高1 / 歴史総合 / ht-08

更新 2026-09-13

世界恐慌とファシズム・日本の軍部台頭

この単元でできるようになること

入試での位置づけ

恐慌への 3 つの対応(ニューディール・ブロック経済・ファシズム)の比較」「ナチスが合法的に政権を得た過程」「満州事変 → リットン報告書 → 国際連盟脱退」「統帥権干犯問題・天皇機関説事件と立憲政治の崩壊」が頻出。グラフ(失業率・生産指数)を読む問題も。


1. 世界恐慌(1929)

まずここだけ

対応内容
アメリカニューディールF. ローズヴェルト 1933〜)政府が経済に介入TVA(テネシー川開発公社:公共事業で雇用)、AAA(農業調整法:生産制限で価格維持)、NIRA(産業復興法)、ワグナー法(労働者の団結権)、社会保障法(1935)、金本位制離脱。「修正資本主義」(ケインズの理論:有効需要の創出)。善隣外交、ソ連承認(1933)
イギリスブロック経済1931 金本位制停止、オタワ連邦会議(1932)で本国と植民地・自治領の特恵関税(スターリング=ブロック)。域外には高関税 → 世界貿易の縮小
フランスブロック経済(フラン=ブロック)、人民戦線内閣(1936)
ソ連五か年計画(1928〜)計画経済で恐慌の影響をほぼ受けず工業化(世界 2 位の工業国へ)。農業集団化で多数の犠牲、スターリンの大粛清
ドイツ・イタリア・日本ファシズム・軍国主義と対外侵略植民地や資源の少ない「持たざる国」が、軍需生産領土拡大で不況を脱しようとする

→ 「持てる国」(英米仏)のブロック経済が「持たざる国」を追いこみ、世界が分裂 → 第二次世界大戦へ。


2. ファシズムとナチズム

まずここだけ

ファシズムの特徴:一党独裁指導者崇拝議会と自由の否定極端なナショナリズム(民族の優越)・反共産主義軍国主義と対外膨張・大衆動員(宣伝・集会・メディア)。資本主義も社会主義も否定する「第三の道」を掲げ、中間層の不満を吸収。

イタリアドイツ
指導者ムッソリーニファシスト党ヒトラーナチ党:国民社会主義ドイツ労働者党)
政権獲得1922 ローマ進軍 → 首相、1926 一党独裁1932 選挙で第一党1933.1 首相(大統領ヒンデンブルクが任命)→ 国会議事堂放火事件 → 全権委任法(1933.3:議会の立法権を政府へ)→ 他党禁止 → 1934 総統(フューラー)
背景大戦後の不況・社会主義の拡大への恐れ・「未回収のイタリア」の不満ヴェルサイユ条約への屈辱賠償金と 1923 年の超インフレ世界恐慌で失業者 600 万(労働者の 3 人に 1 人)・共産党の伸長への恐れ(資本家・中間層がナチスを支持)
政策ラテラノ条約(教皇庁と和解)、エチオピア侵攻(1935〜36)、アルバニア併合ユダヤ人迫害(ニュルンベルク法 1935、水晶の夜 1938 → ホロコースト 600 万人)、ゲシュタポ・強制収容所、アウトバーン建設など公共事業と軍需で失業解消、ラジオ・映画による宣伝(ゲッベルス)、国際連盟脱退(1933)、再軍備宣言(1935 徴兵制復活)、ラインラント進駐(1936)、ベルリン・オリンピック(1936)

3. 日本 ── 恐慌から軍部の台頭へ

まずここだけ

経済

政治・軍事

出来事
1930ロンドン海軍軍縮条約統帥権干犯問題(軍の編制は天皇の統帥権で政府が決めるのは憲法違反、と海軍・右翼が攻撃)→ 浜口首相狙撃
1931.9満州事変関東軍柳条湖で満鉄の線路を爆破(石原莞爾・板垣征四郎)→ 中国軍の攻撃として軍事行動、満州全土を占領。若槻内閣の不拡大方針を無視
1932.1上海事変
1932.3満州国建国(執政 溥儀、「五族協和」「王道楽土」。実態は日本の傀儡)。血盟団事件(井上準之助・団琢磨暗殺)
1932.5.15五・一五事件:海軍青年将校が犬養毅首相を暗殺(「話せばわかる」「問答無用」)→ 憲政の常道が終わり、斎藤実の軍人・官僚中心内閣
1932.10リットン報告書(国際連盟の調査団:日本の軍事行動は自衛ではない、満州国は認めない、ただし日本の権益にも配慮)
1933.3国際連盟総会が撤兵勧告を 42:1 で採択 → 松岡洋右が退場、国際連盟脱退を通告(同年ドイツも脱退)→ 国際的孤立
1933塘沽停戦協定(満州事変の終結)、滝川事件(京大)。プロレタリア作家小林多喜二が拷問死
1935天皇機関説事件:美濃部達吉の学説が攻撃され、政府が国体明徴声明 → 立憲主義の学問的土台の否定
1936.2.26二・二六事件:陸軍皇道派の青年将校が約 1,400 名を率いて首相官邸などを襲撃、高橋是清・斎藤実らを殺害。昭和天皇の意思で鎮圧 → 統制派が陸軍を掌握し、軍部大臣現役武官制復活(1936)で内閣への発言力を強化広田弘毅内閣、軍備拡張、日独防共協定

4. 日中戦争と戦時体制

ここまでできれば十分


5. 年表

世界日本
1922ムッソリーニ政権
1927金融恐慌
1928ソ連第 1 次五か年計画
1929世界恐慌
1930金解禁 → 昭和恐慌、ロンドン軍縮・統帥権干犯問題
1931英 金本位制停止満州事変、金輸出再禁止
1932オタワ会議(ブロック経済)、ナチ党第一党満州国五・一五事件・リットン報告書
1933ヒトラー首相・全権委任法・独 連盟脱退、ニューディール国際連盟脱退
1935独 再軍備宣言・ニュルンベルク法、伊 エチオピア侵攻天皇機関説事件
1936独 ラインラント進駐、スペイン内戦二・二六事件、日独防共協定
1937三国防共協定盧溝橋事件 → 日中戦争、南京占領
1938独 オーストリア併合・ミュンヘン会談国家総動員法
1939独ソ不可侵条約 → 第二次世界大戦ノモンハン事件
1940大政翼賛会

6. よくある間違い


7. 自己チェック

  1. 世界恐慌の原因と世界に広がった理由を言えるか
  2. ニューディール・ブロック経済・五か年計画・ファシズムを国と内容で比べられるか
  3. ナチスの政権獲得の過程(第一党 → 首相 → 全権委任法 → 総統)と背景を言えるか
  4. 金融恐慌 → 昭和恐慌(金解禁)→ 高橋財政の流れを言えるか
  5. 満州事変 → 満州国 → 五・一五 → リットン → 連盟脱退 → 天皇機関説 → 二・二六 を年つきで言えるか
  6. 盧溝橋 → 日中戦争 → 国家総動員法 → 大政翼賛会 の戦時体制を言えるか

8. 小テストへ

→ 小テスト(ht-08

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参考資料

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