高1 / 古文 / jg-02
用言の活用(動詞 9 種・形容詞・形容動詞)
この単元でできるようになること
- 古典文法の6 つの活用形(未然・連用・終止・連体・已然・命令)と、それぞれに続く語(ず/て・けり/。/とき/ども・ば/。)を言える
- 動詞の活用の種類 9 つ(四段・上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変・ナ変・ラ変)を、「ず」をつけて見分けられる
- 形容詞(ク活用・シク活用、カリ活用)と形容動詞(ナリ活用・タリ活用)の活用表を書ける
- 文中の用言の活用の種類・活用形を、下に続く語から判定できる(文法問題の第一歩)
- 音便(イ・ウ・撥音・促音)と、覚えるべき語(上一段「ひいきにみゐる」、ナ変「死ぬ・往ぬ」、ラ変「あり・をり・侍り・いまそかり」、下一段「蹴る」)を言える
入試での位置づけ
古文の文法問題の土台。助動詞(jg-03・04)は接続する活用形で識別するので、用言の活用形が判定できないと何も始まりません。共通テストでは直接「活用の種類を答えよ」とは出にくいですが、選択肢の現代語訳の正誤(「見る」の未然形か「見ゆ」の連用形か、など)に直結します。
1. 活用形と続く語
まずここだけ
| 活用形 | 主に続く語 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 未然形 | ず・む・ば(仮定)・で・る/らる・す/さす・じ・まし・ばや | まだそうなっていない |
| 連用形 | て・けり・き・つ・ぬ・たり・たし・けむ・にき | 用言に連なる |
| 終止形 | 。・べし・らむ・めり・なり(推定)・らし・まじ・と | 文を止める |
| 連体形 | とき・こと・人(体言)・なり(断定)・ごとし・係り結びのぞ・なむ・や・かの結び | 体言に連なる |
| 已然形 | ども・ば(確定:〜ので・〜と)・係り結びのこその結び・り(四段) | すでにそうなっている |
| 命令形 | 。(命令)・り(サ変) |
現代語との違い:「仮定形」ではなく已然形(「行けば」は現代では仮定、古文では「行くと・行ったので」)。未然形+ば が仮定(「行かば」= もし行くなら)。
2. 動詞の活用 9 種
まずここだけ
見分け方:「ず」をつけて、直前の音で判定。
- a 段 → 四段(書か-ず)
- i 段 → 上二段(起き-ず)※上一段は語で覚える
- e 段 → 下二段(受け-ず)※下一段は「蹴る」だけ
- 変格活用 4 種と一段は語で覚える
| 種類 | 例 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | 覚える語 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 四段 | 書く | か | き | く | く | け | け | 最も多い(a・i・u・u・e・e) |
| 上一段 | 見る | み | み | みる | みる | みれ | みよ | ひ・い・き・に・み・ゐる:干る・射る/鋳る・着る・煮る/似る・見る・居る/率る(+顧みる・試みる・用ゐる) |
| 上二段 | 起く | き | き | く | くる | くれ | きよ | i・i・u・uru・ure・iyo(過ぐ・落つ・恋ふ・老ゆ・悔ゆ・報ゆ) |
| 下一段 | 蹴る | け | け | ける | ける | けれ | けよ | 蹴るのみ |
| 下二段 | 受く | け | け | く | くる | くれ | けよ | e・e・u・uru・ure・eyo(見ゆ・聞こゆ・覚ゆ・出づ・寝(ぬ)・経(ふ)・得(う)) |
| カ行変格 | 来 | こ | き | く | くる | くれ | こ(こよ) | 来のみ |
| サ行変格 | す | せ | し | す | する | すれ | せよ | す・おはす(+〜す:念ず・具す) |
| ナ行変格 | 死ぬ | な | に | ぬ | ぬる | ぬれ | ね | 死ぬ・往ぬ(去ぬ) |
| ラ行変格 | あり | ら | り | り | る | れ | れ | あり・をり・侍り・いまそかり(いますがり)。終止形が u 段でない唯一の動詞 |
注意する語:
- 現代と活用の種類が違う:「起く」(古:上二段/現:上一段「起きる」)、「受く」(古:下二段/現:下一段)、「飽く」(古:四段/現:上一段)、「借る」(古:四段/現:上一段)、「足る」(四段)
- 同じ形で種類が違う:「見る」(上一段)と「見ゆ」(下二段:見える)、「頼む」(四段:頼りにする/下二段:頼みに思わせる)、「生く」(四段/上二段)
- 終止形が 1 字:寝(ぬ)・経(ふ)・得(う)・来(く)・す
- 自動詞・他動詞のペア:立つ(四段:立つ/下二段:立てる)、付く(四段/下二段)、明く(四段/下二段)
3. 形容詞・形容動詞
まずここだけ
形容詞(終止形が「〜し」):
| 活用 | 例 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ク活用 | 高し | (く)から | く・かり | し | き・かる | けれ | かれ |
| シク活用 | をかし | (しく)しから | しく・しかり | し | しき・しかる | しけれ | しかれ |
- 見分け:「なる」をつけて「高くなる」→ ク、「をかしくなる」→ シク
- カリ活用(から・かり・○・かる・○・かれ):連用形「く」+「あり」が縮まったもの。助動詞に接続するときに使う(高からず・高かりけり・高かるべし)
- 語幹用法:「あな、をかし」(感動)、「〜の〜さ」(名詞化)
形容動詞(終止形が「〜なり」「〜たり」):
| 活用 | 例 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ナリ活用 | 静かなり | なら | なり・に | なり | なる | なれ | なれ |
| タリ活用 | 堂々たり | たら | たり・と | たり | たる | たれ | たれ |
- ナリ活用は「に+あり」、タリ活用は「と+あり」から(ラ変型)。タリ活用は漢語につく(堂々・漠々・寥々)
- 連用形「に」「と」は副詞的に用言に続く(静かに語る)
4. 音便
ここまでできれば十分
| 音便 | 変化 | 例 |
|---|---|---|
| イ音便 | き・ぎ・し → い | 書きて → 書いて、美しき → 美しい |
| ウ音便 | く・ぐ・ひ・び・み → う | 美しく → 美しう、思ひて → 思うて、頼みて → 頼うで |
| 撥音便 | に・み・ひ・る → ん(表記されないことも) | 死にて → 死んで、あるめり → あんめり → あめり、なるなり → ななり |
| 促音便 | ち・ひ・り → っ | 立ちて → 立って |
撥音便の無表記:「あめり」「ななり」「ざめり」「べかめり」は「ある・なる・ざる・べかる」+「めり・なり」の撥音「ん」が消えた形。連体形+めり・なりと判断する(jg-04 で重要)。
5. 判定の手順
まずここだけ
- 下に何が続くかを見る(ず → 未然、て・けり → 連用、。→ 終止、体言 → 連体、ども・ば → 已然)
- 活用形がわかったら語の終止形を考える(「起き」+「ず」→ 未然形 → i 段 → 上二段「起く」)
- 同じ形が複数の活用形にある場合は文脈で決める(四段の終止形と連体形、上二段の未然形と連用形)
「花の散れば」:「ば」が続き「散れ」は e 段 → 四段「散る」の已然形(= 散るので・散ると) 「月を見て」:「て」→ 連用形。「見る」は上一段なので連用形「み」 「来(き)し人」:連体形「し」(過去の助動詞「き」の連体形)の上は連用形 → カ変「来」の連用形「き」
6. よくある間違い
- 「起く」「受く」を現代と同じ一段活用とする(古文では二段)
- 上一段の語を「ず」で判定して上二段とする(上一段は「ひいきにみゐる」で暗記)
- ラ変の終止形を「る」とする(「り」。あり・をり・侍り・いまそかり)
- 「死ぬ」を四段とする(ナ変。連体形「死ぬる」)
- 已然形を「仮定形」と呼び、「行けば」を「もし行けば」と訳す(已然形+ば = 〜ので・〜と。仮定は未然形+ば)
- 形容詞の「高から」「高かり」を別の語とする(カリ活用。助動詞につなぐための形)
- 形容動詞の連用形「に」を助詞とする(「静かに」は形容動詞の連用形)
- 「あめり」「ななり」を「あり・なり」の終止形とする(連体形の撥音便無表記)
- 「見ゆ」を「見る」と同じ上一段とする(下二段。見える・思われる)
- 終止形が「し」で終わる形容詞と、過去の助動詞「き」の連体形「し」を混同する
7. 自己チェック
- 6 つの活用形に続く語を 3 つずつ言えるか
- 「ず」で四段・上二段・下二段を見分けられるか
- 上一段 6 語、ナ変 2 語、ラ変 4 語、下一段 1 語、カ変・サ変を言えるか
- 四段・上二段・下二段・ラ変の活用表を書けるか
- 形容詞ク・シク(カリ活用含む)と形容動詞ナリ・タリの活用表を書けるか
- 音便 4 種と「あめり・ななり」の正体を言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(jg-02)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「言語文化」「古典探究」(古典の文法)
- 各社の古典文法の教科書・文法書(活用表は学校文法の標準的なもの)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/japanese/jg-02/ / 更新 2026-09-13