数学B 数学 / 統計的な推測 / hb-05
正規分布・標本平均・推定・検定
この単元でできるようになること
- 連続型確率変数と確率密度関数(面積 = 確率)の考え方がわかる
- 正規分布 N(m, σ²) を標準化 Z = (X − m)/σ して、正規分布表で確率が求められる
- 二項分布を正規分布で近似できる(n が大きいとき)
- 標本平均 X̄ の分布(平均 m、分散 σ²/n)がわかる
- 母平均の 95% 信頼区間 X̄ ± 1.96 · σ/√n が求められる
- 母比率の信頼区間、仮説検定(有意水準 5%)の手順がわかる
入試での位置づけ
「統計的な推測」の共通テストの大問は、標準化 → 正規分布表 → 確率、信頼区間の計算、検定の判断が毎回の骨組みです。正規分布表は問題に与えられるので、表の読み方(P(0 ≦ Z ≦ z) の形)と標準化の式を確実に。「信頼区間の幅を半分にするには n を 4 倍」など、式の意味を問う選択肢も出ます。
1. 連続型確率変数と正規分布
まずここだけ
身長・重さのように連続した値をとる変数は、確率密度関数 f(x) のグラフと x 軸の間の面積が確率。全体の面積は 1。
正規分布 N(m, σ²):平均 m、標準偏差 σ の左右対称な釣り鐘型。
- m ± σ の範囲に約 68%、m ± 2σ に約 95%、m ± 3σ に約 99.7%
標準正規分布 N(0, 1):平均 0、標準偏差 1。正規分布表は P(0 ≦ Z ≦ z) の値を与える(表の値 0.3413 = P(0 ≦ Z ≦ 1) など)。
2. 標準化と確率の計算
まずここだけ
X が N(m, σ²) に従うとき、Z = (X − m)/σ は N(0, 1) に従う。
手順:
- 求めたい範囲を Z に直す
- 正規分布表で P(0 ≦ Z ≦ z) を読む
- 対称性・全体 = 1 で組み合わせる
X ~ N(50, 10²) のとき P(X ≧ 65) Z = (65 − 50)/10 = 1.5。P(Z ≧ 1.5) = 0.5 − P(0 ≦ Z ≦ 1.5) = 0.5 − 0.4332 = 0.0668
P(40 ≦ X ≦ 65):Z は −1 〜 1.5。P(−1 ≦ Z ≦ 0) + P(0 ≦ Z ≦ 1.5) = 0.3413 + 0.4332 = 0.7745
よく使う値
| z | P(0 ≦ Z ≦ z) |
|---|---|
| 1.00 | 0.3413 |
| 1.64(1.645) | 0.4495(0.45) |
| 1.96 | 0.4750 |
| 2.00 | 0.4772 |
| 2.58 | 0.4951 |
P(−1.96 ≦ Z ≦ 1.96) = 0.95(95%)、P(−2.58 ≦ Z ≦ 2.58) = 0.99。
3. 二項分布の正規分布による近似
ここまでできれば十分
B(n, p) は n が大きいとき、N(np, np(1 − p)) で近似できる。
コインを 400 回投げて表が 220 回以上出る確率 B(400, 1/2) ≈ N(200, 100)、σ = 10。Z = (220 − 200)/10 = 2 → P(Z ≧ 2) = 0.5 − 0.4772 = 0.0228
4. 標本平均の分布
ここまでできれば十分
母平均 m、母標準偏差 σ の母集団から大きさ n の標本を無作為に取り出すとき、標本平均 X̄ は
E(X̄) = m、V(X̄) = σ²/n、σ(X̄) = σ/√n
n が大きければ X̄ は近似的に N(m, σ²/n) に従う(母集団が正規分布でなくても)。
母平均 50、母標準偏差 10 の母集団から 100 個の標本:X̄ ~ N(50, 1)、σ(X̄) = 1。P(X̄ ≧ 52) = P(Z ≧ 2) = 0.0228
n を大きくすると標本平均のばらつきは 1/√n で小さくなる。
5. 母平均の推定(信頼区間)
ここまでできれば十分
標本平均 X̄、母標準偏差 σ(不明なら標本標準偏差 s で代用)、標本の大きさ n のとき、母平均 m の
95% 信頼区間:X̄ − 1.96 · σ/√n ≦ m ≦ X̄ + 1.96 · σ/√n 99% 信頼区間:X̄ ± 2.58 · σ/√n
n = 100、X̄ = 50、σ = 10:50 ± 1.96 × 1 → 48.04 ≦ m ≦ 51.96
信頼区間の意味
「同じ方法で標本をとり区間を作ることをくり返すと、95% の区間が母平均を含む」。「母平均がこの区間に入る確率が 95%」ではない(母平均は動かない定数)。
幅を狭くするには
幅 = 2 × 1.96 × σ/√n。幅を半分にするには n を 4 倍。
母比率の推定
標本比率 p̂(n 個中 X 個で p̂ = X/n)のとき、母比率 p の 95% 信頼区間: p̂ ± 1.96 · √{p̂(1 − p̂)/n}
400 人中 100 人が賛成:p̂ = 0.25、√(0.25 × 0.75/400) = √(0.000469) ≒ 0.0217 → 0.25 ± 0.0424 → 0.208 ≦ p ≦ 0.292
6. 仮説検定
ここまでできれば十分
h1-14 の考え方を、正規分布で数値化したもの。
手順:
- 帰無仮説 H₀(例:p = 0.5、m = 50)と対立仮説 H₁
- 有意水準(5% または 1%)を決める
- H₀ のもとで検定統計量 Z を計算(標準化)
- |Z| > 1.96(5%、両側)なら棄却、そうでなければ棄却しない
コインを 400 回投げて 220 回表。公正といえるか(有意水準 5%) H₀:p = 0.5。B(400, 0.5) ≈ N(200, 100)。Z = (220 − 200)/10 = 2。 |2| > 1.96 → 棄却。公正とはいえない(表が出やすいと判断)。
平均 50 の製品。標本 100 個の平均 52、標準偏差 10。平均は変わったか(5%) Z = (52 − 50)/(10/√100) = 2 > 1.96 → 棄却。平均は変わったと判断。
片側検定(「大きくなったか」)なら Z > 1.64 で棄却(5%)。問題文の「〜と異なるか(両側)」「〜より大きいか(片側)」で判断。
7. よくある間違い
- 標準化で σ² と σ を混同する(N(50, 10²) の σ は 10)
- 正規分布表の値が P(0 ≦ Z ≦ z) であることを忘れ、P(Z ≦ z) と読む
- 標本平均の標準偏差を σ のままにする → σ/√n
- 信頼区間の 1.96 を 2 倍し忘れる/幅と半幅を混同する
- 「棄却されない = 帰無仮説が正しい」と結論する
8. 自己チェック
- Z = (X − m)/σ で標準化したか
- 表の値は P(0 ≦ Z ≦ z)。対称性で組み合わせる
- 標本平均は N(m, σ²/n)
- 95% は 1.96、99% は 2.58
- 検定は |Z| と 1.96 の比較。棄却できなくても「正しい」とは言わない
9. 小テストへ
→ 小テスト(hb-05)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』── 数学B「(2) 統計的な推測 ア(イ) 正規分布、(ウ) 区間推定及び仮説検定」
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/math/hb-05/ / 更新 2026-09-12