高1 / 物理基礎 / pb-02
落体の運動(自由落下・鉛直投げ上げ・投げ下ろし)
この単元でできるようになること
- 重力加速度 g = 9.8 m/s²(向きは鉛直下向き、物体の質量によらない)を使える
- 自由落下(v = gt、y = ½gt²、v² = 2gy)を計算できる
- 鉛直投げ上げ(v = v₀ − gt、y = v₀t − ½gt²、v² − v₀² = −2gy)で、最高点の高さ・到達時間・戻ってくる時間を求められる
- 鉛直投げ下ろし(v = v₀ + gt)を扱える
- 正の向きの取り方(上向き正/下向き正)で符号が変わることを整理して使える
入試での位置づけ
落体は等加速度直線運動(pb-01)のa = g(または −g)の場合で、共通テストでは「投げ上げたボールが元の高さに戻る時間」「最高点の高さ」「2 つの物体が出会う時刻」が定番です。上向きを正にすると a = −9.8という符号の処理と、「最高点で v = 0」「元の高さで y = 0」という条件の式化ができれば得点できます。空気抵抗は無視します。
1. 重力加速度 ── 質量によらず 9.8 m/s²
まずここだけ
- 空気抵抗がなければ、すべての物体は同じ加速度 g ≒ 9.8 m/s² で落ちる(重いものが速く落ちるわけではない)
- 向きは鉛直下向き。上向きを正にとれば a = −g、下向きを正にとれば a = +g
- 計算を簡単にするため「g = 9.8 m/s²」または「g = 10 m/s²」と問題文で指定される
2. 自由落下 ── 初速度 0、下向き正
まずここだけ
静かに手を放す(v₀ = 0)。下向きを正として a = g:
| 公式 | 内容 |
|---|---|
| v = gt | t 秒後の速さ |
| y = ½gt² | t 秒間の落下距離 |
| v² = 2gy | y 落ちたときの速さ |
2.0 秒間の落下距離:y = ½ × 9.8 × 2.0² = 19.6 m、そのときの速さ v = 9.8 × 2.0 = 19.6 m/s 高さ 44.1 m から落として地面に着くまで:44.1 = ½ × 9.8 × t² → t² = 9.0 → t = 3.0 秒
3. 鉛直投げ上げ ── 上向き正、a = −g
ここまでできれば十分
初速度 v₀ で真上に投げる。上向きを正として a = −g:
| 公式 | 内容 |
|---|---|
| v = v₀ − gt | 速度(上向き正。負になったら落下中) |
| y = v₀t − ½gt² | 投げた点からの高さ |
| v² − v₀² = −2gy | 高さ y での速さ |
典型の 3 つの条件:
| 場面 | 条件 | 結果 |
|---|---|---|
| 最高点 | v = 0 | 到達時間 t = v₀/g、最高点の高さ H = v₀²/(2g) |
| 元の高さに戻る | y = 0 | t = 2v₀/g(上がる時間の 2 倍)、戻ったときの速さは v₀(向きは下) |
| 高さ h の点を通る | y = h | 2 回通る(上がるときと下りるとき) |
v₀ = 19.6 m/s で投げ上げ(g = 9.8):最高点まで 2.0 秒、高さ 19.6 m、戻るまで 4.0 秒 対称性:上がる時間 = 下りる時間、同じ高さでは速さが同じ(向きは逆)
4. 鉛直投げ下ろし ── 下向き正、a = +g
初速度 v₀ で真下に投げる。下向きを正として:v = v₀ + gt、y = v₀t + ½gt²
5.0 m/s で投げ下ろし、2.0 秒後:v = 5.0 + 19.6 = 24.6 m/s、y = 10 + 19.6 = 29.6 m
5. 解く手順と符号のルール
- 正の向きを決める:投げ上げなら上向き正(a = −g)、落下・投げ下ろしなら下向き正(a = +g)が楽
- 原点を投げた点(または手を放した点)にする
- 条件を式にする:最高点 → v = 0、元の高さ → y = 0、地面 → y = −h(上向き正で高さ h から投げた場合)
- 3 公式のうち、不要な量を含まないものを選ぶ
- 2 物体が出会う → 同じ時刻に 同じ位置(y が等しい)
高さ 40 m の崖から 10 m/s で投げ上げ(上向き正、g = 10)、地面に着く時刻:−40 = 10t − 5t² → t² − 2t − 8 = 0 → (t − 4)(t + 2) = 0 → t = 4.0 秒
6. よくある間違い
- 上向き正なのに a = +g で計算する(投げ上げは a = −g)
- 最高点で「加速度も 0」と思う(速度は 0 だが加速度は −g のまま)
- 「重い物体のほうが速く落ちる」(空気抵抗なしなら同じ)
- 戻ってくる時間を最高点までの時間と同じにする(2 倍)
- y = ½gt² の ½ を忘れる
- 高さ h から投げた物体が地面に着く条件を y = 0 にする(y = −h)
7. 自己チェック
- g は質量によらず 9.8 m/s² で、向きは下向きと言えるか
- 自由落下の 3 公式を書けるか
- 投げ上げで最高点は v = 0、元の高さは y = 0 と式にできるか
- 最高点の高さ v₀²/(2g)、戻る時間 2v₀/g を導けるか
- 上向き正・下向き正で a の符号を変えられるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(pb-02)
関連する単元
- 前提:pb-01 速度と加速度、h1-01 二次方程式(t の 2 次式)
- 次に進む:pb-04 運動の法則(重力 mg)、pb-06 力学的エネルギー保存(最高点の高さを別の方法で)
- ここで使う考え方が出てくる:pb-03 力のつり合い
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「物理基礎」(1) ア 運動の表し方(落体の運動)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/pb-02/ / 更新 2026-09-12