに貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金)

金属水との反応酸との反応空気中の酸化
Li・K・Ca・Na常温の水と反応して H₂反応すぐ酸化
Mg熱水と反応反応加熱で酸化
Al・Zn・Fe高温の水蒸気と反応希酸と反応して H₂加熱で酸化
Ni・Sn・Pb×希酸と反応(Pb は遅い)
Cu・Hg・Ag×希酸 ×、硝酸・熱濃硫酸(酸化力のある酸)には溶ける
Pt・Au×王水(濃硝酸 + 濃塩酸 1:3)にのみ溶ける酸化されない

不動態:Al・Fe・Ni は濃硝酸に入れると表面に緻密な酸化被膜ができて溶けない。

金属イオンとの反応:イオン化傾向の大きい金属が溶け(酸化)、小さい金属のイオンが析出(還元)

Zn を CuSO₄ 水溶液に入れる:Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu(Zn が溶け、Cu が付着) Cu を ZnSO₄ 水溶液に入れる:反応しない Cu を AgNO₃ 水溶液に入れる:Cu + 2Ag⁺ → Cu²⁺ + 2Ag(銀樹)


2. 電池 ── 酸化還元でつくる電流

まずここだけ

2 種類の金属を電解質水溶液に入れると電池になる。

イオン化傾向反応電子
負極大きい金属酸化(溶けて電子を出す)出る
正極小さい金属還元(電子を受け取る)入る

電子は負極 → 正極(導線内)、電流は正極 → 負極。電圧(起電力)は 2 つの金属のイオン化傾向の差が大きいほど大きい。

ダニエル電池(Zn | ZnSO₄aq | CuSO₄aq | Cu、素焼き板で仕切る)

その他の電池

電池負極正極電解質特徴
ボルタ電池ZnCu希硫酸正極で H₂ 発生、すぐ電圧低下
マンガン乾電池ZnMnO₂ZnCl₂・NH₄Cl一次電池
鉛蓄電池PbPbO₂希硫酸二次電池(充電可)。放電で両極に PbSO₄、硫酸が薄くなる
リチウムイオン電池黒鉛(Li)LiCoO₂ など二次電池、軽くて高電圧
燃料電池H₂O₂リン酸など全体で 2H₂ + O₂ → 2H₂O、水しか出ない

3. 電気分解 ── 電気で強制的に酸化還元

ここまでできれば十分

外部電源につないで反応を起こす。陽極(+につないだ極)で酸化、陰極(−につないだ極)で還元

起こる反応の優先順
陰極(還元)イオン化傾向の小さい金属イオンが析出(Cu²⁺・Ag⁺)。Na⁺・K⁺ などは析出せず水が還元されて H₂(2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻)
陽極(酸化)電極が Cu・Ag なら電極自身が溶ける。Pt・C なら Cl⁻ → Cl₂、それ以外(SO₄²⁻・NO₃⁻)は水が酸化されて O₂(2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻)
電解液(Pt 電極)陰極陽極
塩化銅(Ⅱ)CuCl₂Cu 析出Cl₂
硫酸銅(Ⅱ)CuSO₄Cu 析出O₂
塩化ナトリウム NaClH₂Cl₂(NaOH が残る)
水(希硫酸・NaOH 少量)H₂O₂(体積比 2:1)
硫酸銅(Ⅱ)、Cu 電極Cu 析出陽極の Cu が溶ける(銅の電解精錬

ファラデーの法則:生成量は流れた電気量に比例。電子 1 mol の電気量 = 9.65 × 10⁴ C(ファラデー定数)。 電気量 Q(C)= 電流 I(A)× 時間 t(s)

1.0 A で 32 分 10 秒(1930 s):Q = 1930 C → e⁻ = 1930 ÷ 96500 = 0.020 mol 陰極の Cu(Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu):0.010 mol = 0.64 g。陽極の O₂(4e⁻ で 1 mol):0.0050 mol = 0.112 L


4. 金属の製錬と腐食


5. よくある間違い


6. 自己チェック

  1. イオン化傾向の順を言えるか
  2. Zn を CuSO₄ に入れたときの反応を書けるか
  3. 負極 = 酸化・正極 = 還元、電子は負極 → 正極、と言えるか
  4. ダニエル電池の各極の反応式を書けるか
  5. 陰極・陽極の生成物の優先順を言えるか
  6. Q = It、e⁻ 1 mol = 9.65 × 10⁴ C で析出量を計算できるか

7. 小テストへ

→ 小テスト(cb-10

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
基礎から標準から発展から

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