数学A 数学 / 場合の数と確率 / ha-04
条件付き確率・期待値
この単元でできるようになること
- 条件付き確率 P_A(B) = P(A ∩ B) / P(A) の意味と計算ができる
- 乗法定理 P(A ∩ B) = P(A) P_A(B) で、「戻さずに続けて取り出す」確率が求められる
- 「くじ引きは順番に関係なく当たる確率が同じ」を説明できる
- 「原因の確率」(結果がわかったとき、どちらの原因だったかの確率)が表を使って求められる
- 期待値 = Σ(値 × 確率)を計算し、有利・不利を判断できる
入試での位置づけ
条件付き確率は共通テスト数学A の大問の最後に置かれる定番で、「取り出した玉が赤だったとき、それが袋 A から取り出された確率」のような原因の確率が頻出。表を作って数える方法を身につければ確実に取れます。期待値は新課程で数学A に戻った内容で、ゲームの有利不利の判断として出ます。
1. 条件付き確率
まずここだけ
事象 A が起こったという条件のもとで、事象 B が起こる確率:
P_A(B) = P(A ∩ B) / P(A) = n(A ∩ B) / n(A)
(全体を「A が起こった場合」にしぼって、その中で B の割合を見る)
1〜10 のカード 1 枚。「偶数だった」とわかったとき、それが 4 の倍数である確率 偶数 A = {2,4,6,8,10}(5 枚)、その中で 4 の倍数 = {4, 8}(2 枚)→ 2/5 (式:P(A ∩ B)/P(A) = (2/10)/(5/10) = 2/5)
表で考える
40 人のクラス、男 22 人・女 18 人、めがねをかけている人が男 6・女 9。
| めがね | なし | 計 | |
|---|---|---|---|
| 男 | 6 | 16 | 22 |
| 女 | 9 | 9 | 18 |
| 計 | 15 | 25 | 40 |
「選んだ 1 人が女子だったとき、めがねをかけている確率」= 女子の行だけ見る → 9/18 = 1/2 「めがねをかけていたとき、女子である確率」= めがねの列だけ見る → 9/15 = 3/5
条件になっている行(列)に全体をしぼる。分母が変わるのがポイント。
2. 乗法定理
まずここだけ
P(A ∩ B) = P(A) × P_A(B)(A が起こり、続けて B が起こる確率)
戻さずに取り出す(非復元抽出)ときに使う。
赤 3・白 2 の袋から 1 個ずつ 2 回、戻さずに取り出す。1 回目赤・2 回目白の確率 1 回目赤 3/5、そのあと(赤 2・白 2 が残る)2 回目白 2/4 → (3/5)(2/4) = 3/10
1 回目白・2 回目赤:(2/5)(3/4) = 3/10 「1 個が赤・1 個が白」(順不同)= 3/10 + 3/10 = 3/5(ha-03 の組合せの結果と一致)
くじ引きの公平性
当たり 2 本・はずれ 3 本のくじを、A、B の順に 1 本ずつ引く(戻さない)。
- A が当たる:2/5
- B が当たる:A 当たり → B 当たり (2/5)(1/4) + A はずれ → B 当たり (3/5)(2/4) = 2/20 + 6/20 = 8/20 = 2/5
先に引いても後に引いても、当たる確率は同じ。(B は「A の結果を知らない」ので、A の場合を全部足す)
3. 原因の確率
ここまでできれば十分
結果がわかったとき、どの原因から来たかの確率。条件付き確率の定義に戻って、「結果が起こる確率(全部の原因を足す)」を分母、「その原因から結果が起こる確率」を分子にする。
袋 A(赤 2・白 1)、袋 B(赤 1・白 3)。さいころで 1・2 なら A、3〜6 なら B から 1 個取り出す。取り出した玉が赤だったとき、袋 A から取り出した確率
赤が出る経路:
- A から赤:(2/6)(2/3) = 4/18 = 2/9
- B から赤:(4/6)(1/4) = 1/6 赤が出る確率:2/9 + 1/6 = 4/18 + 3/18 = 7/18 求める確率 = (A から赤) / (赤) = (2/9) / (7/18) = 4/7
手順
- 原因ごとに「原因 → 結果」の確率を出す(乗法定理)
- 結果の確率 = 全原因の合計
- 求める条件付き確率 = 該当する原因の確率 ÷ 結果の確率
樹形図か表を書く。分母は「結果が起こるすべての経路の和」。
4. 期待値
ここまでできれば十分
変量 X が x₁、x₂、…、xₙ の値をとり、その確率が p₁、p₂、…、pₙ のとき、
期待値 E = x₁p₁ + x₂p₂ + … + xₙpₙ(値 × 確率の合計)
「平均としていくらもらえるか」。
さいころ 1 回の出る目の期待値:1・(1/6) + 2・(1/6) + … + 6・(1/6) = 21/6 = 7/2 = 3.5 くじ:1 等 1000 円が 1 本、2 等 100 円が 10 本、はずれ 89 本(計 100 本)。1 本の賞金の期待値 1000・(1/100) + 100・(10/100) + 0・(89/100) = 10 + 10 = 20 円 → 参加料が 20 円より高ければ「不利」、安ければ「有利」
表を作る
| X | 1000 | 100 | 0 |
|---|---|---|---|
| P | 1/100 | 10/100 | 89/100 |
確率の合計が 1 になることを確認してから、値 × 確率を足す。
ゲームの有利・不利
「期待値 > 参加料」なら有利。期待値は「1 回あたりの平均」で、1 回ごとの結果を保証するものではない。
5. よくある間違い
- 条件付き確率で分母を「全体」のままにする → 条件の事象にしぼる
- P_A(B) と P_B(A) を混同する(「女子のうちめがね」と「めがねのうち女子」)
- 戻さない取り出しで、2 回目の分母を変えない(5 のまま → 4 に)
- 原因の確率で、分母を「該当する原因の確率」にしてしまう → 分母は結果の確率(全原因の和)
- 期待値で確率の合計が 1 になっていない
6. 自己チェック
- 条件つきなら、条件の行(列)だけに全体をしぼったか
- 戻さないなら分母を減らしたか
- 原因の確率:分母 = 結果の全経路の和
- 期待値 = Σ 値 × 確率。確率の和は 1
- P_A(B) と P_B(A) の向きを取りちがえていないか
7. 小テストへ
→ 小テスト(ha-04)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学A「(2) 場合の数と確率 ア(イ) 確率(条件付き確率、期待値)」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/math/ha-04/ / 更新 2026-09-12