高1 / 地学基礎 / eb-02
地震と火山
この単元でできるようになること
- 地震の用語(震源・震央・震源距離・震度・)と、M が 1 大きいとエネルギー約 32 倍を使える
- P 波・S 波の性質と、初期微動継続時間から震源距離を求める大森公式(d = kt)を使える
- 日本の地震の種類(プレート境界地震・海洋プレート内地震・内陸の活断層地震)と断層の種類を説明できる
- マグマの性質(SiO₂ 量と粘性)と火山の形・噴火の様子の関係を説明できる
- 火山噴出物(溶岩・火山灰・火山ガス・火砕流)と、日本の火山の分布(火山前線)を説明できる
入試での位置づけ
地震は大森公式による震源距離の計算とマグニチュードのエネルギー比が共通テストの計算問題として定番。火山はSiO₂ 量 → 粘性 → 火山の形 → 噴火の激しさ → 岩石名のつながりを一本の表で覚えれば、どの角度から問われても答えられます。
1. 地震の基本用語
まずここだけ
- 震源:地下で岩石が破壊された場所。震央:震源の真上の地表の点
- 震源距離:観測点から震源まで。震源の深さ:震央から震源まで
- 震度:各地点の揺れの強さ(気象庁震度階級:0〜7 の 10 段階、5 と 6 は強弱あり)。震源から近いほど大きい
- マグニチュード M:地震そのものの規模(エネルギー)。1 つの地震に 1 つ
- M が 1 大きいとエネルギーは約 32 倍、2 大きいと 1000 倍(10^1.5 倍/M)
- M7 の地震のエネルギーは M5 の 1000 個分
- 余震:本震のあとに続く小さな地震
2. 地震波と震源距離
まずここだけ
| 波 | 速さ | 性質 | 揺れ |
|---|---|---|---|
| P 波(Primary) | 速い(約 5〜7 km/s) | 縦波。固体・液体を伝わる | 初期微動(カタカタ) |
| S 波(Secondary) | 遅い(約 3〜4 km/s) | 横波。固体のみ(液体の外核を通れない) | 主要動(ユサユサ) |
初期微動継続時間(P–S 時間)t = S 波の到着時刻 − P 波の到着時刻。震源距離に比例する。 大森公式:震源距離 d = k × t(k は約 6〜8 km/s。問題で与えられる)
t = 10 秒、k = 8 km/s → d = 80 km
導き方:P 波速度 V_P、S 波速度 V_S のとき、d/V_S − d/V_P = t → d = t × V_P V_S/(V_P − V_S)。k = V_P V_S/(V_P − V_S)
V_P = 8、V_S = 4 km/s → k = 32/4 = 8 km/s
震源の決め方:3 地点の震源距離を半径とする円を描き、共通の弦の交点が震央。 緊急地震速報:速い P 波を検知して、S 波が来る前に警報を出す。震源に近いと間に合わない。
3. 日本の地震と断層
ここまでできれば十分
| 種類 | 場所 | 例 |
|---|---|---|
| プレート境界地震(海溝型) | 沈みこむプレートに引きずられた大陸プレートが跳ね返る。M8〜9 の巨大地震、津波 | 東北地方太平洋沖地震(2011、M9.0)、関東大震災(1923)、想定される南海トラフ地震 |
| 海洋プレート内地震 | 沈みこんだプレートの内部。深い(深発地震:深さ 100〜700 km) | 深発地震面(和達–ベニオフ帯)に沿う |
| 内陸地殻内地震(活断層型) | 大陸プレート内の活断層がずれる。浅い(〜20 km)、M7 級でも都市直下だと大被害 | 兵庫県南部地震(1995、M7.3)、熊本地震(2016) |
断層の種類(力のかかり方で決まる):
| 断層 | 力 | ずれ |
|---|---|---|
| 正断層 | 引っ張り | 上盤がずり下がる |
| 逆断層 | 圧縮 | 上盤がずり上がる(日本に多い) |
| 横ずれ断層 | 水平のずれ | 右横ずれ・左横ずれ |
活断層:最近(数十万年以内)に活動し、今後も動く可能性のある断層。日本に約 2,000。
地震の被害:揺れ、液状化(埋立地・砂地盤)、津波(海溝型)、土砂災害、火災。
4. マグマと火山の形
まずここだけ
マグマ:地下で岩石が溶けたもの。SiO₂(二酸化ケイ素)の割合で性質が決まる。
| 玄武岩質マグマ | 安山岩質マグマ | 流紋岩質(デイサイト質)マグマ | |
|---|---|---|---|
| SiO₂ | 少ない(約 50%) | 中間(約 60%) | 多い(約 70%) |
| 温度 | 高い(1,200 ℃) | 低い(900 ℃) | |
| 粘性 | 小さい(さらさら) | 大きい(ねばねば) | |
| 噴火 | おだやか。溶岩が流れ出す | 激しい(爆発的)。火山灰・軽石・火砕流 | |
| 火山の形 | 盾状火山(ハワイ・マウナロア)、溶岩台地 | 成層火山(富士山・桜島・浅間山) | 溶岩ドーム(溶岩円頂丘)(雲仙普賢岳・昭和新山) |
| 色 | 黒っぽい | 白っぽい | |
| 岩石 | 玄武岩・斑れい岩 | 安山岩・閃緑岩 | 流紋岩・花こう岩 |
覚え方:SiO₂ が多い → ねばい → ガスが抜けにくい → 爆発的 → ドーム型 → 白っぽい。
カルデラ:大量の噴出でマグマだまりが空になり陥没した大きなくぼ地(阿蘇・十和田湖・姶良)。
5. 火山噴出物と火山の分布
ここまでできれば十分
| 噴出物 | 内容 |
|---|---|
| 溶岩 | 地表に流れ出たマグマ |
| 火山砕屑物(火砕物) | 火山灰(< 2 mm)、火山礫、火山弾、軽石(白・穴だらけ)、スコリア(黒) |
| 火山ガス | 大部分は水蒸気、CO₂、SO₂、H₂S |
| 火砕流 | 高温の火山ガスと火山灰・岩塊が高速(100 km/h 以上)で流れ下る。最も危険(雲仙普賢岳 1991) |
火山の分布:プレートの沈みこみ帯(日本・環太平洋)、中央海嶺、ホットスポット。 日本では海溝から一定の距離(約 200〜300 km)に火山が並び、その海溝側の限界線が火山前線(火山フロント)。前線より海溝側には火山がない(沈みこんだプレートが十分深くなって水を放出し、マントルが溶ける深さになる場所から火山ができる)。 活火山:おおむね過去 1 万年以内に噴火した火山。日本に 111(気象庁)。
6. よくある間違い
- 震度とマグニチュードを混同する(震度は地点ごとの揺れ、M は地震の規模で 1 つ)
- M が 1 大きいとエネルギー 10 倍とする(約 32 倍)
- S 波を縦波とする(横波。P 波が縦波)
- 初期微動継続時間が長いほど震源に「近い」とする(遠い)
- SiO₂ が多いマグマを「さらさら」とする(多いほどねばい)
- 富士山を盾状火山とする(成層火山)
- 逆断層を引っ張りの力とする(圧縮)
- 火山前線の海溝側に火山があるとする(陸側にある)
7. 自己チェック
- 震度と M の違い、M1 の差 = 約 32 倍を言えるか
- P 波(縦波・速い・初期微動)と S 波(横波・遅い・主要動)を言えるか
- d = kt で震源距離を出せるか
- 海溝型・活断層型の地震の特徴と例を言えるか
- SiO₂ 量 → 粘性 → 噴火 → 火山の形 → 岩石 の表を言えるか
- 火山前線の意味を言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(eb-02)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「地学基礎」(1) イ 活動する地球
- 気象庁「活火山とは」(活火山の定義と数)、「震度について」(https://www.jma.go.jp/)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/eb-02/ / 更新 2026-09-12