高1 / 地理総合 / gt-06
人口・都市・村落(人口ピラミッド・都市問題)
この単元でできるようになること
- 世界人口(約 82 億人、2025 年)の分布と、人口転換(多産多死 → 多産少死 → 少産少死)を説明できる
- の 3 型(富士山型・つりがね型・つぼ型)を国の発展段階と結びつけて読める
- 人口指標の計算(自然増加率・人口密度・高齢化率・合計特殊出生率・人口増加の推計)ができる
- 人口問題(途上国の人口爆発・先進国の少子高齢化・日本の人口減少・移民)を説明できる
- 都市の分類・機能、都市問題(先進国:インナーシティ・スプロール・ドーナツ化/途上国:スラム・プライメートシティ)と村落の形態を説明できる
入試での位置づけ
「人口ピラミッドから国を選ぶ」「合計特殊出生率・高齢化率の表から国を選ぶ」「都市問題を先進国型と途上国型に分ける」が頻出。数値は日本の合計特殊出生率 1.15(2024 年)、高齢化率 29%、世界人口 82 億をおさえます。
1. 世界の人口
まずここだけ
- 世界人口:1800 年 10 億 → 1950 年 25 億 → 2000 年 61 億 → 2025 年 約 82 億(国連推計)。2080 年代に約 103 億で頭打ちの見通し
- 国別:インド(2023 年に中国を抜き 1 位、約 14.6 億)、中国(約 14.1 億、減少に転じた)、アメリカ、インドネシア、パキスタン、ナイジェリア(増加率が高く 2050 年ごろ 3 位に)、ブラジル、バングラデシュ、ロシア、日本(約 1.23 億、12 位前後)
- 分布:アジアに約 6 割。モンスーンアジアの平野・ヨーロッパ・北米東部に密集(エクメーネ = 居住地域、アネクメーネ = 非居住地域:砂漠・高山・極地)
- 人口密度 = 人口 ÷ 面積(人/km²)。バングラデシュ 約 1,300、日本 約 330、モンゴル 約 2
2. 人口転換と人口ピラミッド
まずここだけ
人口転換(人口動態の変化):
- 多産多死:出生率も死亡率も高く、人口はあまり増えない(産業革命前・最貧国)
- 多産少死:医療・衛生の改善で死亡率が先に下がり、人口爆発(現在のサハラ以南アフリカ)
- 少産少死:教育・都市化・女性の社会進出で出生率も低下、増加が止まる(先進国)→ さらに少子高齢化・人口減少(日本・韓国・イタリア・ドイツ)
| 型 | 形 | 段階 | 例 |
|---|---|---|---|
| 富士山型(ピラミッド型) | 底が広い | 多産多死〜多産少死。若年人口が多い | ナイジェリア・エチオピア・コンゴ民主共和国、インドはやや改善 |
| つりがね型(ベル型) | 中ほどまで幅が同じ | 少産少死 | アメリカ・フランス・スウェーデン |
| つぼ型(紡錘型) | 底がすぼむ | 少子高齢化・人口減少 | 日本・ドイツ・イタリア・韓国 |
| 星型・ひょうたん型 | 特定の年齢が多い/少ない | 都市(若者流入)・農村(流出) | 東京(星型)・過疎の村(ひょうたん型) |
指標:
- 自然増加率 = 出生率 − 死亡率(‰ = 人口 1000 人あたり)
- 社会増加 = 転入 − 転出(移民)。総人口の増減 = 自然増加 + 社会増加
- 合計特殊出生率:1 人の女性が一生に産む子どもの数。2.07 が人口維持の水準(置換水準)。日本 1.15(2024 年)、韓国 0.75(世界最低水準)、ニジェール 6 前後、フランス 1.6、アメリカ 1.6
- 高齢化率 = 65 歳以上 ÷ 総人口。7% 超で高齢化社会、14% 超で高齢社会、21% 超で超高齢社会。日本 29%(世界最高)、イタリア 24%、ドイツ 23%
- 従属人口指数 =(年少 + 老年)÷ 生産年齢(15〜64 歳)× 100
- 人口ボーナス:生産年齢人口の割合が高く経済成長しやすい時期(東アジアが経験、インド・アフリカがこれから)。人口オーナス:高齢化で負担が重い時期(日本)
3. 人口問題
ここまでできれば十分
| 地域 | 問題 | 対策・背景 |
|---|---|---|
| 途上国(サハラ以南アフリカ・南アジア) | 人口爆発 → 食料不足・失業・スラム・環境破壊・教育不足 | 家族計画、女性の教育(出生率低下に最も有効とされる)、経済発展 |
| 中国 | 一人っ子政策(1979〜2015)→ 急速な高齢化・男女比のゆがみ → 2016 年二人っ子、2021 年三人まで容認。2022 年から人口減少 | |
| 先進国 | 少子高齢化 → 労働力不足・年金や医療の負担・地方の過疎 | 子育て支援(フランス・スウェーデンは 1.6〜1.8 に回復)、移民・外国人労働者の受け入れ(ドイツのトルコ系、フランスの北アフリカ系、アメリカのヒスパニック) |
| 日本 | 2008 年 1 億 2808 万人をピークに減少、2024 年 出生数 約 69 万人(過去最少)。2070 年 8,700 万人の推計。過疎と過密、限界集落(65 歳以上が半数超) | 少子化対策、外国人労働者(特定技能・技能実習 → 育成就労)、地方創生 |
人口移動:
- 移民:途上国 → 先進国(経済的理由)。アメリカ・ドイツ・サウジアラビア・ロシア・イギリスが受け入れ大。送金が途上国の重要な外貨に
- 難民:紛争・迫害から逃れる(シリア・ウクライナ・アフガニスタン・ベネズエラ・ミャンマーのロヒンギャ)。UNHCR。国内避難民も多い
- 頭脳流出:途上国の高学歴者が先進国へ
- 国内:農村 → 都市(途上国の都市化)、日本の東京一極集中と U ターン・I ターン
4. 都市
ここまでできれば十分
- 都市の機能:政治(首都)、商業、工業、交通(港湾)、観光、学術、宗教(メッカ・バチカン)。計画都市:ブラジリア・キャンベラ・ワシントン D.C.(首都を内陸へ)
- 都市化:世界人口の 約 57% が都市に(2024 年)。先進国 8 割、途上国は急速に上昇
- 都市の内部構造:CBD(中心業務地区)(オフィス・地価最高・昼間人口多)→ 商業地区 → 住宅地区 → 郊外。同心円モデル・扇形モデル・多核心モデル
- 都市圏:メトロポリス(巨大都市)、メガロポリス(巨大都市が帯状に連なる:ボストン〜ワシントン、東海道)、コナーベーション(連接都市)、メガシティ(人口 1,000 万人以上:東京・デリー・上海・ダッカ・サンパウロ・カイロなど 30 超)
- プライメートシティ(首位都市):1 つの都市に人口・機能が極端に集中(バンコク・ソウル・リマ・ブエノスアイレス・メキシコシティ)。途上国に多い
都市問題:
| 先進国 | 途上国 | |
|---|---|---|
| 現象 | ドーナツ化(都心の人口減)、スプロール(郊外の無秩序な拡大)、インナーシティ問題(都心周辺の老朽化・貧困・治安)、通勤ラッシュ、ヒートアイランド | スラム(不良住宅地区。農村からの流入者。ムンバイのダラビ、リオのファベーラ)、失業・インフォーマルセクター(露天商など)、交通渋滞、大気汚染、上下水道の不足 |
| 対策 | 再開発・ジェントリフィケーション(都心の高級化 → 元の住民が追い出される)、ニュータウン(ロンドン周辺・多摩)、グリーンベルト、コンパクトシティ(富山:LRT 沿線に集約)、パークアンドライド、ロードプライシング(ロンドン・シンガポール) | 住宅供給、インフラ整備、地方の産業育成 |
日本:三大都市圏(東京・大阪・名古屋)に人口の半分。東京一極集中と都心回帰(タワーマンション)、郊外ニュータウンの高齢化(オールドニュータウン)、シャッター街(地方の中心市街地の衰退・郊外の大型店)、空き家(約 900 万戸)。
5. 村落
ここまでできれば十分
| 形態 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 集村 | 家が集まる。塊村(不規則に密集)、路村(道路沿い)、街村(商店が並ぶ)、円村(広場を囲む:ドイツ)、列村 | 日本の農村の多く、ヨーロッパ |
| 散村 | 家が散らばる。耕地に近く、防御の必要が少ない | 砺波平野(富山)、アメリカ中西部(タウンシップ制)、北海道(屯田兵村) |
日本の村落の歴史:条里制(古代・碁盤目・「〜条〜里」)→ 中世の環濠集落・寺内町 → 近世の新田集落(〜新田)→ 明治の屯田兵村(北海道)。 過疎:農山村の人口流出 → 学校・交通・医療の維持困難 → 限界集落 → 消滅の恐れ。対策:地域おこし協力隊、移住促進、六次産業化、観光。
6. 人口の計算
まずここだけ
- 人口密度 = 人口 ÷ 面積
- 自然増加率(‰) = 出生率 − 死亡率。人口 1 億・出生 8‰・死亡 10‰ → −2‰ → 年 20 万人減
- 高齢化率 = 65 歳以上人口 ÷ 総人口 × 100
- n 年後の人口 = 現在 ×(1 + 増加率)ⁿ。倍加年数 ≒ 70 ÷ 増加率(%)(年 2% なら約 35 年で 2 倍)
7. よくある間違い
- 人口 1 位を中国とする(2023 年からインド)
- 人口転換で「死亡率より出生率が先に下がる」とする(死亡率が先 → 人口爆発)
- 合計特殊出生率の人口維持水準を 2.0 ちょうどとする(約 2.07)
- 高齢化率 7% 超を「超高齢社会」とする(7% 高齢化社会、14% 高齢社会、21% 超高齢社会)
- プライメートシティを先進国の現象とする(途上国に多い。ただし東京・パリ・ソウルもそう)
- スプロールを途上国のスラムとする(先進国の郊外の無秩序な拡大)
- 散村の例を「日本の農村の多く」とする(多くは集村。散村は砺波平野など)
- ジェントリフィケーションを「スラム化」とする(逆。都心が高級化して元の住民が追い出される)
8. 自己チェック
- 世界人口 82 億・インド 1 位・アジア 6 割を言えるか
- 人口転換の 3 段階とピラミッドの 3 型・国の例を言えるか
- 合計特殊出生率(日本 1.15・維持水準 2.07)と高齢化率(日本 29%・21% 超で超高齢社会)を言えるか
- 途上国と先進国の人口問題と対策を言えるか
- 先進国型・途上国型の都市問題を区別できるか
- 集村と散村、条里制・新田・屯田兵村を言えるか
9. 小テストへ
→ 小テスト(gt-06)
関連する単元
- 前提:g-08 世界の人口(中学)、g-09 日本の人口(中学)
- 次に進む:gt-07 生活文化・宗教・言語、gt-08 地球的課題
- ここで使う考え方が出てくる:kk-08 社会保障(少子高齢化)、g-10 日本の都市(中学)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 地理歴史編』── 「地理総合」B 国際理解と国際協力
- 国連『World Population Prospects 2024』── 世界人口 82 億(2025 年)、インド 1 位
- 厚生労働省「令和 6 年(2024)人口動態統計月報年計(概数)」── 合計特殊出生率 1.15、出生数 68.6 万人
- 総務省統計局「人口推計」、内閣府『高齢社会白書』── 高齢化率 29.3%(2024 年)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.pages.dev/daigaku/social/gt-06/ / 更新 2026-09-13