高1 / 物理基礎 / pb-03
力のつり合い・作用反作用・力の分解
この単元でできるようになること
- 物体にはたらく力をもれなく図示できる(重力・垂直抗力・張力・弾性力・摩擦力)
- 力のつり合い(合力 0)を x・y 成分に分けて式にできる
- 作用・反作用(同じ大きさ・逆向き・別の物体にはたらく)を「つり合い」と区別できる
- 力を分解(斜面に平行・垂直、三角比 sin/cos)できる
- フックの法則 F = kx でばねの伸びと力を計算できる
入試での位置づけ
力学の問題は「力を正しく描けるか」で 8 割決まります。共通テストでは「物体にはたらく力をすべて示した図はどれか」「作用反作用の組はどれか」が定番。斜面の分解(mg sinθ、mg cosθ)は(pb-04)・摩擦(pb-05)・エネルギー(pb-06)で毎回使うので、ここで確実に身につけます。
1. 力の種類と図示
まずここだけ
力の 3 要素:大きさ・向き・作用点。単位は N(ニュートン)。質量 m kg の物体にはたらく重力は mg(g = 9.8 m/s²)。
| 力 | 記号 | 向き | 作用点 |
|---|---|---|---|
| 重力 | mg | 鉛直下向き | 重心 |
| 垂直抗力 | N | 面に垂直、面から離れる向き | 接触面 |
| 張力 | T | 糸に沿って、物体から離れる向き | 糸との接点 |
| 弾性力(ばね) | kx | 自然長に戻る向き | ばねとの接点 |
| 摩擦力 | f | 面に平行、動き(または動こうとする向き)と逆 | 接触面 |
描く手順:①注目する物体を決める → ②重力を描く → ③触れているもの(面・糸・ばね・他の物体)ごとに力を描く → ④触れていないものからの力は重力だけ(磁力・電気力を除く)
2. 力のつり合い ── 合力が 0
まずここだけ
物体が静止(または等速直線運動)しているとき、はたらく力の合力は 0。
- 一直線上:上向きの力の和 = 下向きの力の和
- 平面上:x 成分の和 = 0、y 成分の和 = 0(成分に分けて 2 つの式)
机の上の質量 2.0 kg の本:N = mg = 2.0 × 9.8 = 19.6 N 糸でつるした 3.0 kg のおもり:T = mg = 29.4 N 2 本の糸(それぞれ鉛直と 60° の角)でつるした重さ W のおもり:2T cos60° = W → T = W
3 力のつり合い:3 つの力のベクトルをつなぐと三角形が閉じる。
3. 作用・反作用 ── つり合いと混同しない
ここまでできれば十分
| 作用・反作用 | つり合い | |
|---|---|---|
| はたらく物体 | 別々の 2 物体(A が B を押す/B が A を押す) | 同じ 1 物体 |
| 大きさ・向き | 同じ大きさ・逆向き | 同じ大きさ・逆向き |
| 常に成り立つか | 常に(運動中でも) | 静止・等速のときだけ |
机の上の本:「本にはたらく重力」と「机からの垂直抗力」→ つり合い(どちらも本にはたらく) 「本が机を押す力」と「机が本を押す力(垂直抗力)」→ 作用・反作用(別の物体) 重力の反作用 = 本が地球を引く力
4. 力の分解 ── 斜面は sin と cos
まずここだけ
角度 θ の斜面上の質量 m の物体にはたらく重力 mg を分解:
| 分力 | 大きさ | 意味 |
|---|---|---|
| 斜面に平行 | mg sinθ | 物体を斜面に沿って滑らせようとする |
| 斜面に垂直 | mg cosθ | 斜面を押す(垂直抗力 N = mg cosθ とつり合う) |
覚え方:θ が小さい(ゆるい斜面)→ 平行成分は小さい → sin。θ = 0 で sin0 = 0(水平なら滑らない)。
主な三角比:sin30° = ½、cos30° = √3/2 ≒ 0.87、sin45° = cos45° = √2/2 ≒ 0.71、sin60° = √3/2、cos60° = ½
30° の斜面上の 4.0 kg の物体(g = 9.8):平行成分 4.0 × 9.8 × ½ = 19.6 N、垂直成分 4.0 × 9.8 × 0.87 ≒ 34 N 斜面上で静止させるのに必要な、斜面に平行な力:19.6 N
一般の分解:力 F を x 軸と角 θ をなす向きに → F_x = F cosθ、F_y = F sinθ。合成は逆に成分を足して大きさ √(F_x² + F_y²)。
5. フックの法則 ── F = kx
ここまでできれば十分
ばねの弾性力は自然長からの伸び(縮み)x に比例:F = kx(k:ばね定数 N/m)
ばね定数 50 N/m のばねに 2.0 kg をつるす:kx = mg → x = 19.6 ÷ 50 = 0.39 m ばねを 0.10 m 伸ばすのに 4.0 N 必要なら k = 4.0 ÷ 0.10 = 40 N/m
直列・並列(発展):同じばねを直列にすると伸びは 2 倍(k は半分)、並列にすると伸びは半分(k は 2 倍)。
6. よくある間違い
- 垂直抗力を「重力の反作用」と思う(反作用は物体が地球を引く力)
- 斜面の垂直抗力を mg にする(N = mg cosθ)
- sin と cos を逆にする(平行が sin)
- 力の矢印を「物体が受ける力」でなく「物体が出す力」で描く
- 動いている物体には力がつり合わないと思う(等速直線運動ならつり合う)
- ばねの「長さ」と「伸び」を混同する(F = kx の x は自然長からの伸び)
7. 自己チェック
- 触れているものごとに力を描き、触れていないものからは重力だけ、と手順を言えるか
- つり合いは「同じ物体」、作用反作用は「別の物体」と言えるか
- 斜面に平行 mg sinθ、垂直 mg cosθ を書けるか
- N = mg cosθ と N = mg の使い分けができるか
- F = kx の x が伸びだと言えるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(pb-03)
関連する単元
- 前提:s1-02 力(中学)、s3-01 力の合成分解(中学)、h1-08 三角比
- 次に進む:pb-04 運動の法則、pb-05 摩擦力・圧力・浮力
- ここで使う考え方が出てくる:pb-06 仕事(力 × 距離)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「物理基礎」(1) イ 様々な力とその働き
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/pb-03/ / 更新 2026-09-12