高1 / 物理基礎 / pb-04
運動の法則(運動方程式・慣性)
この単元でできるようになること
- 運動の 3 法則(慣性の法則・運動方程式・作用反作用)を言える
- 運動方程式 ma = F を立てて、加速度・力・質量を求められる
- 斜面・糸でつながれた 2 物体・エレベーター内の物体など、典型場面の運動方程式が立てられる
- 質量と重さの違い(kg と N)、1 N の定義がわかる
- 運動方程式と等加速度の公式(pb-01)を組み合わせて、速度・距離まで求められる
入試での位置づけ
運動方程式は力学の中心で、共通テストでは「糸でつないだ 2 物体の加速度と張力」「エレベーターの中の体重計」「斜面を滑る物体の加速度」が定番です。手順は決まっていて、①力を描く ②正の向きを決める ③物体ごとに ma = F。2 物体なら式が 2 本でき、連立して解きます。
1. 運動の 3 法則
まずここだけ
| 法則 | 内容 |
|---|---|
| 第 1 法則(慣性の法則) | 合力が 0 なら、静止している物体は静止し続け、運動している物体は等速直線運動を続ける |
| 第 2 法則(運動の法則) | 加速度 a は合力 F に比例し、質量 m に反比例する:ma = F |
| 第 3 法則(作用反作用の法則) | A が B に力を及ぼすと、B は A に同じ大きさで逆向きの力を及ぼす |
1 N = 質量 1 kg の物体に 1 m/s² の加速度を生じさせる力。 質量(kg)は物体そのものの量で場所によらない。重さ(N)= mg は重力の大きさで、月では約 1/6。
2. 運動方程式の立て方
まずここだけ
- 注目する物体にはたらく力をすべて描く(pb-03)
- 正の向きを決める(動く向き、または動きそうな向き)
- 運動方向の力を符号つきで足して ma =(正の向きの力)−(逆向きの力)
- 運動と垂直な方向はつり合い(合力 0)
摩擦のない水平面上の 2.0 kg の物体を 6.0 N で引く:2.0 × a = 6.0 → a = 3.0 m/s² 質量 m のおもりを糸で引き上げ、加速度 a で上昇:ma = T − mg → T = m(g + a) 加速度 a で下降:ma = mg − T → T = m(g − a)
3. 典型場面
ここまでできれば十分
① なめらかな斜面(角 θ)を滑り下りる ma = mg sinθ → a = g sinθ(質量によらない)
30° なら a = 9.8 × ½ = 4.9 m/s²
② 糸でつながれた 2 物体(なめらかな水平面上の A に、糸をかけて B をつるす) A(質量 m_A):m_A a = T B(質量 m_B、下向き正):m_B a = m_B g − T 足すと (m_A + m_B) a = m_B g → a = m_B g/(m_A + m_B)、T = m_A a
m_A = 3.0 kg、m_B = 2.0 kg:a = 2.0 × 9.8/5.0 = 3.92 m/s²、T = 11.8 N コツ:全体をひとまとめにすると「全質量 × a = 外から動かす力(m_B g)」で a が先に出る。
③ エレベーター内の体重計(質量 m の人) 上向き正で ma = N − mg → N = m(g + a)(N が体重計の値)
- 上向きに加速(発進時の上昇):N > mg(重く感じる)
- 下向きに加速(下降開始):N < mg(軽く感じる)
- 等速:N = mg
- 自由落下(a = −g):N = 0(無重力状態)
④ 押し合う 2 物体(水平面上で A を F で押すと B も動く) 全体:(m_A + m_B) a = F、B だけ:m_B a = f(A が B を押す力)
4. 運動方程式 → 運動の様子
a が求まれば pb-01 の公式で速度・距離が出る。
上の②で、静止から 2.0 秒後の速さ:v = at = 3.92 × 2.0 = 7.84 m/s
力と運動の関係の整理:
| 合力 | 運動 |
|---|---|
| 0 | 静止または等速直線運動 |
| 一定(運動と同じ向き) | 等加速度で加速 |
| 一定(運動と逆向き) | 等加速度で減速 |
5. よくある間違い
- 「動いているから力がはたらいている」(等速なら合力 0)
- 運動方程式の右辺に「動きの向きと逆の力」を足してしまう(符号)
- 糸の張力を「両端で違う」とする(軽い糸・なめらかな滑車なら同じ)
- エレベーターで「加速度が下向き = 下降中」と思う(下降の減速は上向きの加速度)
- 質量と重さを混同して mg = m と書く
- 2 物体の問題で式を 1 本しか立てない
6. 自己チェック
- 慣性の法則を「合力 0 →」の形で言えるか
- ma = F の右辺を「正の向きの力 − 逆向きの力」で書けるか
- 斜面の加速度 g sinθ を導けるか
- 2 物体の連立を「全体で a → 片方で T」の順に解けるか
- エレベーターの N = m(g + a) で a の符号を場面に合わせられるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(pb-04)
関連する単元
- 前提:pb-01 速度と加速度、pb-03 力のつり合い・力の分解
- 次に進む:pb-05 摩擦力・圧力・浮力(摩擦のある運動方程式)、pb-06 仕事とエネルギー
- ここで使う考え方が出てくる:pb-11 エネルギーの利用
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「物理基礎」(1) イ 運動の法則
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/pb-04/ / 更新 2026-09-12