高1 / 物理基礎 / pb-05
摩擦力・圧力・浮力
この単元でできるようになること
- 静止摩擦力(外力とつり合う・最大値は μN)と動摩擦力(μ′N で一定)を区別して使える
- 摩擦のある面での運動方程式(ma = F − μ′N)を立てられる
- 圧力 p = F/S(Pa)と、水圧 p = ρgh を計算できる
- 浮力 F = ρVg(アルキメデスの原理)で、浮く・沈むの判断と物体にはたらく力のつり合いができる
- 大気圧(約 1.0 × 10⁵ Pa)の大きさの感覚を持てる
入試での位置づけ
摩擦は「動き出す直前は最大静止摩擦力 μN」「動いているときは動摩擦力 μ′N」の切り替えが問われ、共通テストでは引く力を大きくしていったときの摩擦力のグラフが定番です。浮力は「押しのけた流体の重さ」という原理を式にできれば、水中のばねばかりの読み・氷の浮き方など多くの問題が同じ手順で解けます。
1. 摩擦力 ── 静止摩擦と動摩擦
まずここだけ
| 種類 | 状態 | 大きさ | 向き |
|---|---|---|---|
| 静止摩擦力 | 動いていない | 外力とつり合う値(0 〜 最大 μN) | 動こうとする向きと逆 |
| 最大静止摩擦力 | 動き出す直前 | μN(μ:静止摩擦係数) | |
| 動摩擦力 | 滑っている | μ′N(μ′:動摩擦係数、μ′ < μ)一定 | 運動と逆向き |
N は垂直抗力。水平面なら N = mg、斜面なら N = mg cosθ。
水平面上の 5.0 kg の物体(μ = 0.50、μ′ = 0.30、g = 9.8) 10 N で引く:動かない。静止摩擦力 = 10 N(μN = 24.5 N より小さいので、外力と同じ) 24.5 N をこえて引くと動き出す 動いている間の動摩擦力 = 0.30 × 49 = 14.7 N
グラフ:引く力 F を横軸、摩擦力を縦軸にとると、F = μN まで傾き 1 の直線、そこで μ′N に落ちて水平。
摩擦のある運動方程式:ma = F − μ′N
上の物体を 30 N で引く:5.0a = 30 − 14.7 → a = 3.06 m/s²
斜面で滑り出す条件:mg sinθ > μ mg cosθ → tanθ > μ(質量によらない)
2. 圧力 ── 単位面積あたりの力
まずここだけ
p = F/S 単位 Pa(パスカル)= N/m²。1 hPa = 100 Pa。
質量 20 kg、底面積 0.40 m² の箱が床に及ぼす圧力:196 ÷ 0.40 = 490 Pa 同じ力でも面積が 1/2 なら圧力は 2 倍(画びょう・スキー板)
大気圧:約 1.0 × 10⁵ Pa(= 1013 hPa ≒ 1 atm)。1 m² に約 1.0 × 10⁵ N(約 10 t 分)。
水圧:深さ h の水圧 = ρgh(ρ:水の密度 1.0 × 10³ kg/m³)。
深さ 10 m:1.0 × 10³ × 9.8 × 10 = 9.8 × 10⁴ Pa ≒ 大気圧とほぼ同じ → 10 m 潜るごとに約 1 気圧増える 全圧力 = 大気圧 + ρgh
3. 浮力 ── 押しのけた流体の重さ
まずここだけ
アルキメデスの原理:流体中の物体は、押しのけた流体の重さに等しい浮力を鉛直上向きに受ける。 F = ρVg(ρ:流体の密度、V:流体中にある部分の体積)
理由:深いほど水圧が大きいので、物体の下面が受ける上向きの力 > 上面が受ける下向きの力。その差が浮力。
| 状況 | 条件 |
|---|---|
| 浮く(一部が水面上) | 浮力 = 重力:ρ_水 V_水中 g = mg |
| 沈む | 物体の密度 > 流体の密度(浮力 < 重力) |
| 水中で静止(中性浮力) | 物体の密度 = 流体の密度 |
体積 2.0 × 10⁻³ m³ の物体を水中に完全に沈める:浮力 = 1.0 × 10³ × 2.0 × 10⁻³ × 9.8 = 19.6 N この物体の質量が 5.0 kg なら、水中でばねばかりが示す値 = 49 − 19.6 = 29.4 N 氷(密度 0.92 × 10³)が水に浮く:水面下の体積の割合 = 0.92(92% が水中)
浮力の大きさは深さによらない(完全に沈んでいれば一定)。物体の質量にもよらない(体積と流体の密度で決まる)。
4. 解く手順
- 摩擦:①動いているか止まっているか → ②止まっていれば静止摩擦力 = 外力(ただし μN 以下)、動いていれば μ′N → ③運動方程式
- 圧力:力 ÷ 面積。単位を m² にそろえる(1 cm² = 10⁻⁴ m²)
- 浮力:①水中の体積 V → ②ρVg → ③物体に「重力・浮力・(糸やばねの力)」を描いてつり合いか運動方程式
5. よくある間違い
- 静止摩擦力を常に μN とする(動き出す直前だけ)
- 動摩擦力に μ(静止摩擦係数)を使う
- 斜面の N を mg にする(mg cosθ)
- 圧力の面積を cm² のまま計算する
- 浮力の V に「物体全体の体積」を使う(水中にある部分だけ)
- 浮力が「深いほど大きい」と思う(完全に沈めば一定)
- 水中のばねばかりの値を「浮力」と答える(重力 − 浮力)
6. 自己チェック
- 静止摩擦力は「外力と同じ大きさ、最大 μN」と言えるか
- 動摩擦力 μ′N は速さによらず一定と言えるか
- 圧力 p = F/S、水圧 ρgh を書けるか
- 浮力 ρVg の V は水中にある部分の体積と言えるか
- 水中のばねばかりの値 = mg − ρVg と立てられるか
7. 小テストへ
→ 小テスト(pb-05)
関連する単元
- 前提:pb-03 力のつり合い、pb-04 運動の法則、s1-03 圧力(中学)、s1-04 密度(中学)
- 次に進む:pb-06 仕事とエネルギー(摩擦がする負の仕事)
- ここで使う考え方が出てくる:eb-05 大気圧と高度
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「物理基礎」(1) イ 様々な力とその働き(摩擦力・圧力・浮力)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/pb-05/ / 更新 2026-09-12