高1 / 生物基礎 / bb-03
遺伝情報と DNA(構造・複製・細胞周期)
この単元でできるようになること
- DNA の構造(ヌクレオチド = リン酸 + 糖(デオキシリボース)+ 塩基、二重らせん、A–T・G–C の相補性)を説明できる
- シャルガフの規則(A = T、G = C)を使って塩基の割合を計算できる
- 遺伝子・DNA・染色体・ゲノムの関係を整理できる
- DNA の半保存的複製と、細胞周期(間期 G₁・S・G₂ と分裂期 M)を説明できる
- 細胞周期の各時期にかかる時間を、観察した細胞数の割合から計算できる
- 体細胞分裂の各期(前期・中期・後期・終期)の染色体の様子を言える
入試での位置づけ
DNA は生物基礎の計算問題が出る数少ない単元で、共通テストではシャルガフの規則(A が 20% なら G は 30%)と細胞周期の時間(全周期 20 時間で分裂期の細胞が 10% なら分裂期は 2 時間)が定番。「DNA 量が 2 倍になるのは S 期」「分裂期の途中で半分になる」というグラフの読み取りも頻出です。
1. DNA の構造
まずここだけ
- ヌクレオチド:リン酸 + 糖(デオキシリボース)+ 塩基が 1 単位。これが多数つながった鎖 2 本
- 塩基は 4 種類:A(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)
- 2 本の鎖は塩基どうしが水素結合で結びつき、A は T と、G は C と対になる(相補性)→ 二重らせん(ワトソンとクリック、1953 年)
- 遺伝情報 = 塩基の並び(塩基配列)
シャルガフの規則:どの生物でも A = T、G = C(数が等しい)。A + G = T + C = 50%。
A が 20% → T 20%、G と C は残り 60% を半分ずつで 30% ずつ 一方の鎖だけでは A = T にならないが、二本鎖全体では成り立つ
RNA との違い(bb-04):RNA は糖がリボース、塩基は T の代わりに U(ウラシル)、1 本鎖。
2. 遺伝子・染色体・ゲノム
ここまでできれば十分
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| DNA | 遺伝情報をもつ物質(分子) |
| 遺伝子 | DNA のうち、タンパク質などの情報をもつ部分(DNA の一部分) |
| 染色体 | DNA がタンパク質(ヒストン)に巻きついて折りたたまれたもの。分裂期に凝縮して見える |
| ゲノム | その生物が生きるのに必要な1 組の遺伝情報全体(ヒトは約 30 億塩基対、遺伝子約 2 万個。遺伝子の部分は全体の数 %) |
ヒトの体細胞は染色体 46 本(23 対)で 2 組のゲノムをもつ。
3. DNA の複製 ── 半保存的複製
まずここだけ
細胞分裂の前に DNA が正確に 2 倍にコピーされる。
- 二重らせんがほどけて 1 本ずつになる
- それぞれの鎖を鋳型として、相補的な塩基をもつヌクレオチドが結合し、新しい鎖ができる
- できた 2 本の二重らせんは、もとの鎖 1 本 + 新しい鎖 1 本 からなる → 半保存的複製(メセルソンとスタールの実験で証明)
4. 細胞周期と体細胞分裂
まずここだけ
細胞周期:分裂した細胞が次に分裂するまでの 1 周期。
| 時期 | 内容 | DNA 量(分裂直後を 1 とする) |
|---|---|---|
| G₁ 期(DNA 合成準備期) | 細胞が成長 | 1 |
| S 期(DNA 合成期) | DNA の複製 | 1 → 2 |
| G₂ 期(分裂準備期) | 分裂の準備 | 2 |
| M 期(分裂期) | 前期・中期・後期・終期 | 2 → 終期で 1 に |
G₁ + S + G₂ = 間期(顕微鏡では核が見える。周期の大部分を占める)。
分裂期(M 期):
| 期 | 染色体の様子 |
|---|---|
| 前期 | 染色体が凝縮して太く短くなる。核膜が消える |
| 中期 | 染色体が赤道面(中央)に並ぶ。観察しやすい |
| 後期 | 染色体が縦に裂けて両極へ移動 |
| 終期 | 核膜ができ、細胞質分裂(動物:くびれ、植物:細胞板) |
時間の計算:細胞周期のどの時期にある細胞も一定の割合で存在すると仮定 → 各時期の時間 = 周期全体の時間 × その時期の細胞数 ÷ 全細胞数
全周期 20 時間、観察した 200 個のうち分裂期の細胞が 20 個 → 分裂期 = 20 × 20/200 = 2 時間
観察の手順(タマネギの根端):固定(酢酸)→ 解離(塩酸:細胞をばらす)→ 染色(酢酸オルセイン・酢酸カーミン:染色体を赤く)→ 押しつぶし
5. よくある間違い
- 塩基の割合で「A + T = 50%」とする(A = T、G = C。A + G = 50%)
- DNA の糖をリボースとする(デオキシリボース。リボースは RNA)
- 遺伝子とゲノムを同じと思う(ゲノムは全体、遺伝子はその一部)
- DNA 量が 2 倍になるのを M 期とする(S 期)
- 「保存的複製」(もとの二本鎖がそのまま残る)と書く(半保存的)
- 細胞周期の時間計算で、間期と分裂期の細胞数の比を逆にする
6. 自己チェック
- ヌクレオチドの 3 つの部品と、A–T・G–C の対を言えるか
- A が x% のとき G の割合を出せるか
- DNA・遺伝子・染色体・ゲノムを一文ずつで言えるか
- 半保存的複製を説明できるか
- G₁・S・G₂・M と DNA 量の変化を言えるか
- 細胞数の割合から各時期の時間を計算できるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(bb-03)
関連する単元
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「生物基礎」(2) ア 遺伝情報と DNA
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/bb-03/ / 更新 2026-09-12