数学Ⅰ 数学 / データの分析 / h1-14

更新 2026-09-12

データの分析 ② ── 散布図・相関係数・仮説検定の考え方

この単元でできるようになること

入試での位置づけ

散布図と相関係数は、共通テスト「データの分析」で箱ひげ図と並ぶ主役です。計算より「散布図と相関係数の対応」「変換したときに相関係数がどうなるか」「相関と因果の違い」が問われます。仮説検定は新課程で数学Ⅰに加わった内容で、「考え方」を問う問題として出題されます。


1. 散布図と相関

まずここだけ

2 つの変量 x、y の組を座標にとった図が散布図

相関
右上がりに点が並ぶ正の相関(x が大きいと y も大きい)
右下がりに並ぶ負の相関
ばらばら相関がない

点が直線の近くに集まるほど「相関が強い」。


2. 共分散と相関係数

まずここだけ

x の平均を x̄、y の平均を ȳ とする。

共分散 sₓᵧ = 偏差の積の平均 = {(x₁ − x̄)(y₁ − ȳ) + … + (xₙ − x̄)(yₙ − ȳ)} / n

相関係数 r = sₓᵧ / (sₓ sᵧ)(共分散を、x と y の標準偏差の積で割る)

r の値意味
r = 1完全な正の相関(点が右上がりの直線上)
0.7 ≦ r < 1強い正の相関(目安)
r ≒ 0相関がない
−1 < r ≦ −0.7強い負の相関(目安)
r = −1完全な負の相関

−1 ≦ r ≦ 1 は必ず成り立つ。r の符号 = 共分散の符号 = 相関の向き。

計算例

x12345
y245410

x̄ = 3、ȳ = 5。 偏差 x:−2, −1, 0, 1, 2 偏差 y:−3, −1, 0, −1, 5 積:6, 1, 0, −1, 10 → 合計 16 → 共分散 16/5 = 3.2 sₓ² = (4 + 1 + 0 + 1 + 4)/5 = 2、sᵧ² = (9 + 1 + 0 + 1 + 25)/5 = 7.2 r = 3.2 / √(2 × 7.2) = 3.2 / √14.4 = 3.2 / 3.79… ≒ 0.84(強い正の相関)

計算のコツ

表を作る:x、y、x − x̄、y − ȳ、(x − x̄)²、(y − ȳ)²、(x − x̄)(y − ȳ) の 7 列。合計を出してから n で割る。共通テストでは r の値そのものより「√ の中」の形が問われるので、途中の合計を正確に。


3. 相関係数の性質

ここまでできれば十分

操作相関係数
x、y の全部に定数を足す変わらない
x を正の数倍、y を正の数倍変わらない
x または y を負の数倍符号が変わる
単位を変える(cm → m)変わらない

相関係数は「散らばりを標準化したもの」なので、平行移動・拡大縮小で不変

相関と因果

「アイスの売上と水難事故の件数に正の相関がある」→ アイスが事故を起こすのではなく、気温という第 3 の要因(交絡)が両方を増やしている。

相関がある ⇒ 因果関係がある、とは言えない。共通テストの記述選択で「〜の原因である」と断定する選択肢は誤りになることが多い。

外れ値の影響

1 つの外れ値で相関係数は大きく変わる。散布図で外れ値を確認してから r を解釈する。


4. 仮説検定の考え方

ここまでできれば十分

「このコインは表が出やすいか」を、「そうでないと仮定して、実際の結果がどれくらい珍しいか」で判断する方法。

手順(例:コインを 10 回投げて 9 回表が出た):

  1. 帰無仮説 H₀:「コインは公正(表の確率 1/2)」と仮定する(否定したい主張の逆)
  2. 対立仮説 H₁:「表が出やすい」
  3. 有意水準を決める:例えば 5%(「5% 以下でしか起きないことが起きたら、仮定を疑う」)
  4. H₀ のもとで、観測結果以上に極端な結果が起きる確率を求める(または実験・シミュレーションの結果表から読む)
    • 公正なコインで 10 回中 9 回以上表:確率 ≒ 1.1%
  5. その確率が有意水準より小さい → H₀ を棄却(「公正とは言えない → 表が出やすいと判断」)  有意水準より大きい → H₀ は棄却できない(「表が出やすいとは言えない」。公正だと証明されたわけではない

用語

用語意味
帰無仮説「差がない・偏りがない」という、否定されることを期待する仮説
対立仮説示したい主張
有意水準「珍しい」と判断する基準の確率(5% や 1%)
棄却する帰無仮説を捨てる(対立仮説を採用)

注意


5. 自己チェック

  1. 散布図の向きと r の符号が一致しているか
  2. r = 共分散 ÷(sₓ × sᵧ)。共分散だけで強さを判断しない
  3. 定数を足す・正の数倍しても r は変わらない
  4. 「相関がある」を「原因である」と読んでいないか
  5. 仮説検定:帰無仮説のもとでの確率 < 有意水準 なら棄却。棄却できなくても「正しい」とは言えない

6. 小テストへ

→ 小テスト(h1-14

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参考資料

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