高1 / 物理基礎 / pb-01
速度と加速度(等加速度直線運動の 3 公式)
この単元でできるようになること
- 速さと速度(向きを含む)、変位と距離の違いを言える
- 平均の速度・瞬間の速度、加速度 a = Δv ÷ Δt を計算できる
- の 3 公式(v = v₀ + at、x = v₀t + ½at²、v² − v₀² = 2ax)を使い分けられる
- v–t グラフの傾き = 加速度、面積 = 変位、x–t グラフの傾き = 速度、と読める
- 単位換算(km/h ↔ m/s)と、負の速度・負の加速度(減速)を扱える
入試での位置づけ
物理基礎の出発点で、共通テストではv–t グラフの読み取り(傾きと面積)がほぼ毎回出ます。3 公式の暗記だけでなく「どの公式を使えば t を消せるか」を判断できるかが差になります。落体の運動(pb-02)・運動方程式(pb-04)・エネルギー(pb-06)は、すべてこの単元の上に乗ります。
1. 速度と変位 ── 向きを持つ量
まずここだけ
| 量 | 意味 | 向き | 単位 |
|---|---|---|---|
| 距離(道のり) | 動いた長さ | なし | m |
| 変位 x | 始点から終点への「位置の変化」 | あり(+−で表す) | m |
| 速さ | 距離 ÷ 時間 | なし | m/s |
| 速度 v | 変位 ÷ 時間 | あり | m/s |
東へ 30 m 進んでから西へ 10 m 戻る:距離 40 m、変位 +20 m(東を正)
平均の速度 = 変位 ÷ 経過時間。瞬間の速度 = ごく短い時間での平均速度(x–t グラフの接線の傾き)。
単位換算:1 m/s = 3.6 km/h。72 km/h = 72 ÷ 3.6 = 20 m/s。
相対速度:A から見た B の速度 = v_B − v_A(同じ向きを正にして引く)。
東へ 20 m/s の車 A から見た、東へ 15 m/s の車 B:15 − 20 = −5 m/s(西へ 5 m/s に見える)
2. 加速度 ── 速度の変化の割合
まずここだけ
a = (v − v₀) ÷ t 単位は m/s²(1 秒あたり速度が何 m/s 変わるか)
0 から 5.0 秒で 20 m/s になった:a = (20 − 0) ÷ 5.0 = 4.0 m/s² 20 m/s から 4.0 秒で 8.0 m/s になった:a = (8.0 − 20) ÷ 4.0 = −3.0 m/s²(減速)
負の加速度 = 速度と逆向きの加速度 = 減速(正の向きに動いている場合)。
3. 等加速度直線運動の 3 公式
まずここだけ
初速度 v₀、加速度 a(一定)、時間 t、変位 x のとき:
| 公式 | 使う場面 | 含まない量 |
|---|---|---|
| ① v = v₀ + at | 速度と時間 | x |
| ② x = v₀t + ½at² | 変位と時間 | v |
| ③ v² − v₀² = 2ax | 速度と変位(時間が不要) | t |
選び方:問題に出てこない量(求めなくてよい量)を含まない公式を選ぶ。「時間が与えられていない・聞かれていない」→ ③。
例 1:v₀ = 2.0 m/s、a = 3.0 m/s²、t = 4.0 s のとき v と x ① v = 2.0 + 3.0 × 4.0 = 14 m/s ② x = 2.0 × 4.0 + ½ × 3.0 × 4.0² = 8.0 + 24 = 32 m 例 2:v₀ = 10 m/s、a = −2.0 m/s² で止まるまでの距離 ③ 0² − 10² = 2 × (−2.0) × x → x = 25 m
③の導き方:①から t = (v − v₀)/a を②に代入して t を消す。
4. グラフの読み方 ── 傾きと面積
ここまでできれば十分
| グラフ | 傾き | 面積(横軸との間) |
|---|---|---|
| x–t(位置–時間) | 速度 | ── |
| v–t(速度–時間) | 加速度 | 変位 |
| a–t(加速度–時間) | ── | 速度の変化 |
v–t グラフの形:
- 水平な直線 → 等速直線運動(a = 0)
- 右上がりの直線 → 一定の加速度で加速
- 右下がりの直線 → 一定の加速度で減速(横軸より下なら逆向きに運動)
- 折れ線 → 区間ごとに加速度が違う。変位は台形・三角形の面積の和
v–t グラフが (0 s, 0) → (4 s, 8 m/s) → (10 s, 8 m/s) → (12 s, 0) のとき 変位 = 三角形 ½ × 4 × 8 + 長方形 6 × 8 + 三角形 ½ × 2 × 8 = 16 + 48 + 8 = 72 m
5. 解く手順
- 正の向きを決める(動き出す向きを正にすると楽)
- わかっている量(v₀, a, t, x, v)に印をつける
- 使わない量を含まない公式を選ぶ
- 単位をそろえる(km/h → m/s、cm → m)
- 答えの符号を解釈する(負 = 逆向き)
6. よくある間違い
- 速さと速度を混同し、往復で「変位 0」を「距離 0」と書く
- 減速なのに a を正で計算する(v₀ と逆向きなら a は負)
- ③の公式で v² − v₀² を (v − v₀)² としてしまう
- x = v₀t + ½at² の ½ を忘れる
- v–t グラフの「面積 = 変位」を「傾き = 変位」と取り違える
- km/h を m/s に直さず計算する
7. 自己チェック
- 変位と距離、速度と速さの違いを 1 文で言えるか
- a = (v − v₀)/t で減速なら負になるか
- 3 公式の「含まない量」を言えるか
- v–t グラフの傾きと面積が何を表すか言えるか
- 72 km/h = 20 m/s に直せるか
8. 小テストへ
→ 小テスト(pb-01)
関連する単元
- 前提:s3-01 速さと運動(中学)、h1-02 二次関数(½at² のグラフ)
- 次に進む:pb-02 落体の運動、pb-04 運動の法則
- ここで使う考え方が出てくる:pb-06 仕事とエネルギー(v² − v₀² = 2ax と運動エネルギー)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』── 「物理基礎」(1) 物体の運動とエネルギー ア 運動の表し方
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/science/pb-01/ / 更新 2026-09-12