高1 / 物理基礎 / pb-06
仕事と力学的エネルギー(保存則)
この単元でできるようになること
- 仕事 W = Fx cosθ(J)と仕事率 P = W/t(W)を計算できる
- 運動エネルギー ½mv²、重力による位置エネルギー mgh、弾性力による位置エネルギー ½kx² を使える
- 仕事と運動エネルギーの関係(された仕事 = 運動エネルギーの変化)を使える
- 保存則(摩擦や空気抵抗がないとき)で、速さ・高さ・ばねの縮みを求められる
- 摩擦があるときは「失われた力学的エネルギー = 摩擦力がした負の仕事」と立てられる
入試での位置づけ
エネルギーは物理基礎の最頻出で、共通テストでは「ジェットコースター・振り子・ばね」で保存則を使って速さや高さを求める問題がほぼ毎年出ます。運動方程式(pb-04)で解ける問題も、途中の経路が複雑なら保存則のほうが速い。摩擦がある場合の「熱として失われる分」まで扱えると、応用問題にも対応できます。
1. 仕事と仕事率
まずここだけ
仕事 W = F × x × cosθ(F:力、x:移動距離、θ:力と移動の向きのなす角) 単位 J(ジュール)= N·m
| 力と移動の向き | 仕事 |
|---|---|
| 同じ向き(θ = 0°) | W = Fx(正の仕事) |
| 垂直(θ = 90°) | W = 0(垂直抗力・水平移動での重力) |
| 逆向き(θ = 180°) | W = −Fx(負の仕事:摩擦力・減速させる力) |
10 N で 5.0 m 引く:50 J。10 kg を 2.0 m 持ち上げる:98 × 2.0 = 196 J(重力に逆らう仕事 = mgh) 仕事の原理:道具(斜面・滑車・てこ)を使っても仕事の量は変わらない(力が半分なら距離は 2 倍)
仕事率 P = W/t 単位 W(ワット)= J/s。P = Fv(一定の速さ v で力 F を加えるとき)
196 J の仕事を 4.0 秒でする:49 W
2. 運動エネルギーと位置エネルギー
まずここだけ
| エネルギー | 式 | 基準 |
|---|---|---|
| 運動エネルギー K | ½mv² | v = 0 で 0 |
| 重力による位置エネルギー U | mgh | 基準の高さ(h = 0)を自分で決める。基準より下なら負 |
| 弾性力による位置エネルギー U | ½kx² | 自然長で 0(x は伸び・縮み) |
2.0 kg が 3.0 m/s:K = ½ × 2.0 × 9.0 = 9.0 J 2.0 kg が高さ 5.0 m:U = 2.0 × 9.8 × 5.0 = 98 J ばね定数 100 N/m を 0.20 m 縮める:U = ½ × 100 × 0.040 = 2.0 J
速さが 2 倍なら運動エネルギーは 4 倍(v² に比例)。
3. 仕事と運動エネルギーの関係
ここまでできれば十分
物体がされた仕事(合力の仕事)= 運動エネルギーの変化 W = ½mv² − ½mv₀²
静止していた 2.0 kg の物体に 10 N を 4.0 m 加える:W = 40 J = ½ × 2.0 × v² → v = 6.3 m/s 20 m/s の 1000 kg の車がブレーキで止まる:摩擦のした仕事 = 0 − ½ × 1000 × 400 = −2.0 × 10⁵ J
これは pb-01 の v² − v₀² = 2ax に m/2 をかけたもの。
4. 力学的エネルギー保存則
まずここだけ
摩擦や空気抵抗がなく、重力・弾性力だけが仕事をするとき: ½mv² + mgh(+ ½kx²)= 一定
使い方:始めの状態と終わりの状態で「K + U」を等しいとおく。途中の経路は関係ない。
高さ h から静かに滑り下りる(なめらか):0 + mgh = ½mv² + 0 → v = √(2gh)(質量によらない) h = 4.9 m なら v = √(2 × 9.8 × 4.9) = 9.8 m/s 振り子:最下点の速さ v = √(2gh)(h は最高点と最下点の高さの差) ばね(k = 200 N/m)を 0.10 m 縮めて 0.50 kg の球を打ち出す(水平):½ × 200 × 0.010 = ½ × 0.50 × v² → v = 2.0 m/s 投げ上げの最高点:½mv₀² = mgH → H = v₀²/(2g)(pb-02 と同じ結果)
5. 摩擦があるとき ── 失われた分は熱
ここまでできれば十分
摩擦力(動摩擦力 f = μ′N)が距離 x の間にする仕事は −fx。 (あとの力学的エネルギー)=(前の力学的エネルギー)− fx
10 m/s で滑り出した物体が粗い水平面で止まるまでの距離(μ′ = 0.25、g = 10): ½mv² = μ′mg x → x = v²/(2μ′g) = 100/(2 × 0.25 × 10) = 20 m 失われた力学的エネルギーは熱(や音)になる。エネルギー全体としては保存(pb-07・pb-11)。
6. 解く手順
- 「摩擦・空気抵抗があるか」を確認 → なければ保存則、あれば「保存則 − 摩擦の仕事」
- 基準の高さを決める(最下点を 0 にすると楽)
- 始めと終わりの状態を選ぶ(速さや高さがわかっている点と、求めたい点)
- K + U = K′ + U′ を書く
- 質量 m が両辺に残るなら消せる(v = √(2gh) の形)
7. よくある間違い
- 垂直抗力や糸の張力が仕事をすると思う(移動と垂直 → 仕事 0)
- 運動エネルギーの ½ を忘れる、v を 2 乗し忘れる
- 位置エネルギーの基準をあいまいにして高さを間違える
- 摩擦があるのに保存則をそのまま使う
- 「速さ 2 倍 → 運動エネルギー 2 倍」(4 倍)
- 仕事率と仕事を混同する(P = W/t)
8. 自己チェック
- W = Fx cosθ で、垂直なら 0、逆向きなら負と言えるか
- ½mv²・mgh・½kx² を書けるか
- 「された仕事 = 運動エネルギーの変化」を使えるか
- 保存則を「始め = 終わり」で立て、v = √(2gh) を導けるか
- 摩擦があるときは −fx を引く、と言えるか
9. 小テストへ
→ 小テスト(pb-06)
関連する単元
- 前提:pb-01〜pb-05、s3-02 仕事とエネルギー(中学)
- 次に進む:pb-07 熱と温度(熱の仕事当量)、pb-11 エネルギーの利用
- ここで使う考え方が出てくる:pb-08 波(エネルギーの伝わり)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「物理基礎」(1) ウ 力学的エネルギー
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/pb-06/ / 更新 2026-09-12